アイスクリームネバーグラウンドから考える、バンドの新興勢力"ネオディッキーズ族"
ロキノン、下北インディーズ、ナインス系、と一口にバンドと言ってもその中にさらに細分化されたカテゴリーがあるのは、バンド音楽を聴いている人間ならば否応にも知るところだが、それは結局のところ流行であり、生まれては消えゆくさだめにある。ロマンチックですね。カゲロウとか、ヒグラシとか、8.6秒バズーカみたいで。
あれだけ流行ってた残響系バンドも当時の流行ファッションと共にここ2~3年で完全にいなくなったし、もっと言えば俺が生まれる前、太古の昔はそもそもバンドはヤンキーの人たちのものだったらしい。時代は流転する。佐々木のぞみも出産する。消える存在がいるということは新しく生まれる存在もあるのだ。
それが今回取り上げる新興勢力"ネオディッキーズ族"。この概念を今回は定義化し、世に流布し、「言い出しっぺこれ俺」みたいな顔するやつやりたいなと思って暗い部屋で記事を書いております。時間は午後7時を過ぎたところ、今日まだ何も食べてませんが、こういう人たちを見てると何故かひどい胸焼けを起こすのでまったく食事を必要としません。
まず動画をご覧ください。
ライブフロアの運動会化を目論む日本の暴レンターテイメントバンド
アイスクリームネバーグラウンド(ISCREAM NEVER GROUND)
だそうです。要するに、音楽性を置き去りにしてフロアで暴れることに重点を置いたバンドです。
音的にはハードコア側の音楽なんだけれども、歌詞が完全にライブキッズの方向を向いている。俺からは背中しか見えない。向こう側にDJライブキッズあるあるが見える。
実際、SNS上で結構プッシュされているようで、そういう所から人気を集めているらしい。
似た例に、ちょっと前に記事を書いたRevision of Senceというバンドがいる。
こういう。
2バンド挙げると「こういうことか」とジャンルの方向性が見えてくると思う。とにかく、フェス映えSNS映えを狙った、ライブハウスの"ワチャワチャ感"に重きを置いてるバンドたち。これらを総称してネオディッキーズ族と呼びたい。
「普通にディッキーズ族じゃだめなの?」
という声が聞えてきましたので、彼らがネオたる所以について説明したいと思います。
デッキーズ族って、そのバンドに群がり他属性のファンを遠ざけるイナゴ性から、ライブハウスでの素行から、一部から嫌われる存在だったんですけど、彼らが好むバンド自体には彼らを煽動する要素はなかったんですよね。10-FEETとか、フォーリミとか、キュウソとか。
ライブハウスで暴れたいディッキーズ族という人たちがいて、そこたまたま暴れやすい音楽性のバンドがいる。という順序で発生したムーブメントだったんですけど、上の、アイスクリームネバーグラウンドのようなネオディッキーズ族バンドはその逆で、バンド側が自ら率先してライブキッズが楽しめる場を提供し、そこに人が集まる。という構図が形成されているんですよね。似てるようで真逆なのです。
だから旧ディッキーズ族が集まっていたバンドには、ファンがディッキーズを履いていて、ノリがいい音楽やってる。ぐらいしか共通点がなかったんですけど、ネオディッキーズ族が愛聴するバンドには音楽性にも一貫性があって、2ステを打ちやすくて、歌詞の内容もエンターテインメントに振り切ってる。
というか、ディッキーズ族って、一回死滅したと思ってたんですよ。
あれって3年以上前の流行で、かつ、耐用年数が短いというか、若いうちしかやってられない文化活動だから、当時ディッキーズ族やってた連中は年をとって少し大人になって、一族を放免されたと思ってたんですよ。というか、絶対そう。ここ最近フェスでもライブハウスでも見なかったし本当に。消滅したはず。
だから同じくディッキーズを履いてはいるんだけど、今のネオディッキーズ族は当時のディッキーズ族とは完全に別人。ver2。一回完全消滅したディッキーズ文化を、若い子(中学生とか高校生ぐらいか)たちが模倣している状態だと推察する。
なんでそんなことが起きたかっていうと、ライブキッズあるある君みたく、ディッキーズ族という衰退した文化を言語化し、図解し、ネット上から再興を試みた人がいて、そこに乗じたアイスクリームネバーグラウンドやリビジョンみたいなバンドが現れ、新しくディッキーズを履きだす子たちが現れたんだと思います。
ごく短期間にリバイバルムーブメントが発生したんです。今日はこんなところでしょうか。勉強になりましたね。
時期的に、これからフェスで見かけることもあるでしょう。
文化考察として是非見に行ってはいかがでしょうか。
それでは。