どうしてこうなった!?エビ中扮する五五七二三二〇というバンドの音楽性がトチ狂ってる
「最近良いバンドがいましてね・・・フヒヒ」
コーヒーの上にどっぷりアイスクリームが乗った脳に悪そうな飲み物を嬉しそうにかき混ぜながら友人のドルオタ、K君がそう言った。
元々彼はゴリゴリのメロコアバンドで日夜ドッタンドコタンとツービートを打ち込んでいたのだが、その殺伐とした空気感に気を病んでしまい凄い勢いでバンドをやめ、それ以来壊れてしまった心の隙間を埋めるか如くひたすらアイドルに興ずる生活を送っているのだが、彼の口から”バンド”という言葉が出てきたことが衝撃的だった。
よくよく話を聴いてみればももクロの妹分のアイドルグループ私立恵比寿中学ことエビ中のメンバーがやっているバンド「五五七二三二〇」というバンドの話らしい。数あるお菓子の中でも独特のポジションを占めているあの”ココナッツサブレ”が今年で発売50周年であり、五五七二三二〇はそれを記念したグループだという。だからバンド名が五五七二三二〇なのか・・・。なんかこう・・・なかったのだろうか、他には。
つまるところK君のアイドル人生には些細な変化もなかったのだが、色々と話を聴くと五五七二三二〇というバンド非情に興味深い。
まず1stシングルの作曲がRizeのKenKen、とりあえずその一言で「アイドルは管轄外」と線を引いていた私だが、話を聞いてやろうという気になった。
そしてセカンドでは作曲が菅野よう子、バックバンドには前作に引き続きKenKen、BABYMETALの神バンドでの活動も知られる異常にドラムが上手いドラマーの青山英樹、菅野よう子とゆかりの深いギタリスト、今堀恒雄が参加しているという。
考えられる日本最強のメンバーを揃えて異常なハイクオリティメタルを見せてくれたBABYMETALの一件で、「たかがアイドルの音楽」なんて言葉が過去のものとなってしまい、今ではむしろ日本の音楽を一歩リードする存在になってしまったのだが、まだ参加メンバーの名前を聞いただけのタイミングだが、どうやら五五七二三二〇もガチ音楽系アイドルの臭いがしてきたぞ。
そうそう、重要なことを書き忘れてしまったが、五五七二三二〇はバンドのメンバー編成がブッ飛んでおり、なんとギター5人とドラム3人の編成だという。しかもメンバーは全員中学生の現役アイドル(中学5年生とかいるんだけど)。
これは気になってしまうだろう。
「そんなバンド編成で大丈夫か?」とか、とにかく色々気になることばかりだが、まずはその音楽を視聴してみようと思った次第である。
どうしてこうなった
五五七ニ三ニ〇 - 半世紀優等生
おう!どうしてこうなった!
ココナッツサブレ50周年記念感ゼロ!アイドル感ゼロ!
ユニゾンでゴリゴリ攻めるイントロに音程感のない不思議なメロディ。あとキメで鳴らす不協和音。多分ジャンルで言えばプログレッシブメタルが一番近いんじゃないだろうか・・・
しかも曲の長さが正味2:30程とパンクバンド並みの短さ。
サビはいるかと思ったら語りパートに入るし、作曲のKenKenも含めて全員どうしちまった?
MVもノリノリのメンバーがいたりギター持った姿がクッソぎこちない子がいたりといたるところにツッコみどころを残しながら突き進んでいくスタイル。
因みに個人的には動画の2:30秒前後のドラムの子が立ち上がってシンバルをシバきたおしているのがクッソ愛らしくてツボ。安本さんかわいいよ安本さん!
一番ご覧いただきたいのがこの映像。
公式でも言っているのだが、楽器経験のない女の子たちによる演奏なのでライブとなればもちろん色々大変なことになってしまうのだが、そんなことはどうでもいい。
ギター5人とドラム3人というエゲつない編成で音楽をやるという試み。その部分が非情に面白い。
MVではわかりにくかった部分もあるが、例えばドラムならシンバルだけ鳴らす係りやバスドラムをひたすら鳴らす係りなど、色々と工夫して一つの音楽を作りあげているのだ。
どこをどう考えても普通のバンド編成にした方が楽だったろうに・・・人数が余ったらドラム缶でも叩かせとけばどうにかなるし。
どうしてこうなった PartII.
五五七二三二〇 - ポンパラ ペコルナ パピヨッタ
こちらが先日公開された五五七ニ三ニ〇、満を持してのセカンドシングル”ポンパラ ペコルナ パピヨッタ”。
作曲に菅野よう子、バックバンドにKenKen、青山英樹、今堀恒雄という豪華な編成。そしてシレっとギター5人ドラム3人の設定を捨ててきやがった。これはズルい。
さてさて、ナメック星のシェンロンを呼び出す呪文のようなタイトルのこの曲、”ポンパラ ペコルナ パピヨッタ”。
前作にも増してツッコみどころしかなくて困ってしまうが、取りあえず一番気になるであろう”ポンパラ ペコルナ パピヨッタ”という言葉の意味からアレしていこう。
調べたところによると
お腹がすいて、ふらふらな君!
お腹がすいて、気が狂いそうな君!
(中略)
ココナッツサブレを食べたらいいよ。五五七二三二〇 - ポンパラ ペコルナ パピヨッタ 歌詞より引用
という意味らしい。
ここからだけでも、彼女らの”細かいことは気にしないし、とにかく何でもアリ”というスタンスが見えてくる。
何でもアリなのはわかるが一体誰の趣味が反映されてこうなったのだろうか・・・。
曲の方は合唱+複雑な展開ということでQueenのボヘミアンラプソティみたいになってるし、KenKenのスラップは相変わらずカッコいいのだが、何にせよ色々尖った要素をブチ込みすぎて収集がつかなくなっている様子だ。
これが今ドキアイドルの本気なのか?
さてさてさてさて、もう十分わかっていただけたかとは思うが、五五七二三二〇は以上のようなブッとんだユニットだ。
因みに今更だが公式的には五五七二三二〇のメンバーは非公開でありエビ中のメンバーであることは伏せてあることになっているらしい。もはや伏せる意味があるのかすらわからんが。
みなさんそれぞれ色々思うことがあるとは思うが、個人的には非常に面白い企画だと思う。
アイドルという形でなければこんなに豪華なメンツでココまで尖った企画はできないだろう。
言われて見れば元々ビートルズだってアイドルバンドとして結成され売り出されていた。「4人はアイドル」なんて邦題の曲もあるしな。
今日本で最先端の音楽をやっているのはアイドルなのではないだろうか。記事をまとめるためとかそういうのではなくて、ホントにそう思う。
そろそろ2015年も終わってしまい、ついでにココナッツサブレ50周年も終わってしまうが、果たして五五七二三二〇の活動はどうなるのだろうか。活動が続くにしろ、続かないにしろ、今までリリースされた内容を見る限り確実に我々の予想の斜め上をかすめていくのだろう。
期待してないけど、めっちゃ期待してるぞ!五五七二三二〇!