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2017/04/15

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ライブハウス初心者のための ライブマナー入門講座

「ライブハウス行ってみたいけど、ちょっと敷居が高いなー」と思うあなた。無理もありません。1000人も入るような大型のライブハウスならともかく、100人200人でいっぱいになってしまうような小さなライブハウス。あれは個人経営の居酒屋と同じ、無言の戦いが繰り広げられる空間であります。目を閉じると聴こえてくる無音の罵倒。

(いつまで物販でメンバーと馴れ合ってんだよ)
(バーカンの近くで溜るのやめろや)
(ファミチキください)
(目当てのバンド見終わったら最前譲れよ)

なんの対策もせずにフラっと入ってしまうと「なんとなく居心地が悪いな」と思いながら2~3時間弱を過ごすうちに動悸、息切れ、めまい、手足のしびれ、突然の恋、血圧の低下などを併発し最悪死にます。とてもストレスフル。日本の縮図ですこれは。

一見するととても恐ろしい場所に感じるライブハウスですが安心してください、正しい知識を持ってさえいればどんなハプニングにも重軽症で対応可能です。

ということで今回は過酷なライブハウスの環境に対してあまりにも無防備なド素人のグズのみなさんにライブハウスの危険性を警笛するとともに、ライブハウスで"""素人さん"""に見られない為の極めて実践的な手法を紹介していきます。

申し遅れました。ワタクシ、ライブハウスソムリエの方をさせていただいております。谷澤と申します。特技は「友達がいないから一人でライブを観に来たけど後ろの方で腕を組みながら電話する振りなどして関係者っぽさを演出する」です。

みなさんがワタクシのステージに一歩でも近づけるよう今回は入門者向けのごく簡単なものを紹介します。なにとぞよろしくお願い申し上げます。

スケボーを持ってくる

簡単に実践できて、なおかつ効果的なので初心者にもおススメの手法。スケボーをもってライブハウスに入るだけ。これだけでかなりのリスクを回避することが可能です。

小脇にスケのボー。それだけで近場に住んでるアピール、ライブハウス周辺にたまり場があるアピールができ、さらには日常的にライブハウスに出入りしている人感を演出することが可能です。

ポイントは

「こんな邪魔クサいもの持ってきちゃってスミマセンね。でもコレ便利なんすよ(笑)」

みたいな感じで申し訳なさそうにしてること。

その際はできるだけ後ろの方にいるようにしましょう。単純にスケボーもって前のほうにいると邪魔ですし、後ろの方にいることでバンドを楽しむというよりもバンドを吟味するポーズをとることができます。

 

チラシ・フライヤー受け取り拒否

ライブハウスにて入場する際にはフライヤーと呼ばれているチラシが渡されます。こちらは

「あ、大丈夫です。あと今日ってゲストに高橋さんって人いませんでした?」

と、"関係者だけど社内経費で当日料金で入場しました"みたいな空気を演出しましょう。

よしんばフライヤーなんてものを受け取ったば「こいつ一見かよ。殺して財布にドリンクチケットパンパンに詰めべ」とスタッフ各位から""狩り""の対象としてマークされてしまいます。
こういう細かい所作の積み重ねこそがライブハウス上級者らしさを醸し出すのです。

 

~さん

言葉遣い一つから人間性がにじみ出る、とはよくいいますがそれはライブハウスでも同じです。

バンドの名前やら事務所の名前などは~さん付けで呼びましょう。

ところが一つここで問題なのが、最近では多少ライブハウスに行きなれてくると一般の人でもさん付けで呼ぶようになる傾向があること。許しがたいですね。見つけ次第小田急線で轢き殺しましょう。

ここは逆に「親しみを込めて愛称で呼んでる」くらいのニュアンスで、さん付けしないことによって玄人感を演出することができます。

逆に一般の人はさん付けしないようなもの、例えばEXILEなどは「エグザイルさん」「エイベックスさん」といった具合です。たったこれだけでそこらの人間とは違うという暗黙の了解を得ることができます。

こういった場合は発音のイントネーションにも気をつけましょう。例えば「バンプさん」の場合はイントネーションは「高高高 高低」となります。アミノ酸と同じイントネーションです。家でしっかり練習しましょう。

 

笑いどころじゃないところで笑う

ニュアンスとしてはSNSに身内にしかわからないネタを投稿する女子大生のようなイメージです。

例えばライブ中、普通に曲を演奏しているときなど、全く笑い所じゃないところで笑いましょう。

「あれ… 今日のセトリって… ちょっと高橋(ボーカルの名前)やめとけよオイ(笑)」

これだけで曲の裏事情などを知っている内部の人間らしさをアピールできます。

 

「このバンドどこだっけ?」

ここでとっておきのキメ台詞を紹介したいと思います。

ライブ中、カッコいいパフォーマンスを見せたバンドがいた場合は「カッコいい!」とか「スゲエ!」とかいわずにたった一言、「このバンドどこだっけ?」と聞きましょう。

あとはどんな答えが返ってきても、一言「へえ、なるほどね」と答えて腕組んで難しそうな顔でもしてりゃ100点です。沈黙は金なりです。

ちなみに「このバンド(が所属してる事務所って)どこだっけ?」という意味です。

先ほど紹介したスキルを応用して

「そうかあ、UKさんかあ。ライブ制作とかは別なの?」

などで応対すれば更なる効果が期待できます。応用が効くシーンですので技術点・芸術点を狙いたい場面では積極的に狙っていきましょう。審査員の心をグッと掴むこと間違いなしです。

 

物販は最後まで待つ

ライブが終わった後にはグッズ販売、物販が行われます。

ここでも一つ、玄人っぽくみえるtipsを紹介しましょう。

方法は簡単、物販の列に並ばずにファンがみんなハケるまで待ってるだけです。

物販というのはバンドにとっては大事なファンとの交流の時間です。この大切な時間に関係者が割って入ってバンドと話をするわけにはいきません。

隅のほうで「今日は沢山売れてんなあ…すげえじゃん」みたいな顔して待ってましょう。

 

これでもう安心してライブハウスに行くことができますね!

みなさんいかがだったでしょうか。

これらのアーツを駆使して他を圧倒することがライブハウスでは最も重要視されています。音楽を聴く暇?あるわけないでしょう死にたいんですか?スキルの組み合わせは無限大!ライバルに差をつけろ!

最後に付け加えるなら、ライブを楽しむ上で最も重要なのは上に書いたようなマウントポジションを取り合うような行動を一切しないことですね。こんなヤツいたらマジで殺していい。憲法にもそう書いてある。

少しでも他人よりも界隈に詳しい人間に見られたいと思ってしまったが最後、醜いポジション争い沼にはまり込んでしまいます。

僕はもうムリ。ライブハウスに行くと他人の目が気になってマトモに音楽を楽しめない。

どうか、一人でも僕のような悲しいマウント猿が減りますように。

それでは!

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