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2015/09/07

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クズ共に捧ぐ 倉橋ヨエコ

同窓会に気まずくていけないネクラなみなさん、こんばんは。

これみよがしに手首に包帯巻いてくるみなさん、こんばんは。

仲間内だけ超饒舌、マシンガントークなみなさん、こんばんは。

そんなあなたに倉橋ヨエコを紹介したい。

 

ネクラさ

倉橋ヨエコの綴る歌詞は我々のようなネクラ初級者では到底太刀打ちできない殺傷能力を持っている。

倉橋ヨエコ - 夜な夜な夜な

夜な PVはファンメイド。ものすごいクオリティである。彼女の楽曲に共鳴したネクラが作ったのだろう。

軽やかな曲調にネクラまっしぐらの歌詞。

「夜は自己嫌悪で忙しい 夜は自己嫌悪で忙しいんだ 反省文 反省文 反省文 提出します」

天才だ。

信じられないほどネガティブだ。だが、なんだろう。潔いというのだろうか。

『自分の持っているものにちゃんと目を向けている』感じがする。

「ネガティブ」って悪い印象をもたれがちだが、世の中の変化はだいたい「ネガティブ」な感情から生まれているんじゃないだろうか。

『あ~時間かかるな~やだな~』

『使い心地悪いな~』

『疲れるな~』

こういった負の感情が、色々な発明を生んだのだろう。

倉橋ヨエコの楽曲は、ネガティブが生んだ粗悪品であり、最高傑作だ。

ネクラな人たちが内に秘めている醜いドロっとした部分を包み隠さず表現している。

昔から曲を作る原動力は被害妄想です。一つの出来事で曲が出来るというよりも、それが起爆剤となって昔のことまで思い出したりする。例えば「はないちもんめ」という曲にしても、幼稚園のいじめられた時に戻るんじゃなくて、現在の曲を作るための引き金にするんですよ。だから今は「いじめっ子、ありがとう!」って言えるんです(笑)。

(ナタリーインタビューより)

被害妄想が曲を作る原動力。

昔私の友人(童貞)が、妄想が曲を作ると言っていたが、それに通ずるものがある。

 

私は社会に不適合な人間だと思うんです。でも、そんな自分のことも音楽に乗せて歌えば、短所を長所に変えることができたんですよね。大人になるとみんな、我慢したり、悲しいときも笑ってみせたりっていう素晴らしいことをすると思うんですけど、私の場合は悲しいものは悲しいって歌にぶちまけてきた。それでも聴いてくれる人がいて、なおかつ「私も同じ気持ちです」って共感してくれる人がいたんですよね。それって表現者としては幸福の極み。聴いてくれる人がいたから、私も幸せになれたんです。きっかけは、自分の衝動から作った“倉橋ヨエコ”ですが、周りの人が表現者にしてくれた。この奇跡の8年間、聴き続けてくれた人にお礼を言いたいです。

(eo音楽インタビューより)

気づいただろうか。

8年間の活動の末、彼女は『廃業』している。

理由は『最高の作品が出来たから』

なんとかっこいいのだろうか。

ゆらゆら帝国の『完全に出来上がってしまった』と同じ衝撃を受ける。

金銭、バンド内の不和、音楽性の違い、音楽性の違い(笑)

色んな理由で解散するバンドや、

あえて強調しないが、エリッククラプトンのように小銭を稼ぐためにダラダラと活動を続けているアーティストもいる。

クラプトンのファンは、日本公演の気合いの入っていないジャムセッションを延々と聴いて満足なのだろうか。

『クラプトンを見た』という事実が大事なのだろうか。まぁ、いい。

そんな中で、『出来上がってしまった』アーティストは少ないだろう。

本当にかっこいい。


倉橋ヨエコ - 輪舞曲
最後のアルバムの最後の一曲。本人のコメントを引用。

「表現するために私は書いてます。他人のことなんて一切考えてません。自分の悲しみを綴るのに精一杯の駄目な人間でございます」っていうことしか書けなかったのが、生まれて初めて人のために書けたんですよ。今まで聴いてくれた人に最後、あとがきで「ありがとうございました」って感謝しているかのような曲を1曲ぐらい残そうと。「そういえば、こういうことも私はチャレンジしてなかったな」って思ったのもあって。最初で最後、唯一の人のために作った曲ですね。8年間の集大成。

(hot express インタビューより)

8年間の活動の中で、唯一人のために作った曲。そのフレーズがなくとも、楽曲からビシビシ伝わってくるものがあるだろう。

最後はお気に入りの楽曲で終わろう。

倉橋ヨエコ - 今日も雨

倉橋ヨエコには珍しくバンドっぽい、下手なバンドよりバンドしてる。

メロディが、文句の付け所がないほどいい。

暗い現実、現状を笑い飛ばすかのようなメロディ。

でも飛び出して行こう

待ってる人はいないけど

泣き止んでみたら

外はもっと雨 そんなもんだろう

この歌詞。

ネガティブを超越してポジティブの域に達している。

『廃業』を宣言したが、2005年に『ただいま』というアルバムを出している。これも素晴らしい。

きっとまだまだひょっこり戻ってくるだろう。

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