邦題がやりたい放題 Deep Purple
ディープ・パープル(Deep Purple)は、イギリスで結成されたハードロックバンドだ。
もう、知らんやつはおらんぐらい有名だ。
レビューされ尽くされていて、今更彼らの魅力を語るやつなんかほとんどいないだろう。
私もあまり語るつもりはない。私には気になるところがある。そこを掘りたい。
とはいったものの
ちょっと歴史について触れよう。
70年代前半は『より危険に』『よりうるさく』というエネルギーに満ちあふれた時代だった。
クラプトン、ジェフ・ベック、ジミー・ペイジの「三大ギタリスト」の登場で
『上手く』という概念が定着したという記事を見たことがある。私も賛成だ。
「速弾きの神様」リッチー・ブラックモア
という『上手い』の塊みたいな人間に楽曲の強烈な『リフ』のかっこよさが加わった彼らの音楽が流行らないはずがないだろう。
リフっていうのは曲の背骨のような、"一本調子"のメロディのことだ。
リッチーの速弾きは当時のギターキッズの心を虜にし、『速い=上手い』という謎の方程式まで作り上げてしまった。
私のギターの師匠は『Smoke on the water』のソロを完コピしろと言っていた。
ちょろい。速いパートもないし、余裕~♪ピヨピヨー。
そう思っていた。
『え?その音巻き弦の音だろ?ちゃんと音源聴いたのか?』
『クォーターチョーキングピッチズレてないか?』
『音の長さが意識してるのか?弾くことに精一杯じゃないか。』
タコ殴りにされた。
リッチーはうまくないとか、そんな大層なことを言うやつがいるが、じゃあお前弾いてみろ。
弾けてる?いや、お前ほんとに弾けてるのか?ニュアンスまでコピーできんのか?
彼はうまい。
自称Deep Purple好きは『リッチーの速弾きは最高だよな。』とか言うやつが多いが、
速弾きでいったら現代のギタリストのようがよっぽど洗練されている。
細かいところが出来たからこそ彼は伝説なんじゃないかと私は思う。
邦題
私が気になるのはこれなんだよ。実はDeep Purpleのかっこよさなんて今更説明するまでもないんだよ。
実質かっこいいから流行った。時代の流れのニーズに合っていたから流行ったんだ。
だが、日本語訳!てめぇは許さねぇ。
この年代の日本語訳はヘタな漫才より面白い。
代表曲『Burn』
あなたならどう訳すだろうか?
カタカナで『バーン』?『燃える』?『炎』?
色々あるだろう。
邦題『紫の炎』
言ってない!!!紫なんて言ってない!!!
バンド名Deep Purpleなだけで、『Burn』の炎が紫なんて言ってない。
これつけたやつ出てこい。私はお前と話しがしたい。
この邦題が気になって気になって、夜も熟睡である。
他の邦題も見てみよう。
Highway Star(邦題:ハイウェイ・スター)
Smoke On The Water(邦題:スモーク・オン・ザ・ウォーター)
Speed king(邦題:スピード・キング)
ヒネリはないんかい!『Burn』だけ余計なもんつけといて他はなんのヒネリもないんかい!
邦題の餌食になったアーティストの彼繋がりでもう一人紹介したい。
代表曲『Smoke on the Water』の歌詞にも出てくる、フランク・ザッパだ。
原題『Don't Eat The Yellow Snow』
邦題『黄色い雪の下にはウンコがあるから食べちゃだめ』
もう、何も言うまい。
日本のアーティストも外国で翻訳というレイプを受けていると思うとワクワクしてこないか?
王様
実はこの記事、最初からDeep Purpleを紹介する気などさらさらなかった。
このチャーミーなおじさんを紹介したいがための伏線だったのである。
王様(おうさま)は兵庫出身のミュージシャン?ギタリスト?である。
彼はこの変な邦題を逆手にとった鬼才である。
すべて直訳。
何度聴いてもニヤニヤしてしまう。
Highway Star『高速道路の星』
Speed king『速さの王様』
Burn『燃えろ』
Smoke On The Water『湖上の煙』
なんと男らしい。しかも歌い方もちょっと真似しようとしているところがあざとい。というかギターの音がむちゃくちゃいい。
レコーディングの際は当時の機材、環境を探し回るそうだ。
ギターも、そこいらのハードロック好きレベルではない、再現度が半端じゃない。
Smoke On The Waterを弾いている動画をみたことがあるが、こちらもかなりの再現度だった。
様々な洋楽の名曲たちを直訳で歌ってくる。
ギターうまっ!! ちなみに愛用のMDプレーヤーはテンポタモツ君というそうな。
人としての魅力、ギター、往年のハードロックへの愛情、色んなものが詰まっている。
オススメである。