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wonderprojectJK  

2015/09/07

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辞書でロックンロールと引くと・【バンド】a flood of circleとすべき

もっともっと売れなてきゃいけないバンドがいる。

日本の宝と呼んでもいいバンドがいる。

知らない人はこれを機に覚えてください。

 

辞書で"ロックンロール"と引くと出てくるバンド
『a flood of circle』(ア・フラッド・オブ・サークル)です。

第1期 幼き野獣の初期衝動

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365日革ジャンのナチュラルボーンロッカーなボーカル・佐々木亮介がライブの冒頭に口にするセリフがある。
「おはようございます、新宿から来たa flood of circleです」
でも東京出身じゃ全然ないっていうそんなバンド。

2000年台初頭、田舎者の集まるこの国の首都で出会った4人の若者は下北・渋谷・新宿とライブハウスにまみれた東京で、フェスバブルで活気づく下北系ギターロック全盛のシーンの中、かなり浮いてもおかしくない音楽をすくすく育てていった。

骨太なリズム、歪んでいるギター、フリーキーで強烈な歌声。
早くから、ギターロックのキャッチーさに、ブルースの獰猛さを併せ持った彼らのバンドサウンドは、瞬く間に話題を呼び、デビュー前に関わらず、気付けばフジロック出場が決まり、初めてリリースした音源は、東京のアンダーグラウンドシーンを良い意味でザワつかせた。

そして、満を持して2ndミニアルバム「泥水のメロディー」で音楽情報誌・業界を獣のごとくなぎ倒し、「東京にフラッド有」と全国区でシーンを震撼させたのが2008年だ。

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特に表題曲である「泥水のメロディー」は、唸りを上げるギターと、大地を揺るがすかのようなリズム隊に、佐々木の千切れんばかりの絶唱が乗った、聴く全ての人の耳と心をブッ飛ばしてしまうような文字通りキラーチューンだった。

悲しくて闇雲な引力が抱き寄せる 嘆いてる誰かの声を糧にして生きている
こっちにおいでよ 孤独の独り言 泥水のメロディー宇宙に注ぐ
"泥水のメロディー"

初めて聴いた時、スゴイ新人が出てきたもんだ、と下北のライブハウスで震えたのを覚えている。
その、磨きに磨き上げた初期衝動の塊を聴いて、荒削りで土臭いのだが、どこか本物感を漂わせてた猛獣に、巷は「ミッシェル×ニルヴァーナ」と囃し立てていた。

充実の音源によってチャンスの糸口を掴んだバンドは、全国各地のフェスやイベントで、さながら暴動のような圧倒的なパフォーマンスを披露。
話題は話題を呼び、バンド名そのままに洪水が如くライブシーンを席巻していき、間もなく、メジャー契約を勝ち取った。

 

その内容は、素人でも解るくらいの破格の待遇でした。
まず、プロデューサーには、チャットモンチーや9mmを成功させて勢いに乗っていた「いしわたり淳治」が起用。
デビューが決まってからは、限定版ライブシングルをワンコインで立て続けにリリース。
そしてデビューアルバム前にライブアルバムを発売するという異例のプロモーション活動を行い、翌年の2009年、華々しくメジャーデビュー。

月夜に吼えるダンス 我武者羅に踊るダンス 命を懸けたダンス 踊り明かそう
"Buffalo Dance"

いしわたりが書き下ろした歌詞なのだが、この詩のごとく、彼らのライブは、本当に野獣が力技で響かせ、踊らせ、制圧するかのような印象だった。
その当時、未来のスターを一目拝もうと、イベントやフェスではまさに青田買いしたい人々で溢れかえっていました。

きっとこのままロックのど真ん中を駆け上がっていくんじゃなかろうか、とみんな思ったはずだ。

しかし、順風満帆が突如として終わりを告げる事件が勃発したのです。

第2期 闇の中、もがき続ける獣は徐々に悩める大人に

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はい、3人になりました。
ギターがね、いなくなったんですよ。
脱退とかじゃないんです。
マジでいなくなったんです。
傑作と世間で評された初のフルアルバムを引っさげ、 大成功の内に終えるはずだった1stツアーのファイナル前日に・・・失踪したんですね。
でも彼らエライんですよ、失踪した次の日、ツアーファイナルのワンマン、やりきったんです。
そしてその後も、活動休止などは一切せず、脱走劇の約半年後にまたアルバム出しちゃったりして。(この頃、半ばやけくそだったんですかね?)

脱退した瞬間で、終わる可能性もあったと思います。
それを乗り切って、制作までして、サポートを加えライブに明け暮れたのでした。
(この時は「wash?」の奥村さんで、その後曽根巧さんでしたね)

そんな時の曲が・・・

これが人間なんです 思えば絵本の主人公ってやつは
無謀なほど勇敢で潔癖の正義振りかざしてた
善悪の区別つかず 甘い実 匂い狂おしく
あなたが来ている魔女の化けの皮剥いでみたいのです
”Human License”

はい、いきなり太宰か賢治みたいになっちゃいましたね 。
「人間とは何ぞや」と明らか言い出すあたり、完全悩んでますね、この時期。

頑張っていた彼らでしたが、前のギターが持つ、獰猛ともいえるリフの数々が初期フラッドの肝だったことから、3人となってしまったサウンドからは、悲しいかなあの猛々しさが消えていました。
そして、それを補うために、無理して獰猛さ、オドロオドロしさを”演じて”しまい、悪い意味で混沌としたバンドになってしまったのでした。
ライブでの初期の楽曲を演奏する時の違和感や、新たにリリースされた楽曲のイミテーション具合に、戸惑いを感じた時に確信しました。

もうa flood of circleという獣は死んだのだ。

そして、間もなく再度の試練が彼らに待ち受けていました。

第3期 ゾンビになっても、それでも転がり続けることを選ぶ

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わあ、女性になった。
2010年暮れ、失踪事件を供に乗り越えたベースから「もう無理」と宣告されたみたいです。
死亡フラグを超えた、脳死判定に近い状況に陥るも、ここでも間髪入れず「新ベーシスト加入で活動継続」を宣言。
どうなるのかな?と動向を伺ってたら…女性!!??
ということで、tokyo pinsalocksというちょっとコアなガールズバンドからHISAYO姐さんの加入です。

でも、この瞬間に悟りました。
ああ、もう絶対過去のフラッドには会えないんだ、と。

事実、HISAYO姐さんの加入から、フラッドの音楽は90度方向転換します。
泥臭さ、猛々しさを封印し、元々のブルースの遺伝子に、カントリーやロカビリーの要素を足し、初期とは全く違うロックンロールへと矛先を変えたのでした。

そして、個人的な私見ですが、ここから暫く彼らは潜伏期間に入っていきます。
スタイルの転換についてこれなかったファンは離れ、それに伴いセールスは伸び悩み、フェスのラインナップからは彼らの名前が見られなくなります。

世間は、圧倒的な爆発力でステージを展開するロックスターのようなフラッドを求めたのですが、この時期の彼らは同じ革ジャンは革ジャンでも西部劇のなんかカサカサした土地の場末のバーで切られている革ジャンになってしまった印象でした。

よし、わかりづらいね。
要は軽く、そして煤けてしまった小難しい音楽になってしまったのです。
ロックバンドなのに「I LOVE YOU」とか吐き始めちゃったり、やたらBPMが高くなって曲がチャカチャカしたり、こんなのフラッドじゃなーいと、思わず嘆くような状況だったんですよ。

このまま消えていくのかなあ・・・と諦め始めた時に、レーベル移籍と、メジャー初のミニアルバムの発売のアナウンスが聞こえた。

期待せずに購入したCD、なんとなくで再生ボタンを押してみると見事に裏切られました。

その盤に、新生フラッドの決定打が収められていたのです。

ジェームスディーンもビックリな名曲でした。

『ウ゛ォォォォォォォォォォォォォーーーーーーー』と唸っていた人が、こんなカッコ良く『シャラララララ♪』ってとこにも最初ビックリしたんですけどね。
それにしても、佐々木のルーツにブルースやカントリーといった本物の音楽とそれに付随するカルチャーがあるのはわかっていたが、21世紀に「理由なき反抗」という単語をチョイスするセンスも正直スゴイ。
70sのカントリーロックを感じさせる軽快でいながら、しっかりとロックを、そしてブルースを感じさせる曲調に佐々木のボーカルが楽しそうに乗っかる様は、もしや彼は現世に降臨したエルビスなんじゃないか、とすら思わせるくらい色気と洒落っ気、そして初期とはまた違う土臭さに溢れていたのです。
日本で、こんなにブルースな曲をやれるバンドが果たしているだろうか?
やっぱりフラッドは凄かったんだ、と改め思わせられたのです。

 

a flood of circleはようやく復活した。

 

2012年暮れ、ようやく上がった反撃の狼煙に心踊ったのを今も覚えている。

新たな武器を手に入れ、2013年には「I'M FREE」という充実のアルバムを作り上げ、フェスに帰還したかと思えば、47都道府県ツアーを経て2014年には日比谷野音ワンマンを成功させた。
そしてキャリアを総括するかのように既発の発表曲を3日間分けて時系列順に同じ箱で全曲披露し、リクエストツアーで再び全国を回った。
一度死んでから、体は死すとも心は腐らず、歩みを止めないゾンビのような生命力で、シーンの表舞台へ帰還してきたのだ。

そして2014年が終わる直前、今度は事故的にではなく、更なる進化を目指して3度目の変化をする。

 第4期 初期衝動と黄金期を共存させるロックのバケモノへ

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うん、4人に戻りました。
デビュー以来ですかね。
それまでサポートとして参加していた曽根さんに代わり、新ギタリストDuranが加入。
結果、ようやく得た彼らの新しいスタイルにソリッドさが増しました。
こんな感じに・・・

出来損なったライフストーリー 傷跡はまだ消えない
それでも前に進む その足に迷いはない
”Golden Time”

「乗り越えた者の言葉」って説得力あるなって痛感させられる。

ついにここまで言い切れるシンガーになったか、と感慨深くなるくらい『オマエのことやんけ』という歌詞。
ただこの歌詞から、まだ貪欲に前に進もうとしているのが紛れもない事実だとわかる。
ようやく得た盤石に、敢えて変化を取り入れるその生き様は、「ロックンロールだなあ」と声に出してしまうくらいの潔さを感じずにはいられませんでした。

ロックンロール=転がり続けること。

充実した時間を送っていたにもかかわらず、変化を選んだ彼らの選択が正解か、不正解かはまだわからない。
しかし、止まらず進んできたことで、良い時期も悪い時期もひっくるめてその軌跡がバンドの魅力となっているのは事実だ。
そうやって辿り着いた今がGolden Time=黄金期だとバンドが気付いたのだろう。
そして、それはただの黄金期ではなく、メンバーチェンジという新陳代謝を経たことにより、初期衝動に近い原石のようなキラキラ感も持ち合わせた、円熟と新鮮味が共存するモンスターなのだ。
いや、モンスターと言うか、ゾンビから派生したことを考えたらバケモノと言った方が正しいだろうか。

 

2015年、フラッドはもう一度、ロックのど真ん中で勝負を仕掛けてくるに違いない。
なぜなら、彼らは絶対止まることはないの本物ロックバンドだから。
だって「ロックンロール」と辞書で引くと・【バンド】a flood of circleと出てくるのだから。
これだけ、何があっても止まることなく転がり続けるバンド、見たことないでしょ?

 

獣は人となり、一度は息絶え、それでもゾンビとなり這い上がり、今ようやく誰にも止められないロックのバケモノとなった。
もう一度、日本のロックシーンを洪水の如く飲み込む姿は、もう夢物語じゃない。

 

どんなときも、前だけ向いてきたから、こんなにも傷だらけでもカッコ良くなれたバンド、a flood of circleを一度聴いてみてください。

そして、思ったより長文を書いてしまい、元々音楽自体に興味があったんだけど、いつもまにかa flood of circleというバンドのストーリーに魅入られてたんだなあってホッコリしてしまったのはまた別の話。

 

素晴らしい音楽を、素晴らしい日常に。

Let's sing A song 4 ever.

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