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2016/07/16

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バンドに必要なのはライブ力か、広告力か。

 僕の知っているバンドマンはみんながみんな、お金がない。え、こんなに動員あるバンドも?と驚くほどに毎日がギリギリ。ギリギリでいつも生きていたいから?ジャニーズやめてバンドやりなよバンド。いや、一人やってるけど。

 バンドのみなさんが最低限度文化的ですらない生活を削ってまで月数本のライブと、その為のスタジオ練習に臨むのはなぜだろうか。答えは簡単だ。人に見てもらう為だ。

 音楽、特にバンド音楽の広まり方には大きく分けて二種類ある。ライブで対バンのお客さんから実地的にファンを獲得していくのと、各種メディアで広告しそこからファンを増やしていく、言い換えれば雑誌やウェブ上での広がり、YouTubeも今回コチラに加えて語りたい。この二種類だ。この他にも口コミ等あるが、口コミは既存のファンからの二次的な広がりなので両方に含まれるものだと思ってほしい。今回はあくまでもザックリとした話だ。

 さてライブ・広告、この二つを見比べたときにバンドの成長にとってより重要なのはどちらだろうか。今回はこれについて考える。

 結論から言えば、アタリがデカいのは広告だ。昨今の流行の伝播力はハンパじゃない。一発キラーチューンを作って目を引くMV、話題性を用意できればあとは初速次第で一気に大当たりだ。

 以前このサイトで取ったアンケートでも二位の「口コミ」を倍近く突き放して「YouTube」が一位をとっている。誰しもが薄々感づいてはいた結果だが、やはりYouTube、MVはとても重要らしい。ちょっと前までは音楽を探すというとレコ屋だったりレンタルショップだったりしたが、今じゃ気になったら即YouTubeで聴けてしまう。YouTube内の関連動画を巡回しているだけで、リードトラックだけなら家にいながらいくらでも聴けてしまう。

 それに比べてライブはどうだろう。一回のライブで獲得できるファンは何人だろう。そして年内に何回ライブができて、一年間で離れていくファンは何人だろう。と考えれば、いくら対バンを食えるような実力派バンドもライブじゃ宣伝効果に限界があるだろう。

 じゃあライブなんかせずに、究極の一曲とMVを一発作って宣伝したらいいじゃん!と思われるかもしれないが話はそんな簡単じゃない。これで記事が終わるならツイッターに140文字でまとめて今頃寝てる。読んで頂いてる皆さんの貴重なお時間を頂き大変申し訳ないが、話はもうちょっと続く。

あとは初速次第で一気に大当たりだ。

 さきほどこんな風なことを書いたが、この初速というやつ、これが大事だ。一切無名の状態で最高の一曲!だれしもが振り向くような映像!と渾身の一撃を放てど聴いてくれるのはせいぜい友達とお母さんぐらいなもんだ。そこでまず必要なのが対バンで獲得できる「熱心なファン」というやつだ。まだ売れる前の対バンを見て応援してくれるようなリスナーは、傾向としてライブに足を運ぶことに抵抗がなく、音楽への興味も深く、バンドにとって重要なファンとなる。まずこの無名バンド沼を抜け出す為にライブを繰り返し、いずれかのインディーズレーベルに所属し、という段階を踏むべきだろう。レーベルに所属する利点は諸々あるが、今回の話に関連する部分としては、YouTubeの関連動画に表示されやすくなることの恩恵がデカい。そこらへんをもっと意識してチャンネル分けとかしてもいいんじゃないかと思う程だ。

 そしてある程度知名度を獲得出来た所でまた重要になってくるのがライブだ。外部から来たライブ初参加のお客さんに「また来たい」と思わせるような、せっかく集まったファンを対バンに根こそぎもってかれないようなライブ。ここが重要だ。先日、[Alexandros]を見出した方と話す機会があり、失礼を承知で
「かれらはなぜ売れたんですかね」
と尋ねた所、迷わず
「毎回チャンスで結果を出していた」
と答えが返ってきた。

 不動の地位まで上り詰めたバンドならば、狂信者と化したファンに支えられある程度どんなライブをしようがしばらくは安泰だが、そうでもない限りやはりライブ運びや演奏力、来たお客さんを全員楽しませて返せるようなライブができないバンドはそこ止まりだ。沼を一歩抜け出した先にこそライブが重要になってくる。

 

 月並みな結論だが、バンドにとって必要なのはトータル力だ。

 僕がライブに行くたび思うのは、知名度先行のバンドは既存のお客さんだけ楽しませて終わり、という印象。
「俺たちがここでみなさんと出会えたのは奇跡なんですよ…」
と自己啓発本みたいなMCして他のバンドと同じようなパフォーマンスして、必死そうな顔して歌ったりしている。ファンも気が狂ったように手を前後に振るばかり。後列の、おそらくファンじゃない人は終始棒立ち、途中で抜ける奴もチラホラだ。

 対して、ライブにおいては秀でているバンドは、序盤ノってなかったお客さんも後半は全員ノらせて帰る。それはMCで聴いてるやつらの意識をこじ開けたり、派手なパフォーマンスでこっちがノってないとバカみたいだと思わせるくらいのアツいライブをしたり、手法は様々だがそういうのがちゃんとできるバンドがいる。しかしそんなバンドに限ってリードトラックやMVが今一つでウェブ上のハネが弱い。本当に頑張って欲しい。しかしこういうバンドがその一撃を打てた時こそ「良い売れ方」をする。そう思っている。ちゃんと天寿を全うできるバンドはライブが良い。

 

 あなたの応援しているバンドはどちらのタイプだろうか。

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