04 Limited Sazabys好きなのは良いけど、GENの顔以外の話もしろよ
残念。これはピエール中野だ。
先週あたりに「KEYTALKがアイドル化してる」なんていう記事が出たばかりだけれど、フォーリミも負けず劣らずファンの挙動が恋する乙女のソレ。ジャニーズと何が違うのかわからない。俺は伊野尾慧が好きだよ。
仕方ないとは思う。バンドが成功するには10代の女子層をファンとして引っ張ってこないとやっていけないし、10代の女子なんて恋するために生きてるような生き物だもの、憧れの対象がアイドルか、V系か、読モか、韓国人か、EXILEか、アニメキャラか、バンドマンか、ぐらいの差はあれど、ほとんど誰も例に漏れず何者かに恋の眼差しを送ることをライフワークとしている。あとはツイッターみてメルカリやってる。
誰も何も間違っていない。バンドはアイドル化することが商業的成功に最も近い。ていうかそうならなきゃ食っていかれないないのだ。しかもアイドルは健康に良いし楽しい。バンド業界が盛り上がるのならばもっとアイドル化していけ、と思うくらいですらある。韓国には何の恨みもないが、K-POPが身も蓋もなく流行るくらいならバンド文化がもっと幅を利かせて欲しい。これ以上前髪スカスカカラコンオルチャンブスが国内に増えるくらいならば、サブカル黒髪ボブだらけになってくれ。かわいいから。
怒りで話が逸れた。本題に入りたい。
いくら女子中高生人気が高いからとは言え、GENの顔面人気は凄い。
まあ、わかる。こんなに性欲の強そうな顔、国内じゃ後はでんぱ組のねむきゅんぐらいしかいないよ。涙袋女の子みたいだもの。
ツイッターを見ていても「GENくんかわいい!」「声かわいい!」「GENくん怒ってる…」などなど、もうGENの話ばっか。NPCかお前らは。音楽性全然違うのにKEYTALKと抱き合わせにされるのは完全に顔面とキャラクターのせいだ。
確かに曲を聴いても一番最初に耳に残るのはGENのハイトーンボイス。しかし04 Limited Sazabysで真に聴くべきはそこじゃない。
今回はGENの顔面ばかりで盛り上がってちゃ勿体ないぞ、ということでフォーリミの音楽的な面を切り取って見てみたいと思う。
まず、みんなが大嫌いな小難しい話をしたい。わかりやすく説明するので我慢して聴いてほしい。
正直、売れる前はただのメロコアだった。メロコア、別名バンド界の待ちガイル。音楽性が完成され過ぎていてオリジナリティを出す部分が無く、フォーリミのように声を高くしたり、SHANKのようにテンポをクソ速くしたり、WANIMAのように歌詞にわかりやすくメッセージ性を持たせたりするくらいしか差異を持たせられないジャンルだ。
ハイスタから長く続くメロコアというジャンルだが、一時の大ブームが去ってからどのバンドもイマイチ大成功を収められなかった。しかしそこで一歩抜け出したのが
フォーリミだ。何気なくだた最近売れているバンドの一角として語られがちだけど、メロコアで今の時代ここまでハネるってのは並大抵のことじゃない。もっと称賛されるべきだと思う。
「フォーリミなんてチャラ付いたもんメロコアじゃねえ」
なんて言ってるオッサンと売れないメロコアバンドマンは自分たちで自分たちの好きな音楽ジャンルを衰退させていることに気が付いて欲しい。
顔の話ばっかすんなとか冒頭で言っておいて見た目の話から入るのは気が引けるけれども、髪型髪色服装など、外見が"邦楽ロックファン"にも"メロコアファン"にも受け入れられるギリギリの折衷点に着地している。普通のメロコアバンドって
*TOTALFATのみなさん
こうだから、サブカル女子みたいな子たちから人気出づらいんだよね。その点フォーリミはセーフ。邦楽ロックのルックス成分が多い。このさじ加減があざとい。
そして肝心の曲だが、この頃から歌メロで既存のメロコア曲と差別化を付け始めたように思われる。ハイトーンボイスも相まってメロコアの近寄りがたい匂いが消臭された。メロコア無限独行道がフォーリミによって邦楽ロックにやっと繋がったのだ。ファンに怒られてもいいけど、今WANIMAが人気出てるのは完全にフォーリミのおかげだ。不特定多数への感謝を歌う前にまずフォーリミにアリガトウと歌うべき。彼らが作った下地がなければ他のメロコアバンド人気なんかは絶対に起きなかったと断言できる。
最近のフォーリミ、一層ヤバい
今も昔も、売れている音楽の多くはどうやったって商売なので「今売れているものの焼き増し」を繰り返して、聴いたことあるような退屈なものばかり。聴いて貶すほどのことはないが何の感想も感動も出てこないものばかりだけれど、探すとたまにヤバいことやっている奴らがいるから捨てたもんじゃない。フォーリミはまさにそんなバンドだ。去年売れてからが、一層ヤバい。
フォーリミの最大の武器は、GENの声じゃなくKOUHEIのドラムだ。特にバスドラム。
メロコアというジャンルは、他の音楽ジャンルよりも演奏力やサウンドに要求されるレベルが高い。特にドラムの重要性が大きく、速いBPMで重く鋭いバスドラムをダブルで刻むのが基本となっている。
そんなメロコアで鍛えられたバスドラムがこれでもか、という程に曲に迫力を与えている。ベースやギターのアタマには無理にでもバスが入ってくるのだ。メロディにも合っている。重くて賢いドラムだ。こんなドラマー他の邦楽ロックバンドから見たら「ずるい」のひとことだ。ろくにテンポキープもできず上の方でツンツコ手数増やして派手に見せているだけのほないこかみたいなドラマーはみんなKOUHEIのドラムスティックを煎じて飲んでほしい。既婚者と知れたからにはもう容赦しねえからなコノヤロウ人の恋心を弄びやがってな!!
本当に引き出しが多い。ドラムだけ聴いていても何十回でも聴ける。フォーリミのメロコア脱却は、方向転換ではなく進化だ。
CD音源ならまだしも、こんなタイトな演奏ができるバンドがメロコア山脈から下山して来たら麓の邦楽ロックバンドなんかはたまったもんじゃない。裏打ちばっかりやってないでフォーリミのドラムを参考にドラミングを1から考え直してほしい。
流行に迎合して、ファン達が求める音楽を作るのも尊いけれど、本当に称賛されるべきは04 Limited Sazabysのように、存在しなかったものを新しく生み出したバンドだ。
こんなモンスターバンドに出会えているのに顔面の話ばっかじゃもったいない。もっと、曲を聴いてくれ。04 Limited Sazabysはアイドルじゃなくてロックバンドだ。