邦楽をブチ壊した自然災害、9mm parabellum bullet
今回はいつも以上に慎重に丁寧に考察すべきだろう
9mm parabellum bulletが邦楽に与えた影響はあまりにも大きい
正直 凛として時雨と並んで、突然の大災害のように当時の邦楽ロックのシーンを叩き壊したのは間違いなく彼らだろう
邦楽5年の法則
ザックリとした話だが
邦楽は5年に1度くらいのスパンで転機を迎える
ブランキーがイカ天(イカすバンド天国という、当時人気を博した新人バンド発掘番組)で鮮烈なデビューを果たし
その後ハイスタがメロコアを日本にブチ込み
BUMP、エルレが若者に「あ、バンドってこうでいいのか」と知らしめ
その約5年後、稲妻のごとく現れ邦楽を激震させたバンド、それが9mmだ
滝 善充
何が衝撃だったか、どんな影響を与えたのか
メンバー4人とも個性があり素晴らしいが
まずフォーカスを当てたいのはリードギター、滝善充だ
まぁ弾く、インストかお前という程ギターを弾く
今では珍しくないが、当時の邦楽ロックの間で模索されていた2本のギターの絡みや、リードギターの役割を
ハードコアのようなアプローチでボーカルから主役の座を奪わんとする勢いで弾きたくるギターで一つの完成形を見せつけた
ちなみにあまりに楽しそうにギターを弾くので「ギターの妖精」または「ギター仙人(髭が麻原のようになった以降)」と呼ばれることもしばしば
あと歌も上手いし絶対音感だしテンションが上がるとただステージ上で転げてるだけで演奏を放棄する
作曲の多くを彼が手がけているが、彼が作る曲は誰が唄っても弾いても9mmになる
イントロから9mmだ、もう卓郎の声が聴こえるようである(栗山千明可愛い)
とんでもない個性だ
ちなみにMステに出演した際、リードギターとしてステージに上がった滝のあまりの暴走っぷり(彼としては平常運行)に
2chなどでは「悲報、栗山千明の横にキチ○イ」等と騒がれた 動画をみたい人はこちらへ
愉快な仲間たち
ボーカルの卓郎はよく「歌が下手」だの「声が悪い」だの言われるが
彼の抜けない声も、大げさな歌詞も、9mmの「ダサかっこよさ」を演出している
9mmのフロントマンがワンオクのTakaになってしまったら、"何か違う"とファンはきっと離れていくだろう
Cinema Staffも素晴らしいバンドだが、やっぱり卓郎の声だからこそ映える
ベースの中村和彦は当初仮メンバーとして入ったライブで、テンションが上がりすぎて思わずシャウトをカマして正規メンバーに即昇格
ライブ、CDで聴ける彼の何を言ってるかわからない狂気の絶叫も9mmの醍醐味だ
そしてドラムかみじょう
9mmには"カオス"と呼ばれる全員滅茶苦茶に演奏、滝はアンプに頭をぶつけたりしてるだけの時間があるのだが
唯一の良心かみじょう、彼のお蔭でギリギリ形になる
メンバーが暴れようが怪我しようが死のうが何をしようがしっかりビートを刻む9mmの土台だ
彼がいるからこそ9mmは無茶苦茶できるのだ
演歌ロック
9mmを語る上で外せないキーワードがもう一つある
演歌ロック、という言葉だ
しばしば彼らのことを敬意をこめて「演歌ロック」とファンは呼ぶ
わざと日本特有の"ダサい"リズム等を使用しリスナーの耳を奪うのだ
その好例がこれだ
出だしから三三七拍子だ
"ダサさ"を意識したギターが聴いた者の意識を持っていき
「うわ、なんだこれ」と思っているうちに頭に刻み込まれてしまう
このダサさは間違いなく彼らの良さの一つだ
音楽被災地、日本
9mm、時雨、という災害が同時に襲った日本の音楽シーンは激変した
残響系と呼ばれるバンドの台頭、彼らのフォロワー
激しいアプローチでこぞってファンの奪い合いに走った
同じようなバンドが現れては消え、また邦楽は停滞期を迎えた、という認識で間違っていないだろう
最近になってやっと、シーンに食らいつくようなバンドが出てきたが
次の災害はこんなもんじゃないだろう、と不謹慎な期待が止まらない
9mmのような、いやそれ以上の大災害を起こしてくれ邦楽ロック
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