ぼくのりりっくのぼうよみ新曲 Newspeak ぼくりりファンには難しすぎるのでは
メジャーのA&Rたちは日夜スターアーティストの育成の為に色々つぎ込んでいるわけだが、やっぱりVictorの今年のイチオシは通称「ぼくりりくん」こと、ぼくのりりっくのぼうよみらしい。ビクター、マジでやる気です。
そもそも、日本でヒップホップアーティストって言えばヒルクライムみたいな金ジャージとキティちゃんサンダルが制服で、家はドン・キホーテの駐車場、みたいな人たち向けのコンテンツだったんだけど、ぼくのりりっくのぼうよみみたいなクリーンな、パルコの駐車場みたいなイメージのヒップホップっていままで存在しなかったわけで、前例があるとしたらせいぜいDAOKOぐらい。
なんだけども、ぼくりりくんに関してはインタビュー出稿しまくり街に広告張りまくりしまいにはテレビにまで出してな、ビクターの金突っ込み具合から見るに、DAOKO以上の波を彼に期待しての博打、ビジネスという名の馬券博打を打っているようだ。
しかしこのぼくりりというお馬さん、走るんだよなこれが。爆走っすよ。声は良いし、客の肌感をちゃんと理解している。テレビに出演していても「なんかこの人ウケ狙って変なこと言わないだろうな…」と岡崎体育の時みたいに心配しないで済む。ネット上での行儀も実に出来ている。AV女優フォローしまくってんのも良い。かわいいぜ。こんなアーティストばっかならマネージャー業はさぞ楽チンで楽しそうだ。そんでもって1stは傑作曲揃い。
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これね、買いです。今日本の音楽が向いてる方向の最先端行ってる。
公式ページのトップでは桑田佳祐と並んで陳列されているし。ビクターはマジでやる気。今年のメジャー新人枠は、ぼくりりと藤原さくらの一騎打ちらしい。俺はぼくりりを応援したい。両方とも音源自体は文句なしに良いけど、単純な好みで俺はぼくりり派だ。
で、そのぼくりりくんなんだけども、来る7月20日に新EPディストピアが発売される。
それに先駆けて、新曲NewspeakのMVが公開された。のだけど、これがちょっとどうやら既存のファンからウケが悪いらしい。
「いや、曲いいのに、でもなるほどな」
と、納得すると共に、なんか、落ち込んだ。今日はそんな話をしようとおもう。
日本人、サビの盛り上がりで好き嫌い判断しすぎ問題
ほぼ結論がここにでている。とりあえず曲を聴いてみよう。
出だしのドラムから、攻めたな、と。
最近のメジャー音楽では、ドラム、特にキック(ドスッって重い奴)は打ち込みの電子ドラムで鳴らすのが前提だ。BUMPですらシンセでキック鳴らしてるし。耳派手さを追求した結果生ドラムのキックは淘汰されたらしい。1stのhollow worldは出だし一曲以外ほとんど打ち込みか、生の下に低音足すなりなんなりしていた。
と思いきや今回急なナチュラルドラムよ。楽器もアコースティック色が強い。
とにかく音が軽い。俺は好きだけど、セカオワとかで電子音慣れした十代にはパンチが足りないかもと。寿司で言うなら1stは炙りチーズマヨサーモンとかハンバーグ巻。今回のNewspeakはそうだね、シメサバぐらいじゃないだろうか。俺にはぼくりりのファンの高校生たちが、一貫目からシメサバ食うとは思えないんだよ。そんなのおばあちゃん子か酒飲みだろ。
でもってサビがね、連絡なしにくる。洋楽、とくにイギリス側だと結構当たり前にこういう楽曲は存在するんだけど、邦楽の特徴の一つとして、サビ前にはほぼ必ず連絡がある
たとえば
1分5秒から
この感じ。言葉で説明するならば、セブンスコードで終わってブレイク入って無音、ボーカルだけソロで2拍くらい食ってサビの頭拍でクラッシュシンバルと楽器隊ドーン!みたいな。これをみなさん日常的に浴びてるもんだから、こういうパターンを聴くと無意識に
「あ、次サビなんですね」
と理解が及ぶわけ。そんで「わーい!サビーだ!もりあがりー!!」ってなるの、人間は。やっぱり俺たちは昆虫だよ。
1分12秒から
「ハイ!サビ前です!楽器静かになりましたよ!サビ来ますよ!!盛り上がってね!!ボーカルソロで入りましたよ!!ほら!!サビ!!くるよ!!!!!」
みたいな。俺は人間性がもうダメなので、こういうのすごい馬鹿にされてる気持ちになるんだけど、それでもやっぱり気持ちいいと感じる部分もあり、やっぱりこういう所が楽曲の"わかりやすさ"という奴になってくる。
1stは、わかりやすく且つポップソングとして優秀、後ろのトラックはメチャクチャ遊び心があってさらに現代的。「売れるだろうし、普通にいいじゃんこれ」と、音楽が好きな人も、音楽は耳にとまったものを聴く、みたいな人にもウケる、商品としても作品としてもハナマルな出来だった。
しかし今回のNewspeak、そういう連絡一切なし。シメサバ。日本のメジャー音楽にいる客層にはちょっとウケが悪そうな曲だなと。事実
「新曲なんか違う…」
「いまいち盛り上がらない…」
「池田エライザどこ…」
みたいな声が多数挙っている。やっぱり俺たちは電気信号に反応する悲しき昆虫である。サビの連絡と池田エライザが欲しくてたまらないらしい。
しかし今回は商品面としてはウケが悪いかもしれないが、リードの楽曲から攻めて来たところを見るに、作品としてはかなり面白そうだなと今から楽しみである。
さて、ぼくりりくんの挑戦。どうなるか。シメサバ!
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