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ボカロPがバンドの真似事 ヒトリエ

2016/01/22

日本にはバンドマンの墓場がある
ボカロPだ

バンドというのは非常に脆弱な生き物で、才能のある者が必死に努力した上で運が良ければ生き残る
youtubeで再生回数二桁のバンドが国内にいくつあるだろうか
いや音源が完成し、ネット上に残ったならまだ良い方
その下に影も形も残さず消えていったバンドがいくつあるだろうか

「バンドで売れるなんて氷山の一角だ」
音楽を志した者なら言われた事があるんじゃないだろうか
実にその言葉は的確で、僕らが見ているバンド達は奇跡的に数々の困難を乗り越えた海上のちっぽけな氷山の一角
水面下には死んでいったバンドが数数えきれないほどに積み重なっている

しかし死体になっても夢を忘れられず、一人でパソコンに向かって自作の曲を切々と作り
ニコニコ動画に投稿してはコメント1つに一喜一憂する。敗残兵たちの戦場
それがボカロPだ

しかしそのおぞましい墓場から、ごく稀に息を吹き返し氷山を駆け上がる者がいる
今回はその一例、ヒトリエについて考えたい

ヒトリエとは

批判的に表現するなら、ボカロP WOWAKAが中心となり、ネット上で腕のいいメンバーを集めた
「ぼくのかんがえた さいきょーの ばんど」
だ。見え隠れするWOWAKAのワンマン経営が、このバンドをそう印象付ける

WOWAKAはニコニコ動画では"現実逃避P"の愛称で呼ばれ
ボカロPとしては有数の大成功を収めている。ボーカロイド楽曲のファンなら彼の曲を知らない者はいないだろう

そんな彼の"さいきょーの ばんど"は果たしてバンドとして通用するのだろうか

 

2次元から3次元への壁

これが彼の渾身の一作だろう
1stシングル センスレス・ワンダー

 

まず並べてみよう、こっちがWOWAKAの代表曲 ワールズエンド・ダンスホール だ


 

アニメキャラクターの服装髪型を、生身の人間がやっても
「何かが大きく違う」
となってしまうのと同じく
ボーカロイド楽曲からバンド楽曲に移行するに当たって一つ壁がある
機械演奏と、人間の演奏の壁だ

とくに彼の楽曲の場合、とんでもない速度で刻む打ち込みドラムと、息継ぎを忘れて早口言葉のように唄う機械音声が問題で
結果ドラムは多くの楽曲でAメロBメロでは落ち着いた演奏で落とし、起伏をつけ
イントロとサビは"卑怯ドラム"こと裏打ちの多用で補っており
ボーカルはちゃんと人間が唄える程度に息継ぎの拍を用意し
AメロBメロサビ全般を通して突っ走るということもなくなった
そして早口は字幕がなくなり何を言ってるのかわからない異国の言語のようになってしまった
その代わりに裏声を多用した特徴的なボーカルが、生身の彼の魅力だろう

 

音楽性としてどちらが優れているとは一概には言えないが
機械演奏が可能にした彼の作曲の"尖った部分"はだいぶ削れてしまい
元々の作曲のキャッチーさ、耳に強く残るフレーズのフックの強さを考慮しても
ありがちな9mm時雨フォロワーバンドに落ち着いた。という印象を抱かざるを得ない
原因はイントロのリードギターと、裏打ちと、繰り返されるサビの歌メロ
そう、いつもの奴だ

 

致命的な欠点

空想委員会と被る
先ほどの
"イントロのリードフレーズと、裏打ちと、繰り返されるサビの歌メロ"

の部分もそうだが、裏声の多用とメロディセンス、ネガティブな雰囲気などで差別化を図っているにしろ

 


顔が似すぎだ
動いているしギターを弾いて歌っているのでWOWAKAは比較してかっこよく見えるが

 


静止してしまうと危険だ。これは危険だ。

似ているのは仕方がないとして、ボーカルの顔面はバンド、特にキャッチー戦争真っ只中の若手邦楽ロックバンドにおいては大変重要な問題だ
みなさんは彼の顔面、いかがか

人の顔面についてどうこう言うと、ネットヤクザのみなさんに
「お前はどうなんじゃ!!顔みせろボケ!!」と
"じゃあお前はどうなんだよシノギ"を受けることになりかねないが、散々SHISHAMOの彼女をブス呼ばわりした僕に恐ろしい物などない
僕は動画上でかっこよくギターを唄ったりしていないので僕の顔面についてはほっといてくれ、そっとしとけ

にしても、初音ミクというアイコンが急にリアルな成人男性の顔面に変わるのは少々キツいものがあるだろう

もう一点気になる部分がある
ボーカロイドに女性が多いせいか、彼の歌詞はボカロP時代から女性言葉が多い
これと彼の上ずったような歌唱法と裏声が合わさり、個人的な感想ではあるがオネエっぽく聴こえてしまう
実際に「ヒトリエ、女性ボーカルならなぁ・・・」という声が各所で散見される

 

バンドの真似事

WOWAKAにフォーカスを置いて書いたが、他のメンバーについては彼の影に隠れてしまい各々の特色を出せずにいる
他の人が入れ替わってもさして問題でない、というのはバンドとしては大問題だ
それならば彼の持ち味を生かせる機械に演奏させた方がよっぽどいいのではないだろうか
理想論ではあるが、メンバー全員の協力でバンドは成り立つべきだし
ビジネスライクな彼らの組織構造は、バンドの真似事に過ぎない
唄いたい、目立ちたいなら米津玄師のようにソロで活動したらいい

実際に彼のボカロPとしての成功と比較して、バンドでの成功は小規模なものだ
ボーカロイドとバンドの間にあるフィルターが、バンドのファンの見込み客の大部分を締める「ボカロファン」を絡めとってしまっている
ボーカロイドのファンは"ボーカロイドが好き"なのであって"ボカロPの曲が好き"には必ずしも結びつかない
彼らの楽曲を受け入れるのはボーカロイドもバンドも好き、という層になってしまうだろう

バンドとしてのスタイルを完成させるか、巣に帰ってボカロPとして返り咲くか
彼は選択を迫られている

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