ライブ中に「火の用心」やり出すネクラ Xiu Xiu
ごきげんよう。目尻に見覚えのない線が入り始めた、中二病のさやPだ。
そうゆえば5年位前に元ルームメイトから教えて貰って以来、久しく聴いてなかったXiu Xiu。
ちなみにXiu Xiuは「シュシュ」と読む。AKBは関わっていない、中国映画から取った名前らしい。
Brooklynに来るとのことで、予習一切なしで行った。
それにも関わらず、最初から最後まで余す事なく楽しかったし、次回も必ず行きたいと思ったバンドだ。ここまでショーが一貫して飽きないインディーズバンドは正直珍しい。
普段はゴリゴリの定番オルタナ•ロックが好きな私でも楽しめたので、地下室のみんなにも紹介してみようと思った次第だ。
取りあえず、ちょっと聴いてみて。
サンノゼ出身、Jamie Stewart率いるポスト•パンク、及びエクスペリメンタル•ロックバンド。
メンバーが4人いるらしいが、今回行ったショーではドラムのYvonne Chenと2人で演奏していた。活動期間が2000年からと、何気にキャリアの長いバンドである。
ちょっとマイナーなので、周りに居ると若干ウザい自称音楽通に人気のバンドである。いや、それにしても良かったぞ。
Wikipediaによると、ドイツ、日本、韓国のフォークソングからも少し影響を受けているらしい。エクスペリメンタルでは珍しい影響と思われる。
そして、このハンサムなボーカルStewartは何気に苦労人らしく、父を自殺で亡くしており、この様な「個人的な事情」が多くの楽曲に反映されているとのこと。
”He told Pitchfork that Xiu Xiu songs are based around five topics: family, politics, sex, love and lovelessness, suicide, and how they are connected.”
Stewartはピッチフォークのインタビューで、Xiu Xiuの曲は5つのトピックがあると語っていた。家族、政治、性、愛と愛の喪失、自殺。これらのつながりらしい。(Wikipediaより)
また、こんなエピソードも…
"He said he wrote his first Xiu Xiu song after leaving a San Jose dance club alone on a Christmas night: "Xiu Xiu came from feeling stupid and lonely and then wanting to dance it away, but having the club and its music only magnify that stupid and lonely feeling.”
Stewartが初めてXiu Xiuの曲を書いたのは、サンノゼのダンス•クラブからクリスマスの夜に一人で出て来た後と語っていた。「寂しさ故のバカみたいな気分を踊って忘れたいのに、クラブで音楽を聴いても孤独とバカらしさが増すだけの、あの寂しさからXiu Xiuの曲は来ている。」
…あれ、身に覚えが。つか、こいつネクラだろ。
日本語が読めたら地下室Timesを是非お勧めしたい人物ではないか、こちら側の人間と聞くと親近感が湧いて来たぞ。
ちなみに、アメリカで「クリスマスの夜を一人で過ごす」と言うのは、日本の正月3元日を一人で過ごすのと同等に一大事である。恋人がいないクリスマスの比較対象にならないレベルの、この世の果てのような寂しさに襲われるのだ(経験談)
「火の用心」やり出す意味不明なライブ
色んなマイナーな楽器を取り入れているのが、Xiu Xiuの最大の特徴である。
今回のライブで一番印象に残っていたのが「火の用心」に使う、あのカチカチである。
このカチカチに加え、トライアングル、ハーモニカ、マラカスと他のバンドのライブではあまり見かけない楽器がたくさん登場してきた。
マラカスをシャカシャカしながら、マイクに向かって「ろろろろろろろろろr」とひたすら叫ぶボーカル…なんだこいつ。
ゴキブリが部屋に出たかのような声で叫び出したかと思えば、ステージをウロウロしながら、まるでギリシャ悲劇「オエディプス」の演劇でも観ているかのように全身を駆使して歌い出すのである。公園なんかで一人でこれをやっていると、恐らく単なるキxガイにしか見えないだろう。
そこに、あの細い腕からは想像が付かないChenのマシンガンの様なドラムが乗って来る。
横からChenのドラム•シンバルを叩くボーカル…気紛れで適当に打ち付けているようにしか見えない。お前、邪魔すんなよ。
このように、一つ一つのパーツだけだと意味不明なのに、Xiu Xiuの音楽は全て計算され尽くされていて、耳に入ってくる音のまとまりは完璧なのだ。他のバンドと差をつけるだけの為に、適当にマイナーな楽器を取り入れている訳ではない。全てが余す事なく、美しく融合されている。レコーディングで仕上げたんじゃなくて、ライブでこれをやってのけるのである。
立体感のある演奏といい、まるで3Dのパズルのようだ。
おまけ•PVがエロい
いいぞ、もっとやれ。
それにしても、凄く良いライブだったのに100人入るか入らないかの小さなライブハウスだった上に、値段も$15 (2000円位)とお手頃だった。
物好きなファンが地味に長く付いて来ているバンドのように思える。ニッチな固定ファンを付けるのが細く長くバンドをやっていける一つの手段なのかもしれない。
ゴリゴリ定番ロックも良いが、たまにはエクスペリメンタルに冒険してみるのも悪くないと思った。