ド底辺だった青春をもう一度思い出せ ハンブレッダーズ
青春ってどんなイメージだろう。
どこの学校にもいましたよね、キラキラ輝いてるヤツって。サッカー部で10番を背負いながら文化祭の実行委員長を務めて片っ端から女を落とすイケメンや、野球部4番のキャプテンと付き合ってる背の小さいロリ顔の巨乳マネージャーだとか
ここの皆さんは、そういう奴らが嫌いですよね。じゃなきゃこんなインターネットのドブさらいのようなサイト見ているはずがない。
嫌味や妬みをSNSの裏アカで呟いてるけれど輝く彼らに憧れがあるんだよね。分かります。かく言う私もその1人だから。
放課後に体育会系の奴らが集まって、クラスの可愛い女の子とイケメンが話しているところを尻目に、皆さんはギターやカバンを背負い込み忍者のように息を潜め、絡まったイヤホンを耳にぶちこんで、何故か倒れてる自転車を起こして、遠い目をしながら家に帰ったあの頃。
つらい。
突然だけど、ハンブレッダーズって聞いたことあります?
ボソボソと感想が聞こえます。
・青春を謳う正統派のロックバンド
・関西の大学で組まれた
・ホリデーレコードがなんか勧めていた
・ベースが最近変わった
・ギターの顔がうるさい
・知らない
そうそう。その通り。
音楽性は凄くまともだ。正統派だ。
近頃ああいうメロ弾くギタリストはいないなんていう声もあるが、へ?ってなるような奇を衒ったバンドからは対極の位置にいる。テレキャスターで変拍子とかしてない。
曲はノーマルでも、彼らの【視点】は正統派じゃない。
そこがこの記事の主旨だ。
そんで話は変わるけれど、僕は青春時代が好きだ。
厳密に言うと青春時代を振り返るのが好き。
そんな暗くも甘酸っぱい過去を肯定してくれるのがハンブレッダーズだ。
切なさという言葉を濫用するのは好きじゃない
掃いて捨てるほど使われてきた感想だし、Youtubeのコメント欄みたいなレベルの低さを感じるから。
ただこの前奏をどう形容しよう。ただ、切ないしか見当たらなかった。
ギターがいい仕事してる。性体験と縁のなさそうな顔してるのがまた良い。
学生生活や初恋を歌にするバンドは数多く存在する。会いたいだとか会えないとか、青春がどうだ、トモダチがどうだとか。
ただ、ここまでリアルにスクールカーストを歌うバンドを僕は知らない。
ハンブレッダーズは底辺なのだ。
そう、彼らはモテなかったんだ。ベースが最近変わってイケメンになった。彼のファンは多そうだ。
この曲は「経験者」にしか分からない。本当の意味で「後悔」と「過去の自分への自己肯定」なのだ。
“自己啓発本みたいな 歌に騙されんな”
“大人になれば分かるなんて嘘だ”
本当は、分かることがたくさんある。正確には、「分かってしまう。」ことが。
知りたくなかったこともたくさんある「そんなの嘘だ。」と言いたげなように、図らずも大人になってしまった事実を否定しているようにも聞こえる。
歌の主人公は基本的に「ひとり」皆と一緒だ。
「友情も努力も勝利も似合わない青春」皆と一緒だね。
「ドラムも叩けない癖に刻むビート」そこの似非バンドマン、お前と一緒だよ。
電車で座りながらバス踏んで両手小刻みにパタパタさせてんな、恥ずかしいから。
でもそんな過去が今じゃ羨ましくてあの頃に戻れたならって、どこかで俺らは思ってる。
大体俺らみたいな根暗やバンドマンなんて、劣等感の塊だから、あの頃に戻れたらもっと何か出来るって思ってる。誰もが人生の主役だとか思う。
「放課後」「生活指導」「登下校」「ゼロ点」
最近の僕らが使わなくなった言葉が押し寄せてくる。そんな言葉の波に攫われるのもたまにはいいかもしれない。
六月初旬の白昼に、そう思わせてくれるバンドだった。
そして下校中に死ぬほど聴いたあの曲を
今一度聴いてみたらいい。
きっと色褪せてなんかない。
ハンブレッダーズが誰かにとってのそういう曲になったらいいなと思う。
老若男女問わず、是非聴いてください。
それでは。