2016年版 流行りものから押さえる まず聴くべき邦楽ロックバンド12組 part2
前回:2016年版 流行りものから押さえる まず聴くべき邦楽ロックバンド12組 part1
前回に引き続き、後半6組の紹介をしたい。
前半に挙がったONE OK ROCK、SEKAI NO OWARI、KANA-BOON、RADWIMPS、BUMP OF CHICKEN、KEYTALK、の6組はメジャーかつ王道すぎるがゆえに誰でも聴き易い反面、リスナーの今後の趣味趣向にあまり大きな影響を及ぼさないものと思われる。強いて言えばONE OK ROCKから入ればラウド・エモ方面に食指が伸びて行きやすいかなー、くらい。他のは全部"邦楽ロック"と呼ばれるジャンルに趣向が染まっていくことだろう。つまりマッシュか黒髪ボブになるということである。
しかし黒髪ボブにも色々あってだ。内情を知らない人たちからしたらば全員同じに見えるかもしれないが、実は当人たちにはハッキリとした線引きのがある。黒髪ボブにもいろんな派閥があるのだ。黒人の人の顔が全部一緒に見えるのと同じ現象である。あと全然関係ないけど初めて「黒髪ボブ」という単語を聴いたときに僕はボブなんていう髪型の存在を知らず
こういうのを連想した。黒髪ボブが大流行…?デトロイトか何かの話か…?
今回紹介する後半6組は、前回よりももう少し極まった黒髪ボブたちの音楽。バンドの知名度というのは低ければ低いほどファンが先鋭化する。そんなわけで後半行ってみよう。
[Alexandros]
聴いている層:中高生、フェスの民
音楽性:海外志向
元[Champagne]、一昨年[Alexandros]に改名した4人組ロックバンドだが、今やアレキサンドロスの呼び名の方がすっかり定着している。
前回挙げたメジャーバンドたちに勝るとも劣らない知名度を誇るバンドの一角であり、現在活躍しているバンドの中でも海外公演を気軽にまわれる数少ないバンドだ。
ちょっとバンドをやっていたり音楽に詳しかったりする男子大学生とかに「結局メジャーバンドでしょ?」なんていう風に言われがちな立ち位置のバンドなんだけれど、侮るなかれ、これ、かなり変なバンドです。もちろん良い意味で。
音楽の国、イギリス最高峰の舞台であるグラストンベリーフェスティバルのヘッドライナーを務めること(日本で言えば紅白歌合戦のトリにインド人が出るような状態です)を本気で目標に掲げおり、楽曲も海外志向が強く、良い意味で邦楽離れした音楽を持ち味としている。
かといって日本人には受け入れがたいような楽曲でもなく、リード曲には必ずキャッチーで完成度の高い楽曲を持ってくる膂力の持ち主。言うなれば松井ではなくイチロー。捨て曲ナシの実力派バンドだ。
邦楽ロックだけど、邦楽ロックっぽくない。[Alexandros]から聴き始めれば、ちょっと広い範囲で音楽を聴いて行けるかもしれない。個人的に入門イチオシバンドです。
クリープハイプ
聴いている層:サブカルメンヘラ
音楽性:古き良き、硬派な邦楽
誰かが何かちょっと落ち込んだり愚痴をこぼしたりすると「メンヘラ」なんていう風に言ったりするものだけれど、みなさんご存知でしょうか、メンヘラにも多種多様な種別が存在します。
クリープハイプのカバー層を、偏見の物言いで表せば「サブカルメンヘラ」というカテゴリーになるかなと思う。サブカル方面のダウナーな人たち。具体的には「居候の彼氏はバンドマンで、そいつは未だに元カノと連絡を取ってて、コンビニの夜勤明けに缶チューハイと廃棄の弁当、あとゲオで借りてきた映画を片手に帰ってきて、朝方からプルタブに指をかけ映画を見始めそのまま何となくセックスが始まり『そういえば1限の出席日数危なかったっけ』とか思いながら天井を見てたら彼氏が首をし
書いてて吐きそうになったからやめます。そういう生活に憧れている人たちを僕は総じてサブカルメンヘラと呼んでいる。クリープハイプのCDと浅野いにおの単行本と弾けもしない楽器を持ってたら3アウト、チェンジ。
かといって女性人気ばかりでもなく、サウンドは硬派にローファイで意外と男性支持もアツい。声とか歌詞とかそういった尖った部分ばかり目がいきがちだけど、曲ホントにかっこいいよ。実力派。僕はとっても好きなバンドだ。
フロントマンである尾崎世界観がどう見積もっても頭のキレる男で、バンド業界が女性市場なのを理解した上で、乙女心のスレた部分をくすぐる歌詞を高い精度で歌い、サブカル女子が好む"バンドマン"という悪臭を上手に演出しているのがこのバンドの支持の秘密。本当に頭がキレる。
サブカルの昏い方に自分の適正を感じる人には薦めたいバンドだ。いや戻って来れるかは、知らん。
SHISHAMO
聴いている層:幅広く女子全般に
音楽性:女子
ガールズバンド枠というのはいつの時代も1〜2バンドいて、今の時代を担っているのが彼女たちSHISHAMO。
男性バンドに対する女性ファンの目線というのは、憧れであったり恋であったり愛であったりするものだけれど、カールズバンドに求められる役割はちょっと違っていて、憧れと同時に自己投影だったりマスコットアイコンだったりする。
他のガールズバンドはメンバーが美人すぎて"憧れ"の視点でしか見れなかったり、楽曲が冴えすぎていたり歌詞の主張が強すぎたり、女に嫌われそうな女がやってるバンドだったり(そういうバンドは男性人気がすごかったりするんだけど)と、世の女子たちに愛でられるアイドルたりえないんだけども、そこをSHIHAMOは完璧にこなしている。が故に今の日本のガールズバンドの代表格だ。
デビュー当初の楽曲はシンプルすぎるほどシンプルで、手あかにまみれた言葉で言い表せば「等身大」というのがまさに、なバンド。女子のバンド!でもピンクじゃない!みたいな飾らない良さが支持を得た。
そんな彼女たちもデビューから数年たち徐々に大人になってきたようで、年相応かそれ以上に凝った聴き所のある楽曲を鳴らしている。すげえ、いいよ。
僕は言葉の選び方を知らないので、このサイトで2年間に渡ってに散々ブスだのなんだの書いたんだけど、それは客観的評価であって、例えば僕はDAOKOの顔がすごく嫌いなんだけどそれと同時に美人だと思っているし、朝子ちゃんはその逆でブスだけど可愛いしエロい。それに、美人じゃないから歌詞に説得力があるし魅力があるんだろう。
大体のバンドはメジャー1stが一番良いんだけどSHISHAMOは毎作色が違って全部買いだよ。女子のみなさん、とりあえずSHISHAMOは行っとこう。
04Limited Sazabys
聴いている層:KEYTALKと隣接してる
音楽性:ポストメロコア
メロコアなる音楽ジャンルがあって、今のシーンで言うとWANIMAとかSHANKとかTOTALFATがまさにそこいらに属するのか。
日本ではその歴史はHi-Standerdから始まって、彼らで完成されちゃったが故に、約20年くらい誰も彼らの作った音楽性から脱却できなかったのだけれど、そこから抜け出したのが彼ら04Limited Sazabys。マジで発明。
元々メロコアはかなり男臭いジャンルだったが故にファン層もかなり気合いが入った人々が多かったが、フォーリミ以降のメロコア文化は大きくカジュアル化したように思われる。元々メロコア一族であるディッキーズ族がKEYTALKやオーラルキュウソ辺りまで波及したのも彼らが一役買ってるんじゃないかろうか。
KEYTALKやTHE ORAL CIGARETTESと並んで中高生のサブカル層の必聴アイテムとなっている。
米津玄師
聴いている層:ニコニコ動画から邦楽ロックまで
音楽性:てんさい
天才、という言葉はなんかすごくバカっぽくて使いたくないんだけど、ここ数年で現れたミュージシャンの中で「天才」の2文字が最も似合うのは間違いなく彼、米津玄師。
だいたいのアーティストは曲を聴けば「ああ、こういうの好きなんだろうなあ」と、聴いてきた音楽とか、ルーツが楽曲に滲み出ていたりするんだろけど、彼に関しては何を聴いてどうやってそこに行き着いたのかてんで検討がつかない。天才。
最近増えてきた歌い手、ボカロPなどなどニコニコ動画カルチャーからの刺客の一人なんだけれど、その中で大成功を納めたのはとりあえずは米津玄師ただ一人。あとぼくのりりっくのぼうよみくんが今キてるくらいか。
ニコニコ動画で蓄えた人気で音楽業界に殴り込み!というのはビジネスとして正しいのだけれど「ニコニコ動画」という看板がサブカル層の一部から毛嫌いされており、なかなか人気が伸び悩むものなんだけど、米津玄師に関しては圧倒的な楽曲の強度で有無を言わさず音楽業界のトップまで上り詰めた。いやこの人ボカロP出身じゃなくても絶対売れてた。
楽曲もボカロっぽいわけでもなく、口でなんとも言い表せない不思議なセンス。何が好きなどんな人にもぜひ聴いて欲しいマストアーティストだ。是非に。
Mrs.Green Apple
聴いている層:根が明るい人たち
音楽性:爆速ディズニーランド
時速120kmでメリーゴーランドをブン回すような、ポジティブの暴力。それが彼らMrs.Green Apple。
いや明るい曲ばっかりかと言われればそうでもないのだけれど、明るい曲が明るすぎて明るいイメージがスゴい。なぜか僕の中ではナオトインティライミとか遊助とかと同じカテゴリーに分類されている。バンドなのに。
しかし音楽はバンドというよりも打ち込み音楽、電子音楽に近い聞こえで、セカオワと同じ轍をのぼり詰め追い越せるとしたらば彼らしかいない。そんなバンドだ。
僕は人間のまがい物の泥人形なのでこういう音楽を聴くと劣等感で溶けて死ぬんですけど、たぶんハッピーピープルな人たちにとってはたまらなく気持ちのいい音楽。ミセスが好きなみなさん、精神がご健康にございます。
そういう意味ではクリープハイプとかとは対角線上にいるバンドなのかもしれない。同じサブカル黒髪ボブにもここまでの距離がある。
この記事最後のバンドだけれども、みなさんの好きなバンドは見つかったかな。
何から聴いてもいいのだけれども
音楽は何から聴き始めてもいいのだけれど、最初に聴いた音楽がその後一生の音楽生活に影響を及ぼすことは少なくない。
「あー12個のうちならこれが好きかなー」
というのが見つかったらば、そこから自分の好きな音楽を探して行ってほしい。
そんなわけで次回以降は反応が多かったバンドから、「ONE OK ROCKが好きな人に聴かせたいバンド、9選」といったようにもう少し掘り下げたバンドたちを紹介したいと思う。
そんなわけで、次回もよろしくお願いします。長文におつきあい頂きましてありがとうございましたお疲れ様でした。それでは!