知人がONE OK ROCKのライブで女食ってる話

　知人、22歳。中流大学休学中、顔面は控えめに言って奇形、コミュニケーション能力は「わかる」「それな」「ウケる」この３ワードに寄りかかりがち、好きな音楽はラッドとワンオクらしい。

　なぜこうも冒頭から人様のワルグチで始まったかと言うと、俺はこいつの蛮行に対して義憤に燃えているのである。つまり妬み僻み嫉みの大三元よ。
　おい、ワンオク聴いたらモテるなんて誰も教えてくれなかったぞ。モテると思って洋楽聴いてた中学生の俺をぶん殴って耳にラッドウィンプスねじ込みたい。

　ことの発端は彼と顔を合わせなきゃならぬ事態に陥り、話題に窮した俺が
「～くんモテるよねー」
　と話を振ったところ、文系にも関わらず行間の読めない彼は「ブサイクでつまんねえくせに」の部分を読み飛ばし、皮肉を額面通りに受け取り気を良くし

「いやあーONE OK ROCKのライブとかで女つくってんすよー」

　と、ひとこと。ワッツ？ライブってそんな街コンみたいな要素ありましたっけ？

　俺の知ってるライブはアレだよ。物販並んで開演待ちして演奏聴いて飯食って帰るヤツよ。この過程のどこにコミュニティ要素が…？

「勝負はライブ数週間前っすよ」

　訊くに、ツイッター上で予め「Bブロックで参戦の人繋がりましょう！」みたいなことをするらしい。戦いに行くのか仲良くしに行くのかどっちかにしろよ。

「あとは当日集まってライブ後打ち上げなりなんなりに行って『Takaいいよねー』とか言ってればすぐっすよ」

　全然理屈がわかんねえよ。Takaへの好意がお前への好意に純粋転化する理屈がわかんねえ。国家予算を全部注ぎ込んで美容整形してもTakaになれねえ顔面してんだろお前。
「あ、もうOne O'Clockだ… 終電、なくなっちゃったね？」
　じゃねえんだよ。深夜バスで帰れバカ。

　しかしお蔭でいろいろなことに合点が行った。邦楽ロックファンってなんかこう嫌に繋がりたがるけど
「繋がって、なにするんだ…？」
　とずっと疑問だったが、ライブ会場で交友関係を築くためにやってたのな。

　あとライブハウスで良く見かける
「あ、～さんじゃないですか！どうもどうも！」
　みたいなヤツ。あれずっと「どういう状況だ？」と思ってたけど、ハハンなるほど。俺の言い知れぬ寂しさはこういう所から生まれていたのか。ツイッターなんかなくなっちまえこの野郎。

　もちろん、該当する人たちすべてが下心でこんなことをやってるわけじゃないだろうけれども、実際問題そういう人もいるらしい。

　俺はみなさんのお母さんじゃないので、みなさんがだれとどう付き合おうが何も口を出す気はないけれど、そういう場に付け入って声を掛けてくる人とはちょっとは警戒した方が良いよ。

　好きなバンドのライブで嫌な思い出ができたら、そのバンドをもう聴けなくなっちゃうぞ。