w-inds.が気が付いたら超音楽オタクになってた
ウインズ。昔一度ハマったことがある人も多いと思います。
今の10代の子はなかなか知らないと思うので軽く説明すると、w-inds.は所謂ダンスボーカルユニットです。歌って踊る男達っていうと今でこそEXILE以外は全部韓流、みたいな風潮にがあるけど2000年代にはまだ国産のダンスグループがいたんですね。その一角がw-inds.です。
w-inds.がデビューした当時僕は中学生くらいだったはずなんですが、安定してクラスに2,3人くらいファンがいたような記憶があります。25歳より上の人は殆どみんな知ってるはず。
で、そんなw-inds.なんですが僕の知ってるのはこんな感じの可愛らしい少年達だったんですが、
w-inds. - Feel The Fate
それが今ではこんな感じ
w-inds. - We Don't Need To Talk Anymore
なんだろうこのミズゴロウがラグラージに進化した感じ。
最初聞いたとき、名前が一緒なだけの別のグループかと思いました。というかもはやメンバーと名前が一緒なだけの別グループのレベル。
とまあ、ただ凄い変わってるだけだったら「スゲエ変わっててワロタ」で終わってしまうんですが、w-inds.の場合は普通に曲がかっこ良いし、個人的に凄く良い変わり方したなと思ってまして。
ちょっと大げさかもしれませんが、今のw-inds.はマジで今の邦楽に足りないところというか、必要だと思うことを実践してるんですよね。
今回はそういう話をしようかと思います。
今の洋楽とリンク
なんか最近の邦楽、面白くないなと思っている人少なくないんじゃないでしょうか。理由は色々考えられるけど、一言で表すと新鮮味がないってのが致命的かなと思うんです。
一方洋楽はというと結構シーン全体で大きな流れがあって、頻繁にトレンドが変わってるんですね。今はというと大きな流れとしてクラブミュージックがあって、その上で去年はケンドリックラマーをはじめとしてトラップ系の音楽がめちゃくちゃ流行りました。もうEDMは割とオワコン気味らしいですよ。
Taylor Swift - We Are Never Ever Getting Back Together
カントリー畑のシンガーだったはずのテイラースウィフトも、大体この曲を起点に曲の作りがクラブミュージック化してるんですよね。音自体はギターの音のカントリー感が若干残ってるけど、曲自体はループとビートが主体になってて、まあつまりクラブミュージックなわけです。
一方日本はテラスハウスでテイラースウィフトをガンガン鳴らしまくってたにも関わらず未だに歌謡曲。表面の音色だけは今っぽくなっていますが、結局は歌・メロディのために伴奏があって、という音楽なんですね。根幹は80年代辺りからほとんど変化してないんですよね。
w-inds. - Time Has Gone
w-inds.は少し前から自分たちで曲を作るようになったそうなんですが、凄く洋楽。ちゃんと今の洋楽を取り入れてるんですよね。根幹から。音楽の主軸が歌じゃなくて、あくまで全部で一つの音楽という考え方で出来てて、だからいわゆるサビが無くてもちゃんと成り立ってるんですよね。
曲の作りがシーンに一石投じてるんですよね。元々ダンスグループという割と保守的な界隈からってのでギャップもあるんですが、それ無しでも凄いなと。反抗の音楽であるはずのロックですら、ウチはウチみたいな考えで、日本のリスナーだけをターゲットにしてガラパゴス化してるなか、よくやってくれたなと。
音楽の面白さは人間性
持論なんですが、音楽の面白さって書いた人間のイカレ具合とイコールだと思うんですよね。
良く性格が顔にでるとかいうけど、それと同じで音楽も人間性が凄く滲み出てて、潔癖症なやつが作ると音楽も潔癖な感じになるし、アツいヤツが作るとアツい曲になるし、曲は良くできててもなんか面白くない曲の作者と話してみたりすると、やっぱりどこか優等生チックで面白くないやつだったり。
極端な話ですが、僕たちは曲を通して作者の人間性を覗き見て楽しんでるんじゃないかと思うわけです。
w-inds. - Dirty Talk
w-inds.の場合は曲から漂う音楽オタク臭が凄いんですよね。上の曲は最近公開された曲で最近のw-inds.っぽいサウンドをベースにルーツのJ-popを乗せてみたって感じの曲なんですが、これとか結構典型ですね。
例えば曲の中盤の”デン!”っていうシンセ音は専門用語でオケヒって言うんですけど、絶対ダサいのわかってワザと入れてきてるし、他にはJ-popっぽい曲調に対してあり得ないくらいキックドラムが強いし、良く聴くと歌より音デカいですからね。上っ面だけJ-popで中身はゴリゴリのダンスミュージックになっててめちゃくちゃ面白いんですよね。音楽マニアだったり音楽を作るのが好きな人がニヤリとするポイントがめっちゃ詰め込まれてて好き。
スネアやフィルのリバーブにはサイドチェインをかけてアタックを残すリバーブをかけましょう。
そうするとオケに埋もれないリバーブのあるスネアが作れます。#w-inds #newsingle #新曲 #lesson #気まぐレッスン pic.twitter.com/TolSdJsxf3— Keita Tachibana (@KeitaSHSF) 2018年2月6日
音楽を聴いても伝わってくるんだけど、完全に一番楽しんでるの本人なんだよな。
なんか最近のw-inds.がすげえ良い感じだなって思うのがここなんですよね。やってる本人が楽しそうなところ。去年はリミックスコンテスト開いたりしてたし。音楽的にめっちゃ楽しいことしてる。
最近の音楽業界ってお金のやり繰りがしんどいせいか、どうしても余裕が感じられないことが多くて。具体的にいうとみんな出す一曲一曲で売り上げを狙い過ぎるんですよね。王道の売れ線の曲ばかり連発しちゃって。
ロックバンドがフェス受けする曲しか作らない問題にも似てるかなと思うんですが、どうしても売れ線の曲ばかりだと息苦しいというか。ツマミ無しでずっと酒を飲み続ける感じです。色んなパターンの曲があって、たまに必殺の一曲がでてくるからグッとくるんじゃないかと。
そういう意味ではw-inds.の今回のリリースは”良いハズし”だと思うんですよね。正直なことを言えば今回の曲、最近の洋楽っぽいw-inds.が好きな人はもっと洋楽に寄せたヤツが好きだろうし、昔からのファンはもっと王道のJ-popの方がウケるんじゃないのかって思うんですが、そのどっちにも媚びていかない感じというか、ファンが主軸というよりかはあくまでアーティスト側が面白いものを発表していくってように感じるんですよね。
人間って楽しそうなことをしている人の周りに勝手に集まっていくものだと思うんですけど、短期的なセールスよりもこうやって自分たちの音楽を突き詰めていった方がトータルでみるとプラスになっていくんじゃないかと思うんですよね。
いかがでしょうか、みなさん。w-inds.のイメージ変わったと思います。色眼鏡掛けず耳で是非確かめてください。
それでは!