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2016/05/31

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"夜の本気ダンス"が何故売れたのか本気で考える

友人「この間みたバンドがかっこよかったんだよ。なんて名前だったかな・・・、なんか踊りみたいな名前だったけど・・・」
ぼく「踊ってばかりの国?」
友人「違う」
ぼく「踊る!ディスコ室町?」
友人「あー、ちがう」
ぼく「Odol?」
友人「もっと長かった」
ぼく「夜の本気ダンス?」
友人「それだ。っていうか踊り関係のバンドそんなにあんの…?」

 「今の邦楽ロックのスタンダードを”KANA-BOONスタイル”と名付けたい」で書いたように、今の邦楽ロックはダンスビートでいかに踊らせるかに主眼を置いた楽曲が目立つ。どうやら一つのムーブメントのようだが、その中でも夜の本気ダンスは、有象無象ある邦楽ダンスロックの中でも頭一つ二つ、いや三つは飛びぬけたダンスっぷりを見せている。名は体を表す。いや、Odolも踊ってばかりの国も踊ってんのみたことないな。ていうか何だよ「踊ってばかりの国」って、そんな国一週間以内に滅ぶだろ。でも曲はとてもかっこいいよ。知らない人は是非聴いてみてね。

 話を戻そう。今回の記事は夜の本気ダンス。「最近ありがちなヘンな名前の売れ線バンドだ」と聴かず嫌いしているなら勿体ないぞ!という内容だ。
 彼らの台頭は必然だ。れっきとした理由と実力があり陽の目を見た。ラッキーで人気が出た一発屋バンドとはワケがちがう。

 彼らを知っている人も知らない人も、聴いてみたけど通り過ぎた人も、この記事で彼らのバンド力の高さについて一緒に考えてみて欲しい。

衝撃力

 繰り返すが、彼らが支持を集めたのは運否天賦に恵まれただけじゃない。実力だ。運がいいならもっと売れてるハズだ。知らない人のためにまず曲を聴いてみよう。

 このサイトで記事を書くようになってから、以前よりも「売れるバンドとは」ということについて考えるようになった。そんな記事をいくつか過去に書いたが、その中で一つ強く確信していることがある。
「インパクトは正義」これだ。
 これだけいくらでも音楽を選り好みできる時代だ。ライプパフォーマンスにしろ、Youtubeにあげるリード曲にしろ、インパクトがある奴が強い。逆に言えばインパクトがないと憶えてもらえない聴いてもらえないのだ。

 その点どうだろう夜の本気ダンス、かなりパンチあると思う。よくある「インパクト重視しすぎてヤリスギ」なバンドになる二歩手前ぐらいで上手く踏みとどまった丁度いいインパクトだ。ポップとインパクトを上手く共存させている。

 なにがってまずMVの音量がデカい。力技。バカげているが有効極まりない手口だ。
 音楽の歴史は音量の歴史、いかにデカい音を鳴らすか、音楽史はそうやって発展してきた。「デカい音=かっけえ」一つの真理だ。エレキギターが生まれたのだってでかい音出したかったからだし、昔のロッカーはマーシャルのつまみを全部マックスで弾いていた。音作りもクソもない。音はデカけりゃいい。デカけりゃ目立つ。かっけえ。
そうして果てない音量戦争を終え、人類は平和協定として0dbを基準とし、みんながこの最大音量を守ることでどの曲を聴いても快適な音量で聴ける、音量の太平を人類は得たわけだが俺らにはそんなもん関係ねえと言わんばかりの大音量。協調性ゼロ。0db?仲良しオママゴトはJ-POPでやってな。ここはロック。ロックにモラルは不要だ。

 そんでもって視覚的にもクソうるせえ。原色しか使ってない。サビになるとサブカル女子のインスタみたいになって一層目が痛い。手足長い。動きヤバい。

 インパクトは十分。わかっただろう。

 

サブカル女子直撃

 他のバンドと比べてもう一つ特異な点がある。売れ線ではあるのに"媚び"がない。

 エリートサブカル女子のオトメゴコロは極めて複雑。アニソンの主題歌に抜擢されるようなバンドは応援できないし、マッシュヘアでキャッチーな曲を鳴らすだけのバンドなんか聴いてるワタシ恥ずかしい!こんなもんオトメゴコロじゃねえ、根がひん曲がってるだけだ。寺山修司の詩集買ってろ。ろくに読まず本棚に飾ってろ。

 怒りで話がズレ込んだ。夜の本気ダンスはそんな気難しいサブカル女子の心の針穴に見事に糸を通すようなルックス・音楽をしている。

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 刈り上げ、メガネ、まるでのび太くんだ。なのになぜだ。WHITE ASHとどうしてこんなにも違うのか。
 あえてマッシュでなく刈り上げ、そしてフォーマル寄りのカチっとした服装。媚がない。媚びないからこそ惹かれる。

 正直一般的なバンドマンのオシャレレベルはそんなに高くない。「バンドマン」というファッションに滞りガチだ。そしてその「バンドマン」なる服装はサブカル女子の大好物なハズだが
「私は個性的…、そこらのサブカル女子とはワケが違うのよ…」
という"サブカルスーパーエリート"、略してブスたちにとって「バンドマン」ファッションに涎を垂らすのはナンセンスなのである。そこにこの刈り上げときたもんだ。ブスは涎ダラダラだ。

 

なによりちゃんとダンスしてる

 人気に伸び悩んだバンドが売れ線ダンスロックを取り入れ、とりあえず注目を集めるのに成功するも、アルバム曲はダンスロックになる以前の音楽を引きずっており、ダンスロックで群がってきたリスナーが「何か期待したのと違えぞこれ…」と去っていく現象を最近よく見かける。悲劇だが、そりゃそうだ。夏場売り上げに困った担々麺屋が店先に「冷やし中華あります!」と看板を立てて、それに釣られ入ってきた客に「冷やし中華売り切れました」と言いながら担々麺を出すようなものだ。うわ!たとえで逆にわかりづらくなったこれ!

 その点、夜の本気ダンスはしっかりダンスしている。冷やし中華おいてある。音楽性が一貫しているのだ。

 

心配事

 ライブの持ってきかた、煽り方、パフォーマンス。客を楽しませることを知っている彼らはこれからフェスでも対バンでもどんどん客を持っていけるだろう。ライブは彼らの武器だ。

 しかしこの売れ方、バンドの様相、the telephonesの時と同じような匂いがする。したがってテレフォンズと同じ目に遭わないかとっても心配である。具体的にはロキノンビッチに食い荒らされないか、心配だ。
一部の質の良いファン層のものだったバンドが、流動の速いファン層に目を付けられ、元来のファンを遠ざけてしまう。そんなバンドは意外と少なくない。

 夜の本気ダンスは良くも悪くもファンを集めるに足る魅力に満ち満ちたバンドだ。
 願わくばこのまま彼らの信じるダンスで僕らを踊らせ続けて欲しい。

By My Side
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