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サカナクションの音楽的な凄さ、面白さを紹介する記事

 この世には「凄いとされているが、実際何が凄いのかイマイチよくわからない」というものがある。

 例えばゴッホの絵だって、そりゃあ有名だし教科書にも乗ってるしスゲエもんだってのはわかるが、実際なにが凄いのかと聞かれると答えられる人は少ないだろう。

 今の日本の音楽で言うとサカナクションでその現象が発生しているように感じる。コンピュータでなにやら難しそうなことをしているし、評論家的な人は絶賛するし。

 ということで、今回はゴッホの絵の凄さ、魅力を解説する具合で、サカナクションがなぜ凄いのか、なんでグッとくるのかを紹介していきたいと思う次第である。


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道がないところを進むスタイル


サカナクション - 『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』

 こちら、中毒性の高い曲が多いサカナクションの曲の中でも特に半端ない中毒性を誇る一曲『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』

 曲のタイトルからしてアレだが、みなさん薄々変な曲なんじゃないかと思っていなかっただろうか?大丈夫、立派に変な曲だ。

 現在の日本のポップミュージックの暗黙のルール、Aメロ、Bメロ、サビときてサビで一番盛り上がるというやつをフル無視。ビートルズの時代に戻ったかのようなサビとかサビじゃないとか全然わからない構成。

 この曲のメロディパターンは3つしかないが、それぞれ違ったアプローチで聴かせることによって、様々に表情を変えていく。一般的なJpopのアレンジとは全く逆の手法。ある趣、構成美すら感じる斬新なアレンジだ。

 あとバッハの旋律を夜に聴いたせいです。なんていう普段ならこっちが鳥肌が立ちそうなキザなセリフがすんなり収まるのも凄い。絶妙に無機質な何とも言えないアンニュイな感情の歌い方で成り立っていると思う。多分コレ以上でも以下でも聴いたら恥ずかしくなってしまう曲になってしまうんじゃないだろうか。

 

 ファンのみなさんならご存じ、サカナクションはかなり実験的な側面が強いバンドである。

 サカナクションの実験性の一番わかりやすい例で上の曲を挙げたが、アルバム曲の中にはもっとヤバいのが沢山ある。個人的にはAme(B)が好き。アルバムの初っ端からいきなり裏切られるあの感じがたまらん。

 もちろんサカナクション以外にも実験的な音楽をやっているミュージシャンは無数にいるが、実験性という言葉にアンダーグラウンド的なイメージを抱いてしまうところからもなんとなく察しはつくが、実験性と売り上げを両立できるミュージシャンとなるとほとんど皆無である。

 彼らが実験性と売り上げを両立できたのは、その実験性の根底にポップさがあるからだと思う。既存のやり方以外の方法でポップミュージックを表現できないかというストイックなチャレンジ精神が曲から伝わってくる。

 

超Jpop


サカナクション - 夜の踊り子

 何かを褒める時の「日本人離れした・・・」というベタな謳い文句があるが、サカナクションはその逆、超日本人、日本人であることを突き詰めたバンドであると思う。

 

 みなさんは「英語で歌われているけど、日本人が作った歌なんだな」と感じたことはないだろうか。この日本人っぽい、っぽくないというやつを生み出している要因の一つに言葉の違いがある。簡単に説明すると言葉が持っているリズムの違いになる。

 分かりやすく言えばカラオケでサッと歌いやすいメロディは日本語的なことが多い。普段喋ってる言葉と似たリズムのメロディなので歌いやすいのだ。

 日本語らしさが強いと耳なじみはよくなるが野暮ったく聞こえてしまう。突き詰めると盆踊りのBGMみたいな感じになる。

 逆に日本語らしさを抜いて洋楽に寄せていくと野暮ったさは減る半面、親しみやすさは減っていってしまう。

 

 さて、さきほどサカナクションが超日本語的と言ったが、単純な歌だけみれば同じくらい日本語的なメロディを歌うバンドは少なくない。そういうバンドは結構いる。

 ではなぜあえて取り立てるのかというと、サカナクションはその中でもとりわけ日本語的メロディを大切にした上で、新しい手法を模索しているからだ。

 上に張った曲、夜の踊り子も、エレクトロ+ロックの曲の中でもかなりクオリティの高い一曲だ。そんでもって、ちょくちょく見せる和風なメロディから根本的なリズムまで凄く日本的。

 例えるなら最高の和風ハンバーグ、海外から入ってきたハンバーグという料理を日本人の舌にあうようにアレンジして、そしてその一歩先まで行く感じ。

 日本人でしかできない音楽表現を突き詰めていくのがサカナクションというバンドである。

 

進化がヤバい

 サカナクションの凄いところの一つが毎回作品をリリースする旅にレベルアップしているところ。

 もちろん、どの時代の曲が好きかというのは個人個人によって違うと思うが、曲自体のクオリティで言えば毎回毎回最高傑作を更新してくる。

 一番最新の曲の「新宝島」も一見すると凄みみたいなのを感じにくい曲調だが、凄い。バランス感覚がヤバい。


サカナクション - 新宝島

 新宝島という曲の中にはカッコいいポイントは幾つもあるのだが、個人的に是非注目して聞いて欲しいのがイントロとアウトロで使われる「デーンデーンデーデーデー」というフレーズだ。

 この妙に荘厳なフレーズだが、みなさんいかがだろうか。僕はダサいと思う。とても。でもこのフレーズに曲の根幹にかかわるトリックが隠されているのである。

 みなさん一度このフレーズに注目して一曲通して聞いてみてほしい。イントロで聴いたときにはダサいと感じたフレーズが、一曲通して聴いた後にはめちゃくちゃグッとくるフレーズに聞こえないだろうか。

 先ほどの日本語の話のところでも書いたが、ダサいとカッコいいというのは紙一重のところがあって、あるシチュエーションではダサく聞こえたフレーズも場面が変わればめちゃくちゃカッコよく聞こえるのである。

 この曲ではそれをうまく利用して作られているのだ。インタビューにて「一度使ったフレーズを意味もなく、なんとなくでもう一度使うのは嫌だ」と答えていた彼ら、このめちゃくちゃグッとくるダサいフレーズも偶然ではくて確信犯的に作られたのだろう。

 しかも一番最後の一音を外してきて、余韻を残す感じもすごくいい。

 

 と、曲の一部分だけとってみても凄まじいバランス感覚の上に成り立っているのがわかる。

 歌詞の方もすごく絶妙で、1から10まで全部説明せず大事な部分だけを抜き出して、全てを語らずに、若干物足りなさを感じるようにできていると思う。その若干物足りなさをアウトロで言葉を使わずに語っているのだと僕は思う。

 パッと聞いて凄そうに感じる派手さこそないものの、全体の絶妙なバランス感や、細部までこだわったサウンド等々現時点で最高クオリティだ。

 

いかがだっただろうか

 今回は音楽的な側面にフォーカスして記事を書いたが、それ以外にも面白いことを沢山やっている。

 最近だとパリコレの音楽を担当したやつも非常に面白いし、サカナクションがオーガナイズするイベント「NF」での活動も面白い。

 音楽以外の部分でも日本の音楽のありかたをポジティブに変えようと活動しているのだ。

 そのあたりの活動はインタビューにて本人の口から語られているので、ここでは割愛しよう。インタビューでは彼らがどれだけ真剣に音楽のことを考えているのか凄くよく伝わってくるのでお勧めだ。

 

 ということで若干わかりにくい内容になってしまったかとは思うが、サカナクションの凄さが伝わっただろうか。

 普通に聴いてもめちゃくちゃカッコいいが、ひたむきに音楽に取り組むその姿勢も合わせるともっとカッコよく見えてくる。

 あと個人的には、もちろん一ファンとしてこれからもサカナクションの活動を楽しみでにしているのだが、それと同じくらい、彼らの後の世代の音楽がどのようなものになるか楽しみである。音楽の世界で彼らが開拓した新しい道を見た次の世代の音楽はもっと面白いものになるだろうと思う。

 ということで今回はこのあたりで。

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