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2016/07/16

記事 邦楽ロック

音楽ジャンル:邦楽ロックの記号化・ハイコンテクスト化し過ぎ問題とその最たる例のシナリオアートの新曲がマジでヤバい 前編:記号化とは?ハイコンテクストの解説

さて早速突然だが、この画像。
どれが何を示しているかおわかりいただけるだろうか。

私がペイントソフトで30秒ほどで書いた絵なのだが、まあ多分伝わっていると思う。笑顔の人を書いたつもりだ。
別のそこに対して深く何かあるわけでもなく、絵の上手い下手とかも考えなくともよくて、ただ笑顔の人間ってのが伝わってくれれば問題ないのだが・・・。

上の私が書いた絵は、言ってしまえば一つの丸と3つの曲線があるだけである。
それであるのに人間の顔と認識できるし、さらにそれが笑っているということまで読み取れる。絵の中に笑っているという説明もなければ人間であるという説明すら存在していない。
鼻も耳を髪の毛もあるわけでもなく、さらに言ってしまえば目も口も輪郭も実際の人間のものとは程遠い・・・。程遠いというかもはやただの線。ホントに丸と曲線が三つあるだけ。
でも「笑顔の人間」ってのが伝わったよな・・・?(伝わっていなければ私の画力不足である)

上の話で、つまり私が何を伝えたいのかと言うと”記号化”ということである。

記号化

さて、上の私が買いた残念な絵が、笑顔の人間であるということが伝わったということはどういうことなのか。
簡単に言ってしまえば3本の曲線の特定の配置が”笑顔”の記号であるということを共有しているからなのである。
つまり上の絵は”笑顔”という概念の記号であり、記号化された笑顔ということになる。

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記号化された表現は漫画、そしてそこから派生したアニメにおいては切っても切れない関係にある。
例えば上の画像ののび太の目を数字の3のような記号で表現することも、記号化された細めた目である。
いかがだろうか、”記号化”と字面は堅苦しそうだが、よくよく考えてみればかなり身近なものである。

漫画においての記号化というものを提唱し、広めたのご存知手塚治虫。
今回の記事の主題から離れてしまうため、これ以上は書かないが興味がある人は検索してみると面白い。
因みに逆に漫画から記号的な要素を排除し、カメラワークを駆使し、写実的に表現したのがAKIRAなどで知られる大友克弘である。

記号化は絵だけに過ぎない

さて、さきほどまでは漫画やアニメといった”絵”についての記号化の話だったが、
実は記号化というもの漫画、絵だけに限った話ではないのだ。

他にも様々なものでも記号化という現象は起きる。例えばキャラクター性についての記号化の場合だと、
ドラえもんにおいて、ジャイアンが毎度毎度のび太をいじめるが、これも一種の記号化である。劇中では彼がのび太をいじめる原因らしきものについて言及されることもなく毎度毎度ストーリーを始めるためにジャイアンはのびたをいじめるし、のびたはジャイアンにいじめられる。さらに言うとのびたのいじめられる性質も記号がされたものである。
キャラクター性における記号化はステレオタイプという言葉ともかなり近しいだろう。

といった具合で記号化というものは様々なものにおいて起きるのだ。
演技においても記号的なものは存在するし、ストーリーにおいても記号化は頻繁におこなわれる。パロディ系の作品等だと特にわかりやすいと思う。何の理由も提示せずに「悪の魔王を倒しに行くぞ!」なんてのはストーリーが記号化された状態といえる。
そして音楽においても、記号化というものは行われるのだ。

音楽においての記号化

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さて、では音楽においての記号化がどのようなものなのだろうか。

とはいっても音楽にも様々な要素がある、小さい要素から全体を俯瞰するような要素まで。
まずは狭い範囲での記号化について例を挙げていこう。
わかりやすいのはクラッシュシンバル。ドラムセットには沢山シンバルが用意されているが、一番うるさいやつ、それがクラッシュシンバルだ。
もともとはそのうるさい音でアクセントの表現をする楽器であるが、ポピュラー音楽においてはアクセントの表現と共に、場面の区切り目として用いることが多い。
殆ど全ての曲のサビに入っるタイミングにクラッシュシンバルを鳴らすのもそういうことである。一区切りつけて聴衆にサビに入ったことを伝えるのだ。
恐らくコレに関しては”機能的な音”と表現すつのが正しいはずだが、機能を逆手にとればすなわち記号化する。要はそういうことだ。

もう少し大きな視点でみると特定の音楽表現は記号化されているといえる。
例えばJ-popにありがちだが、サビに入った時の荘厳なストリングスとか。
「ホラッ!ココがサビでちゅよ!感情的なパートでちゅよ!ホラッ!名曲でちゅよ!感動しまちゅねえ!すごいでちゅねえ!」と言わんばかりのわかりやすさ。記号化された感動。
某小林氏のアレンジの曲を聴く度にバカにされている気分になるので私は苦手である。
他にもなんちゃってジャズパートとかなんちゃってエレクトロとか色々あるよな。
要は元々のジャンルが持っているイメージを引用することによって楽曲に雰囲気を与えるということである。

ぴ?

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さて、少し話は変わるがみなさんはハイコンテクストという言葉をご存知だろうか?
ハイコンテクストというものを理解するのに非常にわかりやすい文章をツイッターで発見したので引用しよう。

「どこどこにきたー!」みたいなツイートに送られる「ぴ?」は「彼氏と来てるの?」の意味だし、それに返答される「ぴ。」は「彼氏と来てるから合流できないよ」という意味で非常にハイコンテクスト文化が女学生内で築かれています

おわかりいただけただろうか。
この文章自体が既にハイコンテクストなので若干補足をしたほうがいいかもしれない。
ということでだな、女学生研究家の私が文中の「ぴ」に関してさせていただこう。
「ぴ」というのは「彼氏」を指すのだが、それは「彼氏」の変化形である「彼ぴっぴ」がさらに略された状態である。
まず「彼ぴっぴ」という表現を知らなければ「ぴ」という言葉が理解できないのである。
上の文ではさらにそこから様々なことが省略され、遠まわしな表現となり、「ぴ?」で「彼氏ときているの?」という意味になるし、それの返答である「ぴ。」が「彼氏と来てるから合流できないよ」という意味になるのだ。
いささか雑な説明であるが、ハイコンテクストというのはそういうことで、理解するのに前提条件を必要とする表現ということである。

 

ということでココまでが前編。
そしてコレは後編の内容を理解するための前提条件を知ってもらうための記事だ。
クソ長いが折角ここまで読んだならついでだし、後編も読んでほしい。

後編:音楽ジャンル:邦楽ロックの記号化・ハイコンテクスト化し過ぎ問題とその最たる例のシナリオアートの新曲がマジでヤバい 後編:シナリオアートの解説

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