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2016/07/16

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難聴マジヤバイ。「自分だけは大丈夫」なんてことはない。傾向と対策。

「自分だけは大丈夫」
専門用語では正常性バイアスという。病気にしろ事故にしろ災害にしろ、特になんの根拠もないというのに自分には降りかからないような気がしてしまうアレ、それが「自分だけは大丈夫」というアレだ。
病気災害事故はもちろん仕事や将来のアレソレなど色々心配ごとが絶えないが、音楽好きのみなさんに気をつけてもらいたいのが今回のテーマの「難聴」だ。
昔からよく大音量で音楽を聴いていると難聴になるぞと言われていたが、なんとなく自分はそうならない気がしてしまうもの。私もそう思っていた一人だったが、最近親しい友人が若くして結構残念な感じに難聴になっていたのでその怖さを再認識した次第である。

調べてみたところデカイ音を聴きすぎてなる難聴は「騒音性難聴」というタイプらしく一度それになると二度と治らないらしい。

ということで今回は難聴を引き起こしやすいヤバイ行動とその対策について紹介しよう。

難聴になったK君のケース

私の難聴になってしまった友人、K君という。
彼の難聴が発覚することになったのは、奇しくも彼の作った音源によってだった。
いわゆる宅録で録音からその後の編集まで自分達で自分のバンドの音源を作っているのだが、最近出来上がった音源が高音がやたら強いシャカシャカとした音源になっていた。
彼のバンドメンバーから話を聴いたところ「K君は高音が聴こえなくなってきている。自分が聴こえないのでドンドン高音上げていく・・・」とのこと。悲惨。
言われて見れば普通に会話しているときも以前に比べ反応が鈍くなったというか、ボーっとしているといるし聞き返されることが増えたような気がする。

どうしてこうなってしまったのだろうか。
彼の普段の生活が影響しているのは間違いないのだが・・・

まず最初に思い浮かぶのが彼の職業。
現在彼はPA(音響屋さん)を生業としており、まずその時点で難聴リスクプラス1点。PA屋さんが難聴になったという話は良くあるし数多ある職業のなかでトップクラスに難聴になりやすい職業だ。
さらにPAになる前は長いことライブハウスにてスタッフとして働いていたのでそれも原因の一つだろう。
そして自身の音楽活動、バンド活動ではギター・ボーカルをやっているが、ドラムも叩けるのでたまにドラマーにもなる。しかもそのドラミングスタイルがパワーヒッター型で、力一杯ドラムセットをシバキ倒してデカイ音を出しまくる・・・
家ではDTM、宅録で耳を酷使しまくるといった具合。音楽に溢れた素晴らしい生活だとは思うが、いつ耳を休める気なのだろうか・・・
極めつけは移動時に音楽を聴く際のヘッドフォンの音量のデカさ。本人曰く「電車に音で負けるのが嫌」とのことだが、アイポッドの音量は常にマックスまで上げるという男らしさ。マジ愚か。一時期彼がヘッドフォンをしているときに話しかけても絶対に気づかないと噂になっていた。多分コレが一番致命的だと思う。

なかなかここまで徹底して耳を破壊する生活を送るのもある意味難しいとも思うが、結果として彼の耳の細胞は破壊され、齢24にして生涯にわかって高音が聞き取りづらくなってしまうという悲しい結果を生み出した。完全に自業自得だがなんか色々と悲しい。

彼のケースは確かに極端だが、耳を酷使した結果聞き取りづらくなってしまう騒音性難聴は本来、30代や40代になったときに長年のダメージが蓄積されてなるものである・・・
逆に言えばココまでやらなくても日常の習慣次第で、みなさんも将来難聴になるリスクが高まるということだ。ちなみに難聴リスクが高い職業は音楽系以外だと工事現場やコールセンター、ブルドーザーの運転手などがある。思い当たる節がある人はより一層気をつけて欲しい。

繰り返しになるが、デカイ音を日常的に聴きつづけた結果なる難聴、騒音性難聴は今のところの医療では治すことが出来ない。
ということで音楽関連で耳に悪い習慣とその対策を紹介しよう。

 

ライブハウスなどの大音量と音響性外傷

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「ライブの際にスピーカーの前などうるさい場所で見ていたら、しばらく耳が聞こえにくくなった」という現象になったことはあるだろうか。
この現象を医療用語で「音響性外傷」という。名前のとおり音によって耳に怪我を負った状態だ。
医者によるとこの状態になる時点で既に結構耳へのダメージが大きいらしく、なったら速やかに診療して欲しいとのこと。
程度にもよるが一応この状態では聴力は回復することが多いらしいが、音響性外傷になった後に治療せずに耳の酷使を続けるとK君が患った「騒音性難聴」にクラスアップしてしまう。
過度に難聴を恐れてライブを楽しめなくなるのもアレだが音の大きいライブハウスやスピーカーの前などは注意した方がいいだろう。場合によっては耳栓をした方が良い。

 

ヘッドフォン・イヤホン

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一般的にスピーカーから音楽を聴くのに比べてヘッドフォン・イヤホンで聴いたときのほうが耳へのダメージが大きいと言われることが多いが、調べてみたとこと発言者によって言ってることがマチマチで実際にどうなのかはイマイチわからない模様。ただ耳にとってダメージの大きい高域の音はスピーカーよりヘッドフォンの方が大きく出てるので、やっぱりヘッドフォンは耳に悪いはず・・・。

とは言え日本の住宅事情と音楽を聴くスタイルのことを考えれば、ヘッドフォンやイヤホンを使うのを避けるのは難しいだろう。
ではヘッドフォンやイヤホンを使用する時に注意したいのが、音量と使用時間だ。

まず音量に関してだが、音が小さければ小さいほど耳へのダメージは少ないのは当たり前だが、外出している際に周りの音が聞こえない音量と言うのは完全にアウトということは覚えておこう。
特に気をつけたいのが電車の中。大体車内は80db位になるが、まずこの時点で耳にはあまりよろしくない音量が出ている。その上で電車の音に勝つくらいの音量で音楽を聴くとなると、大体それが100dbぐらいになる。
その時点で危険なレベルまで音量があがってしまうのだ。
そもそも電車の中といううるさい空間で細かく音楽を聴こうというのが間違いという心持で、音楽に電車の音を混ぜて楽しむくらいの心の余裕を持っておくか、ノイズキャンセル機能をもったプレイヤーを使うかしよう。

次は使用時間だが、こちらも使用時間が長ければ長いほど耳にダメージが大きくなる。
特にヤバイのが、通称”寝イヤホン”と呼ばれる習慣。名前のとおりイヤホンで音楽を聴きながら寝てしまうことだが、コレヤバイ。
15分くらいの仮眠の間イヤホンをしているならまだ大丈夫だが、たまに一晩中寝ている間ずっと音楽を聴いているやつとかいるが、音量が小さくともアウト。冷静に考えれば睡眠の質も悪くなりそうだしやめよう。寝る前布団の中で音楽を聴くのが好きな人は、寝落ちしてしまう前に気合で音楽の再生を止めて欲しい。慣れると消せるようになる。

 

バンド

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ここから先は音楽をやる側の話になるが、音楽をやる側の人間の難聴率の高さはそうでない人に比べて非常に高いので、より一層注意して欲しい。

とまあバンドやってる時点で耳に悪いのは当然の話なんだが、だからこそアレだ。
特にヤバイのがドラムのシンバルとギターアンプ。この二つは特に人間の耳の限界を容易に超えてきやがる。

まずシンバル、ロック・メタル系に顕著だが、そりゃあもう力一杯シンバルを叩く輩が非常に多い。
確かにそういったジャンルでは強く叩いた方が気持ちいいし、デカイ音で色々誤魔化せるのでドンドンでかくなっていくことが多い。
表現上力一杯叩くことが必要になることもあるので、強く叩くのをやめろとは言わないが完全に耳に悪いのは覚えておこう。自覚してると思うけど。
最近、耳栓をするドラマーが増えてきてるし、力一杯叩く系のドラマーは適宜アレして欲しい。

次、ギターアンプ。
主義主張は色々あるが、デカイ音を出してパワーアンプでドライブさせると良い音になるという俗説が蔓延っているためか(それようの専用機材アッテネーターというのもあるし)、まず一定数デフォルトで音量がデカイやつがいる。さらに単にデカイ音が好きなやつが一定数いて、ギターアンプってのは容易に音量を大きく出来るため、それでまたデカくなる。
その後、他のバンドメンバーの音がデカイせいだったり、音作りが下手だったりで自分の音が聞こえないので音量を上げるやつがあらわれる。それに反応して他のメンバーも音量をあげることになるという、ギャグみたいだがこの事態結構頻繁に起こりうる。対策というかアレだが、自分の音が聞こえない時は勇気をもって他のメンバーの音量を下げてみるのもアリだ。曲作りもそうだが、足し算だけじゃだめだ状況に応じて引き算をしよう。

 

DTM

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最近凄い勢いで増えてきてるのが、宅録ミュージシャンまたの名をDTMer。
日本の住宅事情もありヘッドフォンを使用することが多々あると思うが、これも結構やばい。

単純に音量が大きいほど良い音に聞こえるので徐々に音量が大きくなっていくし、作っている間に曲の全体の音量が上がっていくことある。
あと録音の際にはテンションを上げるためと伴奏を聞き取りやすくするためにさらに音量がデカくなる傾向もある。
そんでもって長時間の作業になることも多く、油断するとすぐに耳にダメージしてしまうのがDTMである。

ただ対策は割りと簡単で、単純に音量ツマミの度合いを覚えておくとかなり変わってくる。
作曲の際はここまで、録音は、ミックスは、マスタリングはといった具合にそれぞれの作業に合わせて目安にあわせる感じだ。
目安を作っておくことで「今音が聞こえにくいのは音作りがダメなせいだ」ということに気づけるしおススメ。

 

いかがだっただろうか

色々ツラツラと書いたが詰まるところ、単純に音量が大きくて聞く時間が長いほどダメージはデカイ。ただそれだけのことである。

あとライブハウススタッフや音響屋さんも色々気をつけて欲しいところだが、ここまでくるともはや自分のために音量をどうこう出来ないし、職務上なかなか耳栓することも出来ないことが多い。
とりあえず、仕事以外のときは出来るだけ耳を休めるようにするぐらいしか対策はなさそうである。

余談だが名古屋の某ライブハウスのPAさんが難聴なのかやたら音量がデカイ時がある。
こうなると音量デカくなるスパイラルに陥りかねないので、その辺りもなんか色々とこう、出来るんじゃないだろうか。

ということで今回は音楽に関わる全ての人に気をつけていただきたい「難聴」についてでした。
「自分だけは大丈夫」と思ってると一番ヤバイぞ。
それではみなさんお気をつけて。
あとK君の耳R.I.P.!


 

ちなみに騒音性難聴はだいたい4kHzから上が聞き取りにくくなると言われています。
4kHzの目安として、メタル系などのバスドラムのアタック部分。「ペチっ!」とビーターが当たる音が4kHzぐらいのことが多いです。
それより高域が聴こえづらくなってきていたら気をつけましょう。

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