ART-SCHOOL B面集発売に先駆けた入門書
「ART-SCHOOL、B SIDE BEST」の知らせを受け取った時、一リスナーとして胸が高鳴った。
ART-SCHOOLは言うまでもなく、確実に後発のバンドに大きな影響を与えた邦楽ロックを語るには欠かせないバンドだ。
キャリアの長さに反して歌詞、サウンド、どれを取っても古さを感じさせず、plentyやthe novembers、suck a stew dryなど後発のバンドに及ぼした影響が伺える。
そんなアートのB面集。
正直な話、俺はアートはリード曲になってたりYouTubeで上にヒットする曲よりもこういう隠れている曲の方がぶっちゃけ名曲ばかりだと思っている。
これは是非みんなに聞いてほしい!
アジカンやエルレガーデンと同時期に現れて第一線で活躍してきた息の長いバンドで、メンバーチェンジや大幅な作風の変化などを伴いつつもここまでやってきたART-SCHOOL。
これまで全然聞いたことないや、という方々に、ぜひこれを機会に入門してほしい。
Bサイド聴く前にでも読み返して、アートの代表曲たちを知った上でBサイドに戻ってきたらより楽しめるんではないでしょうか!
後、当サイトにもART-SCHOOLについて書いた記事があるのでぜひそちらも合わせてごらんになっていただければ幸いです。
ART-SCHOOLとはかくあるバンド
繰り返しになるが、ART-SCHOOLは長いキャリアとともに作風を変化させながらここまで進んできたバンド。時期ごとに聞き分けてみると好きなアートの曲が見つかるというのが個人的なART-SCHOOLファンのオススメの入門方法。
ボーカルの木下理樹はニルヴァーナなどの海外オルタナティヴロックバンドからの影響を公言しており、初期の楽曲はシンプルな構成の曲が多い。
例えば、上のようなイントロからサビ前までは静かに展開していきサビで音を爆発させるような曲(ニルヴァーナやピクシーズがよくとっていた楽曲の構成)や、
この曲俺超好きなんですけど、こういうミドルテンポで展開するオルタナ感あふれるローファイサウンドなんかがまさに初期のアートの作風。
ウィノナ・ライダーという女優の名前から曲名を作るセンスもなんだかいい感じ。
他の初期の曲とかもぜひ聞いてほしいんですけど、基本的には王道な展開と、パワーコードとアルペジオを駆使しただけのシンプルでローファイなギターサウンド、疾走感溢れる曲やミドルテンポのしっかり聴かせる曲、現在でもライブで披露されることの多い曲が出来上がった時期でもある。ジャンル的に言えばオルタナディヴやパワーポップって感じにくくれそう。
ファンの間でも初期最高!って声が多い気がする。だいたいみんなBOYS DON’T CRY評が高い。
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余談ですが、初期のアートに在籍し、のちに脱退する二人のメンバーは現在ストレイテナーで活躍中。
メンバー脱退後、新メンバーとして迎えての最スタートを切るわけですが、Gtとして加入し現在もメンバーである戸高賢史氏はMONOEYESのメンバーとしても活躍中。
このころからこれまでの路線のような曲もありつつも、ファンクサウンドを取り入れた曲が目立ち始める。
ギターもカッティングを多用したり、聞いた感じすぐには押さえ方のよくわからんなかなか珍し目のコードを持ってきたりと面白くなってくる。
ボーカル二つ重ねてみたりとかしちゃうのもこの時期。この曲ギターかっこよくて好き。
シンプルだった初期よりも、再始動後は様々な創意工夫が見られたりする。(なかなか受け入れられない旧来ファンもいるのも事実…)
中期は大雑把にくくるなら、爽やかなギターロック、ファンクサウンドを基軸とした曲が増えてきた時期、って感じ。
もちろん初期のような疾走感のある曲ももちろんあって、音源が落ちてないけど、「スカーレット」って今はもう珍しくなっちゃったCDに入ってる「apart」って曲とかめちゃくちゃかっこいい。
さて近年のアートスクールはと言いますと
他の記事でも言及されてるけど、大幅に舵を取りすぎててびっくりするけど、ラップしてる。
ここまでくると様々なジャンルとかっていうのもなんだかはばかられるぐらいにいろんな曲に挑戦している(しすぎている?)
しかしアルバム通しで聴くと不思議と違和感はまぁ多少は感じるにせよ、然程はなくうまく溶け込んでいるから不思議。
このように大雑把ながら時期ごとに分けて聴くと音楽性の変遷がよくわかる。
しかし、音楽性の大きな変化の連続とは裏腹に、未だにキャパの大きな会場を埋めるほどのファンが多くいる。
変化とボーカル木下理樹の凄さ
前の記事でも書いてるけど、通常、音楽性が変わってしまえばファンは離れるのがどうしても一般的。その変化がまっとうなものであったとしても、バンドの存続に必要であったとしても、だ。例えばわかりやすいところだと、いわゆる、「メジャー行ったら変わっちゃったね」現象。
僕の世代的なところで例えるなら、KEYTALKは昔のアンチェイン的なテクを駆使したジャズ的アプローチをしてた頃の方が好きだし、ワンオクはストリングスとかよくわからんベシベシいっとる打撃音みたいな謎のサウンドをバシバシ入れて、アメリカを愛するあまりに壮大にしすぎる前の方が好きだ。
しかし、KEYTALKが同じ路線で行っても確実にアンチェインはじめとした連中と真っ向で殴り合うようなバンドではなかったわけだし、そもそもメジャーデビューして現在の人気を得られたか?と言われたらそうじゃない。
ワンオクだって、犯した罪の寂しさを物語ったり、ジャニーズを暗に楽曲で批判しててもアメリカでウケんだろう。もっとでかくないといかんのだよ、わかる?って感じで変化したのだと思う。
ファン離れ、作曲における苦悩など、一流の人間は批判を受けながらリスナーの声の向こうで戦っている。変化とは生き残るのに必須、たとえリスクを伴ってもだ。
ところが、ART-SCHOOLはどうだって考えた時、音楽性の変化がありつつも(ありすぎだけど)少なくとも俺は「あぁART-SCHOOLだわ」って受け入れられちゃうのだ。
同じくアートのファンに聞いてみても、なかなか音楽性の変化については賛否両論あるが、先日飲み屋で作風の変化やら木下の歌について結構な愚痴を漏らしていたあの子とライブハウスで再開、なんてのもあるわけで。なんだかんだみんなアートが大好きなのだ。
理由は様々だろうが、俺は木下理樹のボーカルのクセと存在感が理由の一つだって強く言いたい。
あの独特の歌は他の人には出せないだろうし、仮に「ニーナの為に」を声質のにている誰かが歌ってもそれは全然良くないだろう。逆に木下が歌えば、これまでとは全く違う作風の曲もすんなりと「ART-SCHOOL」だと受け入れられてしまうのだ。ってかそう。そんな気がする。
まぁ木下はメンバーの相次ぐ脱退やレーベルの移籍など、痛みがなかったわけではないと思う。あの独特の退廃的で投げやりな歌詞はそういったところを反映しているのかもしれない。
俺ら凡庸な一リスナーは、バンドやアーティスト側からしたら大事な存在であることは確かだが、上のような痛みを理解することはできない。
痛みを伴いつつも、彼らは人の心を掴もうと必死だと思う。リスナーをつかんで離さないのは難しいことなのだ。その難しいことをやってのけて、今現在でも多くのフォロワーを生み出しているのがART-SCHOOLというバンドなのである。
今更ながら聴いてみてもいいじゃん
この記事ではB面集に登場する曲に関しては全く言及していない。ということは、これからアートに出会うみんなにはさらなる感動が待っているということ。
ここまで読んでくれた方は是非B面集買ってみてください。マジでクソほどオススメです。選曲がアツい。
B面集の発売に伴ったライブも開催が決定しているし、ぜひそこにも行ってみて!俺は予約したのにお金の振り込みを忘れてたので一般応募に一縷の望みを託してます。
最後に、B面集に収録される曲であり、俺の一番好きなアートの曲の一つをLIVE映像で紹介して終わり。それでは!
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