ミオヤマザキとか、ライブキッズあるあるとか、ヤバTとか、嫌いですか?
先日ライブの打ち上げの席で、仲良くなった出演バンドの方が
「ライブキッズあるある、って知ってる?」
と僕にスマホを差し出してきた。
【SUN HALL サブステージ】
トップバッターはDJライブキッズあるある中の人!
今年も凄い盛り上がりです!#見放題2016 pic.twitter.com/OtYk8bpN2o
— 見放題実行委員会 (@mihoudai) 2016年7月2日
これはライブキッズあるある中の人っていう方がDJをやっているそうで、その様子。
「こんなもんでみんな喜ぶなら俺はもうなにをやっていいかわかりません」
と泣いていました。困りました。いや、初対面だし。
でも泣きたくなるのも、ちょっとわかる。毎日機材車に乗り込んでは全国をライブして回って、試行錯誤を繰り返しながらやっと辿りついたステージを、ツイッターで人気を得たやつが、ただ有名曲を流しているだけでピョンと飛び越えてこの大盛り上がり。お客さん、これでいいんだ…とバカバカしくなってしまう気持ちにも理解が行く。
でも
「この恥知らずが!!そのニコ生主みたいなマスク剥ぎ取って殺してやる!!」
みたいな意見も違うんじゃないかと思うのだ。客めちゃくちゃ抱いてるとか、関西圏での癒着がすごいとか色々訊きますけど、良いじゃないですか。粘膜が乾く暇がないくらいファンに手を出してるとか色々訊きますけど、良いじゃないですか。いいね!&リツイート!って言いながらおもっくそ両目ぶん殴りたいな。俺にもわけろ。
結局、嫌いなものを「嫌いだ!」と遠ざけているだけでは何の解決にもならないんじゃないか。人間が会った事も無い人間を嫌う理由なんてだいたい嫉妬ぐらいしかない。でなければ無関心になるはずだ。
たぶん、主婦に上の動画を見せても「ふーん」の一言で済んでしまうはず。興味がないから嫌いにすらならない。ちなみに主婦のみなさんは安藤美姫が嫌いだそうですよ。マジでどうでもいい。半裸で回転しながら氷の上滑ってるだけなのに嫌いになる理由が想像つかない。
嫉妬するってことは、自分たちよりも成功している証左でもある。そこから学ぶべくことも多くあるはずだ。
先日のぼくりりくんのインタビューでも
「売れないバンドって、総じてやり方と曲が良くないんじゃないですか?」
という話になった。血も涙も無いドライな意見ではあるけど、悲しいぐらい真実だと思う。悲しい。
同類のものとしてヤバいTシャツ屋さんなんかも挙げられる。インターネットでウケて中高生の心をつかんだ音楽だ。俺は嫌いですやっぱり。でもモテてなさそうな所は好き。いいね!の右目だけで許してやるよ…
「別に好きな人が好きなもの聴いてるだけなんだから泣いて怒ることなくない?」
ここまでの話でそう思う人も少なくないと思う。とても平和な人ですね。ノーベル賞でも欲しいんですか?
その通りなんだけれど、嫉妬から一つ批判を言わせてもらえるなら
「世の中の価値基準がリツイートになるとヤバい」
これ。罪も人も憎まないけれど、リツイート。お前だけは許さねえ。その上側の矢印と下側の矢印を引きちぎって東京湾に沈めてやる。
タイトルにせっかく書いたのでミオヤマザキについても紹介したい。
SNS上で風俗系や整形系のアカウントたちの支持を得て、今一部で大人気のバンドだ。メンヘラ彼女なるスマホアプリでステルスマーケティング(というよりは騙し討ちのような広告)したりもしてた。こんな感じ
これ、ツイッターですよね。
ツイッターをそのまま楽譜にして録音したらこんな感じなんだろうなーっていう音楽だ。いや、音楽か…?むしろ聴けるツイッター的な。別にこれ後ろのトラックもボーカルもメロディもなんでもいいと思います。音楽的な部分が評価されて聴かれている音楽ではないんじゃないか。
内容も内容で、例えばこの曲だったら"バンドマン"っていう概念の特に悪い部分を押し固めてつくった架空のクソバンドマン像を作って、そいつを批判することで正論っぽく見せてたりするんですけど、こういうのを藁人形論法と言うそうですね。
こういうのってツイッター上で良く見かけませんか。やっぱりヘイトスピーチって「私もそう思ってました」みたいな用途で広まりやすいみたいで、元カレとかバンドマン批判みたいなことを書くと無条件で広めてくれる人が一定数いるみたい。そうやってネットは批判合戦になっていくんでしょう。やってる僕が言うんだから間違いない。
リツイートが世の中に及ぼす影響
タイトルで取り上げた人たちに共通点を挙げるなら、インターネット上で強い!ということ。もっと言うなら「リツイートされる」ということだ。そして「リツイートされるかどうか?=音楽の良し悪し」ではない。ということが言いたい。わかってる人にはわかりきった話だけれど、本当に深刻な問題だと僕は思う。
ネット絡みのものって価値基準がSNSでウケるかどうかに寄り添っているが故に、作品として犠牲にしている部分や蔑ろにされている部分が多い。
極論を言えばネットでウケるものは、ダサい。どうしても作品内容が刺激特化になるから。
ツイッターでよく見かける生理痛を男性にわかりやすく説明する~みたいなクソ漫画とか、恋愛ポエムとか、言葉がキツいだけのペラッペラの正論を垂れ流すキャバ嬢のアカウントみたいに、言葉とか見た目とかわかりやすい部分で強烈にしたものがウケていく。リツイートっていうシステムに日本全体が組み込まれた結果こうなりました。はい。
あなたが今読んでいるこのサイトを作って、そういうダサくて汚いやり方で読者を増やしてきた僕が言うんだから間違いありません。刺激が強いものがインターネットでは強いです。
今回はタイトルに
「ミオヤマザキとか、ライブキッズあるあるとか、ヤバTとか、嫌いですか?」
と書いたけど、この末尾にBASEMENT-TIMESも確実に入る。
例えばこの記事だってそうだ。記事内容に則したタイトルをつけるなら
「インターネットの普及によるバンド音楽への影響」
とかなんだけど、こんなタイトルにしたところで誰も読まないでしょう。
ウェブサイトはどうやってもインターネット上のものなので、人が読むようなタイトルをつけていかないと誰も見なくなっていく。コラム記事ならまだ良いけど、バンドを紹介するような記事を書くのであれば何か気を引くような部分をタイトルに用意しなくては、ファンしか見ないまるで意味の無い記事になっていってしまう。2chまとめとかに負けてしまうのだ。
ネット上では音楽は弱い
今のインターネットって、画像とかが最強だと思うんですよ。自撮りとか4コマ漫画とか。わかりやすくリツイートする理由が設けられるから。それと比べると音楽ってめちゃくちゃ弱い。YouTubeのリンクを押す事すら人間は面倒臭がるから。
でも先ほども言ったように
「リツイートされるもの=良いもの」
ではないと僕は思う。むしろSNSでウケればウケるほど安っぽくて金払ってまで楽しみたいものではなくなっていくんじゃないか。
みなさんもSNSクソ漫画をリツイートしたことの一回や二回あると思うんですけど、金払ってまで見たい内容でした?
良い作品か悪い作品かの価値基準なんていうのは人それぞれだけれど、少なくともリツイートされるかどうかフォロワーが多いかどうか、そんなくだらない部分じゃないと信じたい。その価値基準で言えば、ワンオクロックの曲を歌ってツイッターに上げてる高校生とかの方が、そこそこのバンドよりもカッコいいってことになってしまうし。
想像してみて欲しいんだけど、好きなバンドがフォロワーを増やそうとやっきになっていたり、歌い手みたいなことやりだしたらどうだろう。わかりやすいヘイトスピーチでファンを獲得しようとしたり、ギャグ性だけの歌詞を優先した曲をつくったらどうだろう。
わざわざバンド音楽を聴くような人間って捻くれているから、そういう部分を見てしまうと何かがっかりしてしまうんじゃないか。ベンジーがツイッターでパクツイとかしてたら嫌でしょ。30秒で笑える曲を作って音楽をないがしろにしてたら嫌でしょ。
きっと、インターネットが無かった頃から大なり小なり「刺激の強いもの、わかりやすいものが客に喜ばれる」なんていう傾向はあったんだろうけれど、リツイートというシステムが世の中に組み込まれてからはそれが一層極端になっていっている。
ボケっとツイッターばかり見てるとそういう刺激的なものばかり目に入って、ヤバT聴いてモンストに課金して黒髪マッシュにDMで抱かれてなんてしてるうちに一生が過ぎていってしまう。それで良い!!覚悟の上!!みたいな人なら良いんだけど、そうじゃないなら、面倒でも自分からもうちょっと素敵なものに手を伸ばしてみて欲しいなと思う。本当にいくらでもあるから。
バンド側はバンド側で、上記のようなバンドたちから見習う部分も多いはずだし音楽をないがしろにしない範疇で時代に上手く乗っかる方法を模索してかなきゃ行けないんだろうなとも思う。ヤバTもミオヤマザキも賢いし泥をかぶる勇気があったことは少なくとも認めるべきだと。きっとテレビやラジオが出てきた頃ですら「あんなもんに媚びへつらうやつらプライドがない」と突っぱねていた人はいたはず。多少なりとも時代性には上手く付き合っていかなきゃいけないんでしょう。
僕はインターネットの強みを、バンドがカッコいいまま享受できるような役ができたら嬉しいですね。あとライブキッズあるあるの人くらいモテたいです。関東の女子大生全員抱きたい。
それでは。