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2016/07/16

コラム 記事

元ベーシストだが、マジレスするとバンドの中で一番ベースがラクしてる

「ベースは重たい」「ベースはモテない」「低音は頭皮に悪い」といった諸々の理由に堪えかね、ベースを放り投げヤフオクに流したワタクシ、元ベーシスト。今回は懺悔の記事。告白する罪は「バンド内で確実に一番ラクしているのにそれを黙っていたこと」だ。

いやみなさんもだ、薄々ベースが簡単なんじゃないだろうかと思っていたんじゃないだろうか。だって「弦が4本しかない」「一本ずつしか弾かない」「目立つパートがない(ギターソロみたいなのがない)」「地味」「そもそも聞こえない」とか諸々あるが、これらは全て事実である。
だがベーシストの人権保護的なアレというか、ベースがラクしてるというのが公にまかり通ってしまったら立場がなくなってしまうので、誰も言い出さないというかアンタッチャブルなシングとして扱われているのが現状である。

恐らくこの記事が公開された暁には私に非難の嵐がやってくるだろう・・・。
しかし誰かが言わなければならないのだ。
ということで心して私の罪の告白を聞いていただきたい。

そりゃあ言い出したらキリがないよ、もちろん

記事の始まりから早速言うのもなんだが、アレだよ。真っ先に宣言しておきたいことがある。
それは「言い出したらキリがない」ということ。

ファンク系の16分音符のフレーズ、スラップ、ロータリー奏法、タッピング等など、ベースにおいても習得が難しい奏法は山ほどある。
そういった一部の事例を抜き出して「ホラ、全然簡単じゃないじゃん」というのはやめようよ、ということである。

そんなこと言ったらギターのスウィープ奏法、ドラムのモーラー奏法、ボーカルのミックスボイスとか他のパートだって色々あるのだ。それらのどれが一番難しいかで言い争うのは非常に不毛だよ。
私が話したいのはもっとベーシックでコモンで一般的でオーディナリーな状況のことなんだよ。
ジャズとかファンクとか一部のメタル系とか、その他諸々テクニックが求められるジャンルじゃなくて、もっと一般的なバンド編成というか、ボーカルがいてギタードラムベース、あとキーボードくらいがいる、よくある普通のバンドの話だよ。
テクニックが必要なジャンルは沢山あるけども、世の中にあるバンドの比率でいうと”普通”のジャンルのバンドの方が圧倒的にマジョリティだと思うんだ。

あとアレだ、ルート弾きだって極めると色々難しくなってくるけども、それも他のパートだって同じ事なんだよ。

 

初心者が楽器を始めてから曲が形になるまで一番はやい。

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簡単か簡単じゃないかってのは個人差があるし、簡単だったかどうかだなんてもはや個人の感想といっても過言でない。
だが一つの指針として、初心者が楽器を始めてどの程度である程度形になるか、というもので難しさを測ることができる。

因みに余談だが、世界で一番難しい楽器はホルンらしい。ギネスブックにも載っている。あのクルクルしたのを伸ばすと4メートルになるから難しいとか、マウスピース(口でくわえて音を出す部分)が小さいので難しいとかの理由があるらしいが、とにかく最初は音をだすことすらままならないらしい。

それに対してエレキベース。弦をはじいたら音がでる。比喩じゃなくマジで多分サルでもわかるシンプルさ。
さらに言うとフレット。
fret
コレのおかげでベースを初めて触ったような人でも、弦さえ押さえることができれば確実に正しい音程を出すことができる。
エレキベースの元になった楽器、コントラバス(ウッドベース)にはフレットなんていうそんな便利なものは存在せず、毎回毎回音を出すたびに自分の耳で音程があっているか確認しながら演奏する必要があるのだ。
エレキベースなんてアレだよ、自分の音が聞こえなくともチューニングさえあってりゃピッチがずれるなんてことはおこらないからな。
薄々感ずいてきているかもしれないが、大抵の楽器は始めたその場ではマトモな音すら出すことがままならないものなのである。
確かにピアノやドラムなんかも叩けば音になるが、そんなもんへ理屈だよ。

あとアレだ、普通のバンドで実際の曲で使う基本的な奏法、それらの中ではベースが圧倒的にラク。
ギターは最低限コードを弾くためには2本弦を押さえないといけないし、キーボードもギターと一緒で実際の曲中で単音だけ弾くなんてことはめったになく、とりあえず普通の曲を弾くためには最低限コードを鳴らす必要がある。あとドラムはエイトビートを叩くためには手と足がバラバラに動かす必要があるし、ボーカルはどうかって、バンド経験がある人ならわかると思うが、カラオケと生演奏とでは全然勝手が違って初めてボーカルやります!ってひとはたいていの場合マトモに歌えずに黒歴史を刻むことになるんだよ。さらにいうとギターボーカルとかマジで大変よ?ただでさえ”ギターを弾く”という行為と”歌う”という行為を同時にこなさないといけないのに、たまーにエフェクターを踏むという3つ目の行為が現れるからな。しかもそういうのって大体一番忙しいサビ前だったりするし。

かたやエレキベース。
取りあえず最低限必要なのはエイトビートルート弾き。弦を一本押さえて一小節に8回音を鳴らす。次の小節に移ったら別のフレットを押さえて8回音をだす。これだけ。
「これなら楽器経験のないワタシでも出来るかもぉ!↑」と思ったアナタ。多分余裕でできます。それがベースという楽器です。

 

実際バンドをやる上でも一番ラクなのはベース

さて、楽器を始める部分と基本的な奏法のラクさがお分かりいただけたら、次は実践編。
バンドを実際にやっていく上で如何にベースがラクなのかを解説していこう。

自宅練習

まずは自宅練習のラクさ。
バンドをやっていく上で欠かすことが出来ないのが自宅練習。これが結構死活問題。
まず一番苦労するドラムから解説していこう。
ドラム。自宅練習をする上で一番大変なのがこのパート。まず冷静に考えて日本の住宅事情的に家で生ドラムを鳴らすことは非常に非現実的。
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ではどうするかって、楽器店で見たことがある人も多いと思う、このドラムの練習用のパッドを叩いたり、電子ドラムを叩いたり、昭和っぽいやりかただと雑誌を重ねてそれを叩いたりとかそういうことをするのだ。
ただこれはこれで色々問題があって、練習用のパッドはめちゃくちゃ場所をとるので部屋が狭い人はかなりしんどい。さらに消音パッドとは言えどもなんか叩いたら音が出るのは当たり前でなんだかんだうるさい。しかもバスドラムを鳴らすと激しく振動する。部屋が2階以上だと普通に詰む。
さらに問題なのが、実際にドラムを叩いた時と出る音が全然違うということ。
練習用パッドや電子ドラムでは強弱の具合とか響き方とか、そういった大事な部分を練習することができないのだ。長くなってしまったがとにかくドラムは自宅練習が非常にしんどい。ギターやベースに比べてドラマーの人口がやたら少ないのはこういったことも反映されてのことだろう。

次に自宅練習がしんどいのがボーカル。
こりゃあもう単純だがデカイ声を出すと近所迷惑。
広めの一軒屋で昼間とかなら割といけるが、夜中はダメだしマンションとかになるとさらにしんどい。
苦肉の策で枕に口を押し当てて歌うとかいう涙ぐるましい方法をとる場合も。

で、その次がギターとベース。ここはギターもベースも同じくらいラク。
エレキギターとベースはアンプを繋がなければ音は小さい、さらにアンプを繋いでも音量の調節ができるし、最悪アンプシミュレーターを使ってヘッドフォンを使ったりとかもできるし、かなり自宅練習が楽な部類。
あとキーボードもグランドピアノとかアップライトピアノみたいなアコースティックでなく、電子ピアノとかキーボードなら音量は自由自在だし、ヘッドフォンが使えてかなりラク。

オリジナル曲

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お次はバンドでオリジナル曲を作った際のフレージング等のラクさ。
私の経験上、ラクなのはベースとドラム。
難しいのがボーカルとギター、さらに難しいのがキーボード。

何故ベースとドラムがラクなのか、それは基本パターンが確立されているから。
これら二つは楽曲の基礎となる部分であり、ドラムは曲のビートで大体のパターンが決まってくるし、ベースはルート音とリズムでパターンが大体決まる。
逆にその点難しいのがギターとボーカル。ギターは元々作曲の時点でギターを使って作った場合とかスリーピースバンドでギターはコードさえ鳴らしとけばいいような感じだとラクだが、ギターが二人いたりとなると何弾いても大丈夫な状態になって逆に考えるのが難しいのだ。ボーカルも同じ状況な上に、曲の顔となるメロディを作る必要があるので結構責任重大である。
私の経験上さらに大変なのがキーボード、なんで大変かってキーボードがいるバンドが少ないため、マジでどうするのが正解なのかわからなくなってしまうのだ。

 

簡単だからこそ責任感が重要になってくるのがこのパート

いかがだっただろうか。
如何にベースがラクをしているのかおわかりいただけたと思う。

最後に一つだけ、ベースの難しい点があるとすれば「責任感が必要なパート」ということだろう。
特にライブでだが、音楽全体のなかでベースが持っている役割は思いの他大きい。油断するとボーカルの次くらいに重要なポジションになってくる。
ということはどういうことかというと、ベースのリズムがずれたりミスをしたりするとバンド全体が崩れるということである。
ギターがミスったところで一人でコケるだけだが、ベースがミスるとドラム、ギター、ボーカルを巻き込んで盛大にズッコケるのだ。

ただ責任感とその他諸々のラクさを天秤に掛けると、正直私はラクさの方に傾くと思う。

ということで今回はこの辺りで!

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