Syrup16g 再結成
いつか書こう、いつか書こうと思っていたバンド、Syrup16g
特に好きなバンドだからこそ何を書いていいかわからず避けていたが
こんな形で彼らを紹介できるとは夢にも思わなかった
今日、Syrup16gから再結成がアナウンスされた
結成まで
フロントマンの五十嵐隆は典型的なダメ人間だ
wikipediaがファンの愛に溢れすぎてるのでここで掘り下げる事もないが
高校時代、酒飲んでるのが学校にバレ、停学になって拗ね、挙句引きこもり
レコーディングエンジニアになるべく専門に通うが
「嫌いな音楽にも仕事として対応しなければならないのがキツい」
という予め目に見えていたであろう理由で挫折
専門学校時代に知り合った"ドラムのお兄さん"こと中畑と前身バンドを結成するも、ボーカルに逃げられ
五十嵐がボーカルも担当するようになった後、紆余曲折あり1996年にSyrup16gが結成された。
Demo、Free throwより 明日を落としても
メジャーデビューから解散まで
メジャーデビューは2002年、五十嵐は29歳
そして2008年解散
遅咲きの短命なバンドだった
5年余りの短い活動期間に大きなヒットもなく
彼らの目標であり、夢であった武道館で解散ライブを行い
"さようなら"とだけ残して解散してしまった
ファンの間では事務所との軋轢が徐々にバンドを、五十嵐を壊していった、と言われている
Syrup16gの名前の由来について五十嵐は
ぬるいままで好きな音楽を好きなだけやろうっていう、そういう意味を込めて…
と発言しているが、事務所はSyrup16gに"売れる音楽"、商業主義を強く求めた
その過程で、当初のベーシスト佐藤を解雇し、結果を求められ
バンドは名前の意味から遠く離れていき、疲弊していった
何がリスナーを惹きつけるのか
前述のとおり短命なバンドだった
時間がバンドの存在を風化させてもおかしくないくらいに
しかしSyrup16gは未だに一部のリスナーから絶大な人気を誇る
いろんなバンドを聴いてみても結局シロップに戻ってきてしまう
そんな魔力のあるバンドだ
その最大の魅力は、冒頭にフロントマン、五十嵐について書いた
"ダメ人間"という所にあると思う
人間臭いのだ、曲が詞が
五十嵐の歌はただ、ありのままダメな自分を嘲るような、呪うような、寂しがるような
ダメな人間の心に響くような歌詞を唄う
後発バンドに与えた影響も大きく、わざわざ名前までは出さないが、ポストSyrup16gというようなバンドはたくさんあった
しかし未だに彼らに代わるバンドは現れていない
顔の良い歌もギターも上手い奴がネガティブを叫んでも、嘘臭くて聴いていられないのだ
ダメな五十嵐が唄うからこそ響くのだ
魅力
後期ベーシストのキタダマキは一部の隙も見せない上手さがあるし
ドラムのお兄さんもクセのある良いドラムを叩く
3ピースの欠点であるリードフレーズを二人が上手くカバーしている
一方ギターボーカルの五十嵐だが、下手だ
特にメジャーデビュー後の映像で彼がギターソロをまともに弾けてるのを見たことがほとんどない
狂う手元、謎の音程、なぜかニヤニヤする五十嵐
いっそこれこそシロップの見どころの一つだとすら思う
まだギターソロが弾けてないならまだしも
暴れるだけ暴れて、なぜか前半一切ギターを触らない(なぜかソロは弾けている)
カポの位置(?)を間違えて終始不協和音が鳴り響く中なぜか平然と歌う(サングラスがウザい)
原曲の音程、歌詞を完全に無視する(コーラスはしっかり歌うので妙なことになる)
好きすぎて話が逸れた
そんな五十嵐が昨年五月、"生還"と銘打ち復活ライブ行った
生還、ファンに愛されるバンド
チケットの抽選はとんでもない倍率になり
建物から漏れる音だけでも聴こう、と各地からファンがNHKホールに押し寄せた
その倍率の中で奇跡的にチケットが当たり、その日にその場で五十嵐を見ることができた
当初"五十嵐隆生還ライブ"という名目だった
その場にいながら「あ、これ五十嵐出てきたら泣いちゃうかもしれない」と思いながら彼の登場を待った
ついに暗幕が開き、五十嵐のシルエットとRebornのイントロを確認し
涙が出そうになったところで、キタダと中畑が目に入った瞬間に号泣していた
今思い出しながら文に起こしながら泣きそうなくらいだ
あまりに号泣してしまったので恥ずかしいな、と思い回りを見渡したら
周囲のファン全員が泣いていた
全員例に漏れず号泣だった
斜め前のギャルっぽいお姉さんすらも泣き崩れ前の席にうな垂れていた
ああ、愛されてるバンドだなぁと心底思った
会場の嗚咽は3曲目ほどまで続いた
余談だが、ギター弾けていた
上手くなっていた、歌もギターも
ドラムのお兄さんに関してはVOLAでアヒトアナザワにしごかれたのか滅茶苦茶上手くなっていた
再結成
そんなSyrup16gがニューアルバム"hurt"と共に再結成する
9月には東名阪ツアーも行うらしい
"犬が吠える"(解散後、結成した五十嵐隆のセカンドプロジェクト)が早々に解散した件もあり
HUNTER×HUNTERの連載再開のような不安を感じずにはいれないが、正直楽しみで仕方ない
五十嵐ももう40過ぎだし、根詰めて頑張らず、細く長く続けてくれたらな、と信者としては思う
ずっと聴きたかった
ずっと待っていた
また始めてくれてありがとうSyrup16g