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キュウソネコカミはもうバンドじゃねえ

 4年前はまさか売れるなんて誰も思っていなかった。きっと本人たちも不安の中半信半疑で「これでいいのか…?」と明日に怯えながらバンドをやっていたに違いない。クリープハイプのバイトバイトバイトみたいな生活をしてたに、違いない。

 3年前は売れ始めて、ファンみんなが驚き喜んだ。嬉しいけど、マジかよ、と。あのライブハウスで滑り散らし、妙な空気でシュールな笑いを誘うバンド界のボブスレー、キュウソネコカミが主要ライブハウスをパンパンに埋め、有線放送で吉野屋に鳴るなんて。

 で、現在2016年も前半戦が終了しそうな春中頃なんですけども、今だに驚いている。まだ人気伸びんのキュウソ…?

 しかし人気が出れば当然アンチも現れる。人気者っていうだけで難癖付けたくなる心理、わかる。すげえわかる。俺も全く恨みとかないけど人気歌い手とかを一発ぶん殴れるなら2万までは出す。全く恨みなんかないのに。

 そんなアンチネコカミの人たちからよく聞くのは

「キュウソのライブ演奏ひどくない?」

みたいな話。

 確かに、ライブで見かけてすげえ上手いな!!とか思ったことはない。ヤマサキセイヤ意外と筋肉質だな…とかはよく思うけども。

 しかしね、キュウソに演奏力を求めるのはなんだ。違うだろと。フエラムネの味がそんなに大事なのかと。それが今日の本題です。上手い演奏は正義かい。

バンドじゃないもん!

 上手い演奏。もちろん好きさ。toeとか聴いてウオオオスゲエエエ音の快感指数タケエエエみたいになったりするの、すごく好きですけども、個人的には音楽なんていうものはジャンルによっては下手でもいいなと、むしろ下手な方がいいなと思うのだ。そのガシャガシャ感の中に勢いがあるバンドだってある。クソ上手いセックスピストルズなんかノンアルコールビールみたいなもんだろうと。

 キュウソの場合は、やっぱり求められてるものが他と違う。演奏や音楽性に重きを置くのであればもうカシオペアとか聴いたらよいのだ。

 

 去年のモンバスの映像があった。アレ上手くなってない…?

 ライブ行ったことない人はこの映像でわかるかもうライブ行ってみて欲しいんだけど、キュウソがオーディエンスに提供しているサービスは、バンド音楽じゃないな、と。なんていうか、祭りだな、と。

 ライブの良し悪しを測る一つの物差しとしていかに「楽しかったな!」と思ってもらうか、がある。

 で、より客を楽しませようとしたときに、キュウソみたく祭り状態を巻き起こすのは強い。他のバンドが声で歌詞で音で訴えかけるのに対して、土着祭をその場で開催し無理くり躍らせてメチャクチャやって帰るのはヤクザだよ。"楽しい指数"が単純に高い。

 

 仮に、楽曲や演奏は真似できたとして、このヤマサキセイヤのヒヤリと不安になる空気感。これはね、だれにもマネできねえぜ。どんなに大舞台になってもMCになった瞬間ファン全員が息を飲む。授業参観で息子が当てられた時の親の気持ちみたいになるよな。醍醐味でっせ。

 テレフォンズや9mmみたくお祭りバンドっていうのは昔からいたけれども、"面白さ"に着眼して客を楽しませるバンドやアーティストが昨今のライブキッズ層にここまで普及しているのはキュウソの力がデカい。ヤバTや岡崎体育がワイッショイワッショイなっているのもこの流れと無関係ではないと思われる。

 思い出してもみて欲しいんだけど、昔はサブカルライトサイド層みたいな所ってみんなメロコアに流れていってたよね。サブカルだけど根暗じゃない!というあの人たち。それが今やキュウソどころかKEYTALKにまで流れ込み始めてる。cabsのファンとか口からVANS吹きだして失神してるんじゃないのか。ディッキーズとマッシュのコラボなんて昔はありえなかったよな… みんな金髪とかだったよな…

 

 話は戻って、キュウソのアンチ。調べていたらこんなものが出てきた。2chまとめだ。

キュウソネコカミとかいうバンドの曲を聞いてみた結果wwwww

 結果wwww じゃないんだよ。お前それ打ってる時真顔だろ。

 やっぱり、30代とかが聴くと「は?」となるらしい。そりゃな。10代が楽しそうにしてると憎くてたまらんよな。理由なくキレそうになるよな。しかし憎しみで何かを見失ってないか。

 この記事でも「キュウソに音楽性を求めるのはヤボ!」と言わんばかりに話を進めてきたけども、ごく個人的な物差しで言えば、バンド界隈の中じゃアルバム通して曲の幅も広いし、コード進行やメロディは単純明快でも、シンセが力技でサビまでの展開を作ってくるこの感じ、他のバンドじゃ聴けないぜ。Bメロで緩急を大きくつけてサビで4つ打ちに帰ってくる手法が多用されていて、何らかこの音楽を"コミックバンド"なんていう枠で済ませずに表現できる言葉があればいいんだけれど、本当にキュウソはキュウソ。単純でアホで力技な音楽だけど確実にオンリーワンだ。だれか名前をつけてあげてください。

 聴くとぐんぐんIQが下がるヨコタシンセで頭をユルユルにして祭りのように踊り狂って、帰りの夜行バスで「何をしていた俺は…?」と我に返る。キュウソはそれでいいと俺は思います。今まで3回くらい我に返ってるけど何度でもあのアホな空間に飛び込みたくなるんだよな。たぶん人類がアルコールを手放せないのもそういう理由だよな。

 ちょっとライブ行ってみたくなったでしょう。行ってみてください。

 バンドとしてウンタラカンタラなんて話はヤメにしよう。ライブって、そればっかじゃないぜ。

 

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