the quiet roomで邦楽が煮詰まる
「邦楽ロックなんか何聴いたって同じ」
たしかにそうだ。先日書いたカレーの記事だってそう。邦楽ロックは結局邦楽ロックなのだ。「邦楽ロックが好き!」という人たちが「これ良いな!」と思うような音楽として作られ聴かれている。既に邦楽ロックというジャンル専門のリスナーが多数いる為に、そいつらを満足させるべくの音楽が多く考案されているだけである。
このサイトだってそうだ。現在日本国内における洋楽市場と邦楽市場を見比べれば圧倒的に邦楽の方が需要が高い。しかも洋楽好きはなまじ音楽趣向にこだわりがある為に一口に洋楽好きと言えども趣味が細分化しており一枚岩とは言えない状況にある。
そのためこのサイトはより多くの人が楽しめるよう良かれ悪かれアンチにもファンにも注目度の高い"邦楽ロック"に特にフォーカスを置いているのだ。何だっていいから俺はとにかく音楽の話がしたい、四六時中話させろ。お前らが好きだと言うのなら延々とマイブラの録音環境の話とかし続けてもいいんだ。
邦ロックバンドAを聴くこととBを聴くことには、バターチキンカレーを食べるかキーマカレーにするか程度の違いしかない。その二者の距離は、バターチキンカレーからお寿司への距離と比べればごくごく近い位置にある。音楽と言う広い枠組みで考えればごく狭いジャンルに違いない。
しかしだ。似たり寄ったりだと言われる邦楽ロックも、その狭い範囲の中で切磋琢磨し続ければ音楽として鮮麗され極まってくる。取り組む人間の数が多ければ多い程文化は発展していくのは自明の理だ。
枕が長くなった。the quiet roomは今邦楽ロックの若手バンドで一番邦楽ロックしているバンドじゃないだろうか。
普通、イントロの前には「イントロのイントロ」のような2小節から1拍程度の短い"入り"が存在する。が、この曲の場合出だしからトップスピード「さっさとサビいくぞオラ」と聞こえてきそうな程だ。
実際サビも曲開始から1分以内に突入する。音楽的に良い悪いの話は置いておいて、邦楽ロックというジャンルで他のバンドと殴り合うなら「リード曲はサビまで一分以内」はもう必須条件である。1分半もかかってるバンドは実家から仕送り送ってくれてる両親に怒られた方が良い。
ルックスも良い。俺は博多華丸・大吉が大好きなんだけど似てる。イケメン。メンバーの服装も統一感がある。まず見た目で「私共はみなさんの大好きな邦楽ロックバンドでございます」をできなきゃ絶対邦楽ロックとしては売れない。コンビニで売ってるチョコレートは大体パッケージに赤か茶色が入っているだろ。ちゃんと「俺たちはチョコだよ!」とアピールしないと手にすら取ってもらえない。メンバーにヒゲが生えてるのなんか論外だ。剃れ。
最近、今のバンドなんか裏打ちダンスビートやっときゃいんだろ!?KANA-BOONパクっときゃいいんだろ!?みたいなバンド多いですけどね。ただやっておけば良いってもんじゃないんだよ。グレーのチェスターコート着とけばモテるかもしれないけどな、靴がティンバーとか中がボーダーとかそりゃギャグってもんだよ。裏打ちにもちゃんと上手に乗るフレーズを乗せるべきだ。
そう思うとthe quiet roomの歌メロはちゃんとドラムに沿ったメロディを唄っている。口ずさんで気持ちのいいリズムを描いている。
成長する奴は強い
一年前の音源だ。まだ細かいところを遊べていない。最低ラインにやっと立ってフラフラな印象だ。いやその最低ラインに立つまでに9割9分のバンドが死んでいるんだから並々ならぬことだけれど。
伸びるバンドは、やはりメロディが強い。イントロのギターからサビの覚えやすさまで徹底して良いメロディを持ってきている。売れてるバンドだってなかなかこうは行かない。
このメロディセンスに今や十分すぎるぐらいのアレンジ力まで加わってきている。強い。
邦楽ロックは似たり寄ったりかもしれないし、バンドやってるくらい音楽が好きな人からしたらば「ああいうの聴いてる奴ってなんでもいいんでしょ結局」なんていう風に思えてしまうかもしれないが、アホそうな中高生も意外とそんなにアホじゃない。俺たちもアホだったけどアホなりに好き嫌いあっただろう。人気歌い手に上手いメンバー付けてそれっぽい曲歌わせときゃ売れるっしょなんてやったって、勘のいいガキは流せない、と思う。
狭いジャンルの中で本当に自分が好きになれる曲を毎日探してる耳聡い学生にはバッチリ来るバンドだろう。
the quiet roomにはこのまま邦楽を煮詰め切って欲しい。