ヘビメタ聴きながら、デスボイスでファック・ユー!メタルヨガ
ナマステ、お前ら。
以前の記事でバンドマン用ヨガをご紹介したのだが、ニューヨークはブルックリンでイカれたヨガを発見した。Saskia Thode先生率いる『メタルヨガ』だ。名前の通り、ヘビメタを大音量で聴きながらヨガをするという、シンプルに変態なクラスだ。
私が通うスタジオにSaskia先生がワークショップに来てくれて、興味本位で取ったのが知ったキッカケ。メタルに無知な地味ブスの私でも非常に楽しいレッスンだった。
先生にインタビューを取り付けたので、ご本人からメタルヨガの魅力を語ってもらったよ!
その前にイカれた内容
序盤の瞑想時
Saskia先生(以下先生)「サタンがあなたの元へ降り立って来たわ。目を閉じて」との解説から入る。
ヨガのクラスで「サタン」という単語を聞いたのは、ヨガ暦6年で初めてだ。ラスボスかよ!
そして、基本の手がこれ↓
フォークと言うらしい。
通常のヨガは手をしっかり開いた状態が基本だが、さすがメタルヨガ。
呼吸法
先生「息を吐きながら、デスボイスで、せーの」
生徒『あ’’’’’’あああああああ!』
力の限り絶叫しなければならない。その際は必ずライブにいる時を想像すること。
Downward Facing Dog (下を向いた犬のポーズ)
先生「アタシの友達が、このポーズ、バックでヤッてるっぽいって言ってたわね。ってことで、バック(ドギー•スタイル)のポーズ!」
…これ、スタジオの師匠にバレたらマズいっす先生。
先生が勝手にデストロイヤーのポーズと改名。
先生「中指を立てて、嫌いな奴を想像して、全員でーーー、3・2・1」
生徒『ファック・ユー!!(絶叫)』
ヨガでFワードを発する日が、我が人生で訪れるとは…最高じゃねえか!
Salabhasana (バッタのポーズ)
先生「あなたは、今、ライブ会場のモッシュの海でダイブしているのよ。想像して」
これだけ見ると、かなりふざけた内容に思えるが、実際のレッスンは初心者向けにも関わらず結構キツい。面白い指示もポーズも、ヨガの哲学からは脱線していない。先生の腕の良さが際立っているのが分かる。
メタルヨガのある、Cobra Clubってこんなトコ
(あれ、酒場じゃね?来るとこ間違えた?)
メタラーのお兄さんが酒盛りしているぞ…。
と、思ったら、奥の小さなイベントスペースで行っているらしい。
Cobra Club
6 Wyckoff Ave, Brooklyn, NY 11237
+1 (917) 719-1138
Saskia先生のメタルヨガ: (Wed) 18:30-19:45 / (Sun) 15:00 - 16:15, $13
って事で、Saskia先生からのインタビュー
少し前に自転車事故に遭い、手術入院されていた先生の復帰第一弾のクラス…
大怪我で、本当に骨にメタル(金属)を入れる大惨事だったそうだ。シャレになっとらん、マジで。
声もあまり出せなくて辛そうなのに、とても親切に応じて頂いた。ありがたい…
ーそもそも、メタルを好きになったのはどうして?
先生「私、西ドイツ出身なんだけど」
ードイツ人だったんですか?てっきりアメリカ人かと。笑
先生「そうよ、あの辺はメタル文化が強くて。気候がどんよりしてる影響だと思うんだけど、デスメタル好き人口がやたら多くてね。叫びたくなるのよ、あの鬱になりそうな気候!笑 あと、母がメタラーだったので12歳頃からフェスに行ったり、コンサートに行ったりしていた影響もあるわね。」
ーメタルヨガを始めたキッカケは?
先生「メタルを聴きながら自己練習をしてて…そしたら、他に何の音楽かけていいか分からなくて。
師匠に相談したら『そのままで練習を続けた方がいい』って勧められたのをきっかけに、友達に教える所から入ってクラスを持つに至ったわ。」
ーメタルヨガの魅力は?
先生「ヨガってスピリチュアルで宗教的なイメージが強くて、最初は取っ付きにくい人が多いと思うの。特に私の周りのメタラー達も食わず嫌いばっかり。
真面目でつまんなそうなヨガを面白く、楽しく、気楽に挑戦して貰えるのは最大の魅力よね。」
ーメタラーを始め、多くのミュージシャンがクラス取ってると思うのですが…通常のヨガと比べてみて、音楽好きがやる際のメタルヨガの利点は?
先生「それはもう、叫べることでしょう!!笑 メタラー達は普段、ずっと叫びたくてウズウズしてるの。笑 メタラーって怖くて暴力的なイメージが強いと思うけど、実は良い奴ばっかりなのよ。笑 やり場のない怒りや憤りを、ひたすらライブや音楽で発散しているからね。
ヨガってポジティブになろう!って、良い部分を強調する傾向にあるけど、メタルヨガは、誰もが抱えている闇や怒り、ストレスを思いっきり吐き出して解放出来るようなレッスン内容になってるわ。」
ー最後に、地下室Timesの読者にひと言。
先生「とにかく、是非一度来て試してみて!!絶対に楽しいから!ヨガに変わりはないので、いつもと違う音楽=メタル聴きながら良いストレス発散になるわよ。」
かかってたメタルバンドから、3つ
Meshuggah
スウェーデンのエクストリーム・メタルバンド。
Slayer
カリフォルニア出身、 Metallica, Megadeth, Anthraxと共に四大スラッシュ・メタルと言われていたらしい。
Saint Vitus
ロサンゼルス出身、ゆっくりしたテンポが特徴のドゥーム・メタル。後半からの、リラックスポーズに掛けての終盤に使われていた。
先生「毎日、プレイリストを変えるようにしているの。取るポーズによって掛ける音楽を変えたり、全て計算して周到に準備するように心がけているわ。
メタルヨガで一番大事なファクターって音楽だからね。生徒からのリクエストも受け付けるし、希望があれば生徒のi phoneでメタルを流したりもしている。
私だけの好みに偏らないように十分注意してセレクトしているわ。」
簡単そうで、適当に教えているように見えるヨガのクラスだが、指導する先生はポーズや面白おかしい指示内容、選曲を事細かにしっかりと考え尽くしている。
生徒に楽しく良いレッスンをしてもらえる事を第一に考えているのが伺えた。
何十人もヨガの先生を見てきたが、Saskia先生は熱心で指導上手な上に、本気でヨガを志している先生に間違いない。
こんなぶっ飛んだヨガのレッスンは、日本ではあまり馴染みがないだろう。
メタルヨガを受けに、思い切ってニューヨークまで遊びに来てみるのもアリかもしれない。