演奏の上手い下手がわかると音楽はもっと面白くなる
「演奏の良し悪し」
音楽を語るときに頻繁に触れられるトピックだけれども、実際に何をもって上手いとか下手とか言っているのか。
スポーツとか競技とかの類のものは明確に点数が決まるからわかりやすいけど、ボクシングなんて勝ったやつが強いじゃん。めっちゃシンプル
でも例えばフィギュアスケートとかも点数が発表されるけど一般人の我々にはなにが良くて勝ったのかとかわからないよね。
そんな感じで楽器演奏の良し悪し、そもそも競技ですらないので優劣もクソも無いっちゃ無いんだけれど、
でもなんだかんだ音楽の中では重要なファクター。
かくいう私も楽器を始めるまではイマイチよくわからなかったんだよな。
雑誌なんかで演奏の良し悪しについて語られるたびに「そんなのゴジラとガメラどっちが強いのか考えるようなものだろ・・・」と思ってた。
ということでね、今回は楽器をやらない人たちのために、
みんなが何をもって楽器が上手いとか下手とか言ってるのかを紹介しようと思う。
歌の良し悪しは習ってなくともみんなわかる
演奏の上手い下手を語るなんて高尚なこととかハードルが高いと思っている人も少なくないと思うんだけど、
実はみんな知らず知らずの間に、日常的にやっているんだよね。
見出しの通り、カラオケ行ったときとかそうなんだけど、
「あいつ歌うめえからな~」とかよく言うじゃん。
みんな習ったわけでもないのに歌の上手い下手ってのがわかるんだよ。
楽器演奏も基本的にはそれと一緒で歌が上手いとか下手だとか言うのと似たような感じ。
歌が下手だっていえば、音程が合ってないとかリズムがズレてるとか、声量がない、抑揚がない、滑舌が悪いとかそういったので判断するけど、
それは楽器演奏でも一緒で演奏が下手って言われてるバンドなんかはリズムが心地よくなかったりとか、音がはっきりしてなかったりとか、抑揚がなくてノッペリしてたりするんだよね。
あとは起承転結が表現できてない演奏だと、ギターソロとかタイムアップで途中で終わったような演奏になっちゃうし。
いつもより演奏に耳を傾けて集中してみると、演奏が下手だと上に書いたような何かしらの違和感があるし、
逆に演奏が上手いバンドはどこをアラ探ししても違和感があるとこがなかったりする。
つまるところ楽器とは感情表現のツール
とまあ、先ほどまでのは演奏の上手さを評価するというよりかは下手くそを炙り出す聴き方。
ある程度のラインまで演奏上手くなると、正直どのバンドも違和感がなくなるし”アラ探しスタイル”では評価できなくなる。
そうなるといわゆる減点方式ではなく加点方式で考えないといけなくなるんだよね。
じゃあそうした場合に何を見るかって、楽器で何を表現しているか。
いろんな考えはあるけれど楽器というものはそもそも感情表現のツールの一つという考えがある。
嬉しいとか悲しいとかいろんな感情があるけど、
普段私たちは感情というモヤモヤした何かを言葉に置き換えて、それでも足りなかったら身振り手振りを使ったりして伝えているわけで、
楽器演奏も似たようなものがあるということ。
個人の演奏あるいは、バンド全体で演奏する曲の解釈を感情にしてそれを伝えるという状態。
いかに演奏から感情が伝わってくるか、曲の解釈の面白さ、
そのあたりにフォーカスして聞くと上手いかどうかがわかってくるということ。
つまり簡単に言っちゃうとグッときたかこなかったかになるけど、
そういった聴き方を繰り返しているうちに、感情を表現するための細かい技法の良し悪しとかもわかるようになってくる。
言葉で感情を表現するにしても口が上手い人から不器用な人までいろいろいるじゃん?
楽器演奏も同じで喋りに当てはめてみると
弾くフレーズ=話す内容、大筋
演奏技法=言い回しとか
演奏中の動き、顔=身振り手振り
みたいな感じかな。
これらを使ってどう話を組み立ててくるか、話す内容は面白かったか、グッときたか。みたいなので判断するんですよ。
あと演奏のもってきかたというか、ムードというかその辺りも重要だね。
よく女の子を落とすためにはムードが大事っていうけど、それと同じ感じ。
白昼突然口説き始めたら「・・・んだ?コイツ・・・」ってなるじゃん。
演奏が上手い人は上手いこと自分のペースまで誘導していくんですね。
そんな具合で様々な表現技法を使って様々に表情を変えるわけなんだけど、
その辺の具合がわかると「ほう・・・さすがですね・・・」みたいなのができるようになるんだよ。
いかがだっただろか
演奏が下手だからといって、それで音楽の価値が決まるわけでもなく、
逆に演奏が上手くてもリスナーのことを意識できてない残念な音楽だって沢山ある。
演奏の良し悪しが音楽の価値のすべてではないけど、
それを判断できるようになると音楽の楽しみの幅が広がるんですよ。
あと演奏表現って、ミュージシャンのこだわりが一番現れている部分であるし、
そこにフォーカスして聴けるようになると、より作品への理解が深まるしね。
ということで今回はこのあたりで!