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邦楽ロック?ロキノン系?ラウド系?具体的に何を指しているのかわからない音楽単語解説 前編

 ロキノン系、ラウド系、邦楽ロック、ギターロック、残響系、シティポップ、オルタナ…音楽好きの皆さんならどこかかしらでこれらの言葉と出くわしたことがあるだろう。

 しかしよく出くわす割には実態があやふや、メンタリストが結局なんの仕事なのかわからないままDaigoのイメージだけ定着しているのに近しい状況である。これはイカン。

 今回の記事では、タイトル通り音楽系でよく見る割には実際にどんな音楽を指しているかわからない言葉を解説しようというものである。

 ただ、予め断っておくと、これらの言葉は非常に曖昧である。いわばスラングというやつだ。風のように僕らのもとへやってきて、全員が全員明確な定義を持たないまま使っている言葉だ。なので「この言葉を使っている人たちの共通認識はたぶんだいたいこんなニュアンスなのかもしれないかな?」ぐらいの大変フワリフワリとした解説になっている。

「この言葉はこういう意味です」なんていう風に言い切った日には、アニメとか動物とかのアイコンでフォロー716、フォロワー103、みたいな人に悪鬼のような剣幕で罵倒されまくるのだ。あくまでも言葉であり、スラング。答えはみんなの心の中にあるんだよ。

 そんなわけで全編4ワード、解説していきます。よろしくお願いいたします。

邦楽ロック

 言葉を額面通り受け取ってしまうと、つまり日本のロックということなのでじゃあ日本で一番有名なロック…B'zとか?と、なりかねないが、実際に「邦楽ロック」という言葉にB'zや内田裕也が含まれることはほとんどない。

 これはむしろ、その言葉の話者たちの性質問題である。

 日本のロックバンドが好きな大人たちは「邦楽ロック」という言葉を、特定のジャンルを指す言葉として使うことが少ない。

 逆に現在の10代はどのようにこの言葉を使っているかといえば、ツイッターの「#日曜日だし邦rock好きな人と繋がりたい」あたりを見てもらえるとわかりやすいかと思う。あえて言葉にするならば「若い層にウケてる音楽」くらいが意味の中核で、発展して「日本の音楽ならなんでも含めていいだろ」ぐらいの肌感覚でこと言葉を使っているようだ。

 つまり10代から20代のアタマぐらいの若者たちの間でスラングと化しており、彼彼女らが眺めているバンドたちを総称する言葉なのでB'Zなんかは入ってこないのである。「妖怪」の二文字で水木しげるを想像するか、ジバニャンを想像するか、そういう話である。今現在「妖怪」という言葉を積極的に話すのは小学生たちであり、もうあの言葉の所有権は小学生たちにある。邦楽ロックも同じ状態といえる。

 故に、音楽性の共通点のようなものはほぼなく「若者に向けて作られている音楽」で且つV系とボーカロイド以外あればほとんど邦楽ロックと呼べる。観測範囲から言えば、ももクロすら邦楽ロックらしい。缶バッヂをいっぱいつけたり、ポプテピピックのスタンプ買ったり、サブカルぶりたい盛りの中高生たちを狙い撃ちしたバンド音楽がここに含まれるのだ。お前ら一生大人の食い物だぞ。

 逆にサブカルの入り口を脱出し、懲りるか、またはもう二度と戻ってこれないくらい深みにハマっている人たちは「邦楽ロック」という言葉をミーハーで安っぽい言葉として嫌い、自分たちの好きな音楽に「邦楽ロック」という言葉を当てはめない傾向にある。

 言葉としてかなりややこしいだけで、バンド音楽を聴き始めるのにもってこいの便利すぎる言葉である。バンドをとっつきやすいものにしている良ワード。なにか聴き始めたい!という人はここから漁り始めたらすぐ流行には追い付けるはずだ。

 

ロキノン系

 言葉の出どころとしては、音楽誌ロキノンことROKIN'ON JAPANに良く載っているバンドたちの総称。有名どころを例に挙げるとBUMP OF CHICKEN、ASIAN KUNG-FU GENERATION、チャットモンチー、RADWIMPS、9mm Parabellum Bullet、androp等々、といった形で定義もできなくはないのだが、どちらかというと「テレビにはあまり出演せずに、主にフェスやライブ、雑誌やネット口コミなどの媒体をメインに活動するバンド」と言った方がわかりやすいかと思う。

 そういった背景を加味すると、ロキノン系というのは、音楽的な傾向よりもむしろファン層の分類と言った方が正しいだろう。音楽的な共通点で語られる言葉ではないらしい。

 上記のバンドを別の言葉で定義するのであれば「バンド音楽を聴き始めて真っ先に目に映るバンドたち」もっと身も蓋もない言い方をすれば「売れているバンド」である。

 「じゃ、邦楽ロックと同じ言葉じゃん」と思われるかもしれないが、その通りである。ほぼ同じ。ほぼ同じ範囲を指してる言葉が何個もあるから今邦楽をくくる言葉が困窮しているのである。

 しかし、ロキノン系と邦楽ロックには若干違いがあってそれが更にややこしく、「ロキノン系」といった場合には一部(マキシマムザホルモン、MAN WITH A MISSION等)を除いたラウド系は、その範囲内に含まれないことが多いが、「邦楽ロック」といった場合には比較的コアじゃないラウド系はその中に含まれる。今で言うならSiMとか。

 そもそもからしてロッキンオン自体スタートが1972年という土器・オーパーツの類の古文書だ。まだ日本に法も電気もなかった時代の遺物である。「ロキノン系」という言葉だけが長い年月を一人歩きをし、この言葉が広く使われていた2000年代には「ロッキンオンジャパンとか存在も知らないけどロキノン系が好き」みたいな学生が跋扈していた記憶がある。

 ので当時においては「ロキノン系」という言葉はロッキンオンの手を離れ、ほぼほぼ上記の「邦楽ロック(ラウドは除く)」ぐらいの意味に着地した印象だ。

 今現在においては20代後半から30代の人々のみが稀に口にするくらいで、若者たちの間ではほぼ死語と化している。

 その代わりに「こういう音楽を好きな者同士で通じ合うために共通言語が必要だ!」と、出現したのが「邦楽ロック」という概念なのではなかろうか。どうでしょうか。

 

ラウド系

 そのまま日本語に訳すと「うるさい系」である。マジかよ。

 ダウンチューニングしたディストーションギター「デーン!」と弾いててドラムが力一杯叩いてなんか白い背景で黒い服着てる人たちは大体ラウド系。あと激ロックに載ってるのは全部ラウド系。

 メタルやパンクが時代を経るにつれてジャンルが細分化してきた上に、ジャンル分け不能の音楽が増えてきたということもあって、そのあたりの音楽を総称してラウド系と呼ぶようになってきたといった具合だ。

 ただ一般的に「ラウド系」と言った場合には上記以外にも、暗黙のうちに「割と最近の音楽である」や「V系は含めないことが多い」などの不文律があったりする。あと本当にマジでコアでヤバいヤツらはラウドって呼ぶと怒る。ラルクをV系扱いするとベースのヤツが怒るのとか、電車で席譲ると逆にキレるジジイとかと同じメカニズムだと思われる。気を付けよう。

 

 ちなみに「ラウドロック」なるジャンルの分け方もあるのだが、こちらの言葉は2パターンの使われ方があって、一つは上のラウド系と同じ意味で使うパターン、もう一つは以前「ミクスチャー」や「モダンヘヴィネス」と呼ばれていた音楽の別名として使うパターンの二つがある。ややこしい。

 ラウド系という呼称で一番面倒なのがメロコアの扱いで、最近で言うとWANIMAはラウドに含めるのか、フォーリミは邦楽ロックなのか、みたいな微妙な線引がある。ラウドがロシアだった時にメロコアはウクライナくらいの地理だと思ってほしい。雪めっちゃ振るしほぼロシアだろお前ら、みたいな。

 もう激ロックに掲載されてたら全部ラウドってことでいいと思う。

 

ギターロック

 99%のロックバンドはギター使ってるのにも関わらず、敢えて”ギター”と言い直すという不思議な言葉。「手足ダンス」「子宮オンナ」ぐらいの話である。言葉としてもうおかしい。

 大体みんなこの言葉を使うときには「ギターボーカルの4ピースバンドかギターボーカルの3ピースバンドで、ギターの音がジャカジャカいってて、割と早めのテンポと爽やかさのある曲調」という傾向のあるバンドを指して言っていることが多い。

 初期中期のバンプとかのサウンド辺りが”ギターロック”の典型だ。

 

 そういえばこのギターロックという言葉、最近ではめっきり聞かなくなったが昔よく使われていた「下北系」とかなり似ている気がする。

 というか元々下北系と呼んでいたサウンドが下北の実態に合わなくなってきたので、代わりにギターロックと呼ぶようになったのか、はたまたギターロックという言葉ができたから下北系という言葉が抹殺されたのか、真偽は不明だが言葉としては近しい部分にあると思われる。

 これもどちらかというと古い言葉で、ギターロックと言われて思いつくのは90年代から00年代にかけてのthe pillows、GRAPEVINE、といったような、あの空気感のバンドたちであって、昨今デビューしたてのバンドたちに当てはめるのはなんだかちょっと違う気がする。

 とも思いきや、たまに「リードギターのテクニックがウリのバンド!」として使われたり「ブルージーなロックンロールサウンドの古き良きギターサウンドバンド!」としても使われたり、ギターロックと聞いただけではバンドの中身はまったくわからない不思議な言葉である。言葉としてどうなんだこれは。

 

後編へつづく

 ではつづきは後編。「オルタナ」「残響系」「シティポップ」毎回物議をかもすこの言葉界の問題児たちについて考えていきたい。

 それでは!また次回も良ければお付き合いください!

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