邦楽ロックバンドは3段階に分けられる説、あなたの好きなバンドはどれ?
一口にバンドと言えども、やってる人も聴く人もバンドごとにまったく違うわけで、当然各バンドごとに特色がある。
そんな雑多に混在する「バンド」というやつの中で、自分の好きな傾向にあるものを探しやすくするためにジャンルという分類が存在するのである。
しかし今日の邦楽においてジャンルなんてものはほとんど機能を果たしておらず、タワレコやTSUTAYA基準で物を言うのなら「V系」「J-ROCK」「J-POP」で終了。僕らは広大なJ-ROCKの中から好きなバンドを見つけなければならないのである。そこはKANA-BOONから人間椅子まで一緒くたにされる魔境。尾田栄一郎とみうらじゅんが同じ雑誌で連載を持つようなものである。試聴機が100台あっても無理。
と、いうわけで。今回はこの雑多で広大なJ-ROCK、邦楽ロックジャングルを少しでも見晴らし良くすべく、新機軸から3段階に分類しようと思った次第。これで明日からTSUTAYAの五十音順の狭間でみなさんが遭難せずに済む。もうタワレコメンには騙されるな。俺の目を見ろ。
ではさっそく3段階、見ていこう。
ポップ度による分類
このサイト内でも「ポップだ」「ポップじゃない」と逐一使われるキーワード「ポップ」みなさんどういう風に理解しているだろう。
"pop"の語源はご存知の通り"popular music"から、良く和訳するのであれば「民間の」「人気がある」、悪く訳すならば「安い」「大衆の」となる。
これに対する「ポップ」の僕なりの解釈は「わかりやすさ」「敷居の低さ」だ。この音楽は誰にでもわかりやすいか否か、そういう尺度で考え「ポップだ」「ポップじゃない」と記事で書いている。
で、本題だ。このポップという基軸で邦楽ロックは3段階に分けられる。というのが今回の言説である。以下実例と共に3分類みてもらいたい。
ポップ度高、新ジャンル「少女漫画ロック」
まずは一番ポップ度が高い勢力についてだ。表題に「少女漫画」と書いたが、なにもガールズバンドのことではない。むしろ積極的にメンズ。「少女漫画に出てきそうなロックバンド」のことだ。
実例を挙げましょう。SHE'SとかIvy to Fraudulent Game、サイダーガール、Indigo la Endといったバンドがここに当てはまる。もしかしたらflumpoolとかセカオワとかもここかもしれないが、彼らに関してはほぼロックではなくポップスなのでちょっと話がよじれる。
そうだね、バンド名や曲名にガールだのSHEだの「女性っぽさ」が入るとここいらの匂いが立ち始めるゾ。
特徴はというと、全員モテそうな痩せたイケメンがやってるという事。それでなんかこう女子中学生の子宮を狙い撃ちしたような世界観、空気感で勝負をかけているバンドのことである。完全に偏見が混じり始めた。
実はこの勢力、最近現れたばかりの新興勢力なのである。10年前は存在しなかった。
本来バンドマンと言えば、アウトサイダーな女子高生以降の女性向けのコンテンツであり、「貧乏」「彼女から金もらってる」「女好き」みたいな文脈で語られてきた存在だったのだが、Twitterがこの「バンドマン」という存在を女子中学生にまでリーチさせた結果、着床、新しいバンドマン像というのが生まれたのである。それが彼ら、少女漫画ロックだ。
前述のバンドマン構成要素とは打って変わって一気にクリーンに「カーディガン」「デートでレストランとか予約しそう」「性欲薄そう」である。薄そうなだけで性欲は誰よりも強いから気をつけろ、中学生。
この記事は当初この新興勢力についての解説を書く予定だったので、書きたいことがたくさんあるがここは一旦割愛。最後にこのバンドのメリット、デメリットを書いてこのパラグラフは終わりたい。
メリットは上述の通り、バンド音楽を聴き始めた右も左もわからない女子に直撃するポップネスだ。「マッシュ!カーディガン!なんかポーズだけがアンニュイで特に具体性はない誰にでもある程度当てはまるようなことをことを歌っている!!素敵!!」となる。
デメリットは「わかりやすさ」「敷居の低さ」というのはイコールで「飽きやすさ」であるということ。中学生の成長は早い。このジャンルで大成したバンドが、いまのところIndigo la Endくらいしかいないのと、動員やセールスに対してYouTubeの再生回数が異常に高いのは、顧客層が若すぎるが故に定着しないところにあると僕は睨んでいる。
ポップ度中、「ザ・邦楽ロックバンド」
中核部である。みなさんがよく目にするバンドたちがこれに当てはまる。
今売れているバンドはほとんどここに分類される。実例を出そう。
現代でいうKANA-BOONに代表されるこの「ザ!邦楽ロック!」的なバンドはどの世代にもいて、アジカンだったりBUMPだったりもここに入ってくる。
上のバンドたちほどガールズガールズしていないし、大人になってもなんだかんだ聴かれ続けるような音楽性。言い換えるなら、ちょっと硬派にバンドである。
たとえばKEYTALKなんかは、売り出し方ややり口はすっごく軟派なんだけど、音楽は以外とここらの中心に居座る感じ。米津玄師はファッションが限りなくカーディガンだけど曲はメチャクチャ硬派。クリープハイプはルックス的にはこのバンドマン臭さというのを大切にしながら歌詞だけはとっても女性向け。だったりと各バンドごとに微妙な立ち位置の違いがあり、一概にはここにまとまりきらないが「多少年取っても聴かれ続けるか」というのがやはりキーワードになるかなと思う。
ここらのバンドはやはり数が多く、ポップすぎないことがやはり日本古来の「バンドらしさ」という部分に繋がってくるようだ。
ポップ度なし「わかるやつだけわかれ」なバンド
メジャー音楽からインディーズの沼にさしかかるにつれ「大衆にはなかなかわかりづらい」「音楽好きな奴らで盛り上がってる」というコアなバンドが現れ始める。
その中で最近成功したのがSuchmosとかだろう。この地域ではかなりわかりやすい部類の音楽ではあるが、それでも本来アレはあんなに大衆に聴かれるはずの音楽ではなかった。
彼らの場合、シティポップなるムーブメントが起こり今年前期の大成功をおさめたが、ここに属する多くのバンドは客数より客質、というか、ライブハウスに済んでるような女とかスタッフとか仲間のバンドマンから「いいじゃん」とひっそり評価を受けているケースが多い。
軟派、硬派、で考えるなら音楽性は超がつくほど硬派。わざわざ邦楽でやるか、それを。と言いたくなるような玄人好みのかっこいい音を鳴らしているバンドたちだ。
ドギツイ天才とかは大体こういうところを寝床に暮らしている。が、やっぱり万人に受けるようなものではなく聞き手を選ぶ音楽となっている。
反面、ここいらのファンはもう音楽に人生ぶっ壊されてるような奴ばかりなので一生ファンでいてくれる。故にバンドは息長くインディーで大衆を横目にマイペースに音楽を続けていたりできる。
どうでしょう
敷居とわかりやすさで3段階。あなたの好きなバンドはどこらへんにいたでしょうか。ちなみに下に行けば行く程に不健康だと考えております。
個人的には2と3の間くらいが好き。多分、最近だとALとか。
是非友達と好きなバンドについてこの基軸で論争してほしい。全くの不毛。
それでは、また次の記事で。