インスト聴こうぜ!国内オシャレインストバンドまとめ 入門編
これは持論なのだが、インスト曲、つまり歌のない音楽、あれはピーマンみたいなものだと思っている。
あの緑色で苦くて、万年子供の苦手な野菜のトップに君臨するあの野菜、ピーマン。みなさんは小さなころピーマンは好きだっただろうか?僕は嫌いだった。
ピーマンが入った料理が出るたび、何が悲しくてこんな苦い野菜を食わねばならんのかと、怒りに震えながら、あの苦みを少しでも和らげようと味の濃い料理と一緒に無理やり食っていた。
そんな具合だったピーマンが、年を取るごとに徐々に気にならなくなっていった。二十歳を過ぎたころにはあの苦みが美味いとまで感じるようになった。肉詰めピーマンも、小さなころは肉がメインで周りに邪魔者がいるくらいの印象だったのだが、今ではむしろピーマンがメイン。ピーマンの美味さを引き立てるために肉があるのだと思うようになった。
これを読んでいるみなさんがピーマンを美味いと思うかどうかは定かではないが、大体の人が上のパターンに当てはまると思う。逆に言えばピーマンを美味いと思うようになったらもう大人の味覚になったということだ。
さて、冒頭に書いたようにインスト曲というやつはピーマンに似た性質をもつと思う。稀に中学生でも”インスト曲こそ至高”みたいな、ませたガキがいるが、大体の場合、僕の経験上ではおよそ二十歳過ぎから20代半ば辺りになってくると段々とインスト曲の持つ旨味が楽しめるようになってくる傾向があると思う。
今回の記事では、そんなピーマン適齢期を迎えたみなさんが、どんな料理でピーマンを食べればいいのかをご紹介していこうと思う。
このインストというジャンル探すのにコツがあって、要領を得ないままツッコんでいくと下の動画のようなスーパー肩パッドバブルの世界へ迷い込んでしまう可能性がある。
T-SQUARE - TRUTH
もちろんT-SQUAREもめちゃくちゃ演奏上手いしカッコいいが、今の若い人が最初にぶち当たるインスト音楽としてはあまり相応しくないだろう。
ということでピーマン初心者の方が道に迷わぬよう、オシャレでカッコいい今風の代表的ピーマン料理を紹介していこうと思う。
Special Others
SPECIAL OTHERS - Stay
インスト曲を聴こう!という気概のある人なら既に知っている可能性が高い、(多分)日本で一番有名なオシャレインストバンド、通称スペアザことSPECIAL OTHERS。日本オシャレインストの帝王。半ズボンに柄物のレギンスを履いて原色のウインドブレーカーを着てバケットハットを被って、夏になるとフェスにいく20~30代の男女は大体スペアザが好き。
とにかくパッと聴いて直感でオシャレだ!と思えるサウンドに、日本人の耳に馴染むわかりやすいメロディーがありつつも、インスト曲の醍醐味ともいえるアツい楽器同士の絡み合いまで堪能できるというインスト初心者からマニアまで全員にお勧めできる凄いバンド。
サウンドに関しては主にジャズで使用されるフェンダー社のローズというエレクトリックピアノと、これまた主にジャズで使用されるアーチトップ型のギターの優しくオシャレな音が特徴だ。
インスト初心者の方にはボーカルをゲストに迎えて制作されたボーカル曲ばかりの肉詰めピーマンみたいなアルバムもあるので、そちらから入門していくのも良いかもしれない。
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toe
toe - 孤独の発明
日本で一番有名なオシャレインストバンドのもう一つtoe。ポストロックというジャンルで世界的に有名なバンドである。こちらもめちゃくちゃオシャレではあるが、スペアザとはまたベクトルの違うオシャレ。
独特の冷たさにも似た幾何学的なギターのリフレインが二つ重なることによる幻想的な世界観に、ひたすら感情的にアツくドラムをしばき倒すドラムが組み合わさるというのが基本パターン。慣れてない人は何言ってんだこいつみたいになりかねないが、このバンドでは普通のバンドの歌のポジションがドラム。ドラムが歌っている。
Toe - グッドバイ
こちらのバンドにも肉詰めピーマンのような曲があって、コチラのグッドバイという曲などからtoeの世界観に入門するのもグッドだと思う。
上の動画6分30秒あたりからのドラミングを是非みていただきたい。柏倉氏のドラムが感情爆発しており、壮絶の一言。コレを見て僕は初めてドラムの演奏で泣いた。みなさん是非このドラムを楽しむために少々長めだが曲を最初から聴いてほしい。なんならDVDを買って全部見て欲しい。
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H ZETTRIO
H ZETTRIO - Beautiful Flight
”今が旬のインストバンド”なら是非推していきたいのがこのバンド、H ZETTRIO。
ピアニスト/エンターテイナー/音楽家。”PE’Z”のヒイズミマサユ機、またもや椎名林檎が率いた”東京事変”第一期の鍵盤だった「H是都M」なのではないかという憶測が飛び交うも、本人はぼんやりと否定。
一応公式ではこういう設定らしいが、大体同一人物のH ZETT M氏が率いるピアノトリオがこのH ZETTRIOというバンドである。
青鼻にパンダ目メイクという可愛らしい見た目からは想像もできないような超絶ピアノが特徴。上の動画のイントロとか指の動きが早すぎて全然カメラに納めきれてない。
キャッチーでわかりやすいサビがあるためインスト初心者には是非おススメしたいバンドなのだが、Aメロ的な部分でサラッとジャズ的なめちゃくちゃエロいフレーズをぶち込んできたリと、インストマニアにもおススメ。
SAKEROCK
SAKEROCK - MUDA
俳優、シンガーソングライター、文筆家、そしてコントまでマルチに活動し過ぎている、元々なんの人なのかよくわからない人物、堂々のナンバーワンの星野源は元々は俳優とこのバンド、SAKEROCKの人。
このSAKEROCKというバンド、どこへ行っても”星野源のバンド”というレッテルを貼られていて、なんだかなあと思う人もいると思う。僕もなんだかなあとは思う一人ではあるものの結局こう書くことにした、星野源が有名すぎるもん。”ハマケンのバンド”といってもシックリこないでしょ?
とまあ、この事態は幸か不幸かよくわからないが、ともかく星野源効果も含めてこのバンド、是非インスト初心者におススメしたいバンドの一つだ。
サウンドに関しては聴いてもらえればわかるが、ユルい、たまにシャキッとする。この謎の中毒性とフトした時につい口ずさんでしまう妙に耳に残るメロディが特徴のバンドだ。
GOMA & The Jungle Rhythm Section
GOMA & The Jungle Rhythm Section - Afro Sand
最後に若干ハードルは高めだが、是非とも初心者にも聴いてほしいバンドを一つ。
このGOMA & The Jungle Rhythm Sectionというバンド、正直言ってかなり人を選ぶバンドだと思う。ただ上手いことハマるとめちゃくちゃハマるバンド。
このバンド、特徴の塊のようなバンドで何から説明すればいいのかわからなくなるが、まずは聴いてもらえればわかるように、メンバー4人全員がリズム楽器担当。このバンドには歌がなければメロディもハーモニーもない。ただひたすらリズムがあるのみ。
そして一番特徴的なのはフロントマンGOMAが演奏する木でできたバカでかい管楽器。この楽器はディジュリドゥといってオーストラリアの先住民、アボリジニの民族楽器である。詳しい説明は割愛するが、GOMA & The Jungle Rhythm Sectionというバンドはもうこのディジュリドゥのサウンドにハマるかハマらないかみたいなバンドだと思う。
GOMA& The Jungle Rhythm Section - ONE GROOVE
この音楽の楽しみ方を説明する…というのも変だが、上の動画を見ればどうやって楽しむのかわかりやすいと思う。もはや本能だと思う。音が鳴って本能で楽しいと思えたら勝ちだ。
いかがだっただろうか
ということでインスト音楽入門編いかがだっただろうか。
冒頭ではインスト音楽をピーマンに喩えたが、歳をとったらある日突然ピーマンを食えるようになるわけでもなく、日々食べていく間に徐々においしさに気づいていくものである。
そういった意味ではSpecial othersやtoeのボーカル入り曲から徐々に慣れていくのが正攻法かと思われる。どちらのバンドもボーカル入り曲の場合でも曲自体がインストの発想で作られているので、聴いているうちに自然にインスト音楽に馴染んでいくはず。
あと個人的にはそういった流れナシで一気にGOMA & The Jungle Rhythm Sectionにハマるのもアリ。あの音楽は慣れとか抜きでハマるときは一発でハマる。
ということで、インスト音楽という全体として若干ニッチな界隈ではあるが、少しでも嗜む人が増えればと思う。
では今回の記事はこのあたりで。