amazarashiがヒットした3つの理由
青森県むつ市在住の秋田ひろむを中心とする日本のロックバンドだ。
現在かなりの人気を誇っている彼らについて考えたい。
私は初めて聴いたとき、『すごいアーティストが出た』と思った。
言葉が厚い。
そこらへんに転がってる薄っぺらいポジティブソングとは全く違う必死さが伝わってくる。
携帯・ネットの普及、他にも様々な理由があるかとは思うが、行間が読めないやつが最近増えてきている気がする。
だから、『会いたい、会えない、でも会いたい』的な、わかりやすくて薄っぺらい歌詞が流行る。悪いとは思わないが、実際蔓延している。
amazarashiが流行ったのはその反動だと思う。
そういうインスタントラーメンみたいな歌詞を聴き続けてきたKY若者リスナーに
超ド級の老舗ラーメン屋が勝負を仕掛けてきたわけだ。
食べたことのない深みのある味の虜になるのは当然だろう。
amazarashiの歌詞は、現実むき出しだと思う。彼の人生経験が、歌詞の背中を押している。だから言葉に厚みがある。痛いし、刺さる。
薄っぺらい恋愛ソングの背中を押すのは、リスナーの恋愛経験だと私は思う。
歌詞に感動しているのではなく、自分の恋愛経験に酔っているんじゃないだろうか。
視覚効果がいい。
amazarashiというアーティストは視覚情報を大切にしていると思う。
顔は隠しミステリアスさを演出し、アートワークと楽曲を上手く融合させることでその歌詞世界にうまく引き込んだ。
前述した行間が読めないやつが増えてきていることにも繋がる。
行間が読めない層に、映像が彼らの理解を助ける役割を果たしたのではないだろうか。
音楽っていうのは本来、聴覚情報のみのものである。その分自由度が高いと私は思う。
某カゲ□ウプロジェクトだったりだとかはいい例だ。amazarashiは視覚情報を大切にしているのが伝わる。
PVにはほぼ必ず歌詞を表示しているし、歌詞カードにも気合いが入っている。
楽曲がいい。
結局これかよ。
そうだ。
歌詞の内容もさることながら、メロディーラインやリズムにも輝くものがある。
私はリズムがすごいと思う。彼らの楽曲は基本的にAメロはメロ感の薄いものが多い。
しかし、リズムに工夫があるため、聴けてしまう。
そしてその後にメロディアスなサビが来るため、ぐっと世界が広がったような感覚になる。
聴く者の心を突き刺す厚い厚い言葉を耳に馴染みの良いポップサウンドに乗せられたら、お手上げだ。
かなりいい曲が多く、選ぶのが忍びないが強いてオススメするなら『クリスマス』だ。
楽曲がスーパー美しい。ピアノもアタマがわかりにくくさせるような仕掛けが施されている。
キラキラしたイルミネーションをバックに、幼なじみの少女に口づけをしようとするが、一歩踏み出せない少年の淡く切ない恋物語
ではなく、
キラキラ光って遠くに飛んでいくミサイルを流星と見間違えた少女の話だ。
楽曲・映像の美しさとシニカルな歌詞のギャップに、私はやられた。
上辺の情報だけを見て本質を見失っていないかと、楽曲が私に語りかけてくる。
宗教的な話になるが、『雪』を罪を洗い流す存在だと考える人もいる。そう考えると、またこの曲の深みが増す。
単に美しいだけでなく、私の大好物である『ひとさじの悲壮感』が彼らにはある。
まだUstreamでは視聴したが、ライブにはいったことがないのでぜひ観に行きたいと思っている。