PVには2種類ある。ループしているかそうでないか。
あの暑かった日々もどこへやら。すっかり涼しくなったと思ったらもう9月。地下室TIMESの読者は楽しい夏休みを過ごすことができただろうか?
夏休みなんて過ぎてみればあっという間。「もう一度7月に戻りたい!」「夏休みをやり直したい!」と思う学生諸君も多いのではないだろうか。
今回、そんな回帰願望を抱きつつアンニュイな2学期を迎えた学生諸君に紹介したいのがループするPVだ。一風変わったPVに用いられがちなアイデアであるが、ループの演出にもさまざまな種類があり、ハマったら抜け出せない楽しさと危険な魅力をお伝えしよう。
Kylie Minogue - Come Into My World
まず紹介するのがフランスの映像作家であるミシェル・ゴンドリーの作品。
「まず」と言いつつ、いきなりループ系PVの最高傑作ではないだろうか?
ループするごとに人物が増加していくのだが、それを共演させてしまう所がアイデアとして素晴らしい。そして、そのアイデアをこのようなカタチで完璧に映像化(表現・実現)できてしてしまうことが、映像作家として素晴らしい。
アイデア:★★★★★
編集技術:★★★★★
カムイントゥーマイワール度:★★★★★
UFFIE - Difficult
次に紹介するのは、ドアを開けてループするごとに少しずつ変化していく作品。最初の「Come Into My World 」のように変化に規則性があるのではなく、様々なパターンで変化したり、組み合わさったりするのが特徴。最後はループの世界に閉じ込められてしまうというお約束。日本で作ったらドラえもんのしずかちゃんの家のお風呂なんかが、通り抜ける場所の候補として挙がるのではないだろうか。
アイデア:★★★
意外性:★★★
難易度:★★★
Polly Scattergood - Wanderlust
こちらの作品もドアがループの起点になっている作品で、主演の演技(動き)が毎回同じで、それに合わせて周囲の人物が追加されていくパターン。「なんでこんな動きをしているんだろう?」という疑問が徐々に解けていく感覚が気持ちいい。ただ、全体を通してのストーリー性は薄く「ループする不思議な世界観を感じさせる」というよりも、「計算された動きを見せる」作品といった感じだろうか。
アイデア:★★★★
アハ体験:★★★★
再現度:★★★★★
中島愛 -Transfer
今回紹介する中で唯一のアニメーション作品。前の「Wanderlust」と同じく、主演の女の子がずっと同じ動きを繰り返していて、それに合わせた背景だけが描き変わっていく。同じアクションでも背景が違うだけで、いろいろな妄想が膨らんでいく。世界観だけでなくタッチも変わっていくことで、さながら日本のアニメーションの歴史を見ているようでもある。制作者インタビューはこちら。
アイデア:★★★★
スピード感:★★★
ドドド度:★★★★
サカナクション - ルーキー
みんな大好きサカナクションの登場。アルクアラウンドのPVもループしていると言えるが、やはりループといえばこちらの作品だろう。夢と目覚めを繰り返すうちに、夢と現実がごっちゃになってしまうのだが、果たしてこのループから抜け出すことができたのだろうか。最後の「一体何だったんだあの夢は・・・って、えっ!?・・・」って驚いている様子がいい演技。
アイデア:★★★
夢オチ:★★★★
山口一度:★★★★★
Darwin Deez - Free (The Editorial Me)
最後に紹介するのは個人的に気に入っている作品。何度も繰り返されてしまうループから抜けだそうと奮闘する姿を描いていて、思わず手に汗握ってしまう。そして遂に抜け出せた時の感動!しかしすぐに気が付いてしまう。まだループから抜け出せていなかったことに。そしてあなた自身もこのビデオをもう一度見直して、さらにループしてしまうはずだ。
アイデア:★★★★★
感情移入:★★★★
もう一度:★★★★★
と、ここまで知ってるPVを紹介してきたところで、ネタ追加のためにgoogleで「ループする PV」と検索してみたところ、ほとんど同じPVがまとめられているというショック!
・・・もし明日の朝に目が覚めた時、7月のあの暑い日に戻っていたとしたら。そして永遠に2学期が始まらないとしたら・・・。それでもあなたは夏休みをやり直したいだろうか・・・?