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2016/05/31

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やめてください。Hello Sleepwalkers はクサいから邦楽ロックじゃないです。

 今の邦楽ロックで特に若者を顧客ターゲットとしたバンド。いわゆる売れ線というやつだが、ザクっと思い切って二つに割ってしまえば、「ロキノン直系のシンプルなバンド」と「9mm時雨以降の攻撃的なバンド」と分けることができる。
例を挙げれば、前者はKANA-BOONとかSHISHAMOのようなシンプルなビートを中心とした、乗せ聴きやすくわかりやすいバンドであり。後者はBLUE ENCOUNTやグッドモーニングアメリカのように、よりリードを意識させるような構成と起伏の激しい歌メロでリスナーの耳を奪うことに主眼を置いたバンドだ。もちろんどっちとも言えぬバンドや、まったくの例外を行くバンドも多々あるが、今回はそこには触れないので忘れて欲しい。

 さて今回取り上げるバンド、「ハロスリ」ことHello Sleepwalkersは間違いなく後者に分類されるバンドだ。ルックスからしてもう大人しそうではない。大人しいやつはサイドを刈り上げて伸ばしてパーマかけたりはしない。
そんな彼ら、デビューからの勢いを殺さずにアニメのタイアップまでこぎつけた所で人気が爆発したことで、今や「ザ!邦ロック!」というような取り扱いを受けているが、よくよく聴いてみると他のバンドとはかなり異質な音楽性をしていることに気が付く。

 みんな騙されるな、ハロスリはただの邦楽ロックじゃねえぞ。

正直売れないと思ってました

 すみませんでした。
いやなぜかって、さっきも書いたように普通の邦楽ロック・売れ線から大きく外れた所にいるからである。まずメンバー構成が

ギター男性ボーカル
ギター
ギター女性コーラス
ベース
ドラム

一昔前はチラチラとギターが3人いるバンドもいたような気もしなくはないが、最近じゃ絶滅寸前のトリプルギター。大は小を兼ねる、というように人数は多い方が良いと思われがちだが、ギターが3人もいたら普通音が多すぎてなにがなんやらわからなくなる。もしくはだれか一人弾くところがなくなる。バッキングとリードで十分手が足りてしまうからだ。
しかしハロスリの場合はバッキングに加えてリードギターでハモりを入れるのをバンドの武器としている。また本来シンセ等を使う飛び道具的な場面でギターを使ったりと3人であることを最大限生かす形を取っている。
そんでもって女性コーラスだがこれがかなりアクの強い歌い方で、好き嫌いが大きくわかれるだろう声質をしている。
見た目も、さいきんのバンドマンなら普通はパンツにTシャツスタイルかボタンダウンのシャツか、であるが彼らの場合現代社会であまり見かけない服装をしている。モバゲーのアバターのようである。

 

Hello Sleepwalkerの正体

 トリプルギター。ハモり。女コーラス。奇抜な服装…
 これらの要素から僕は彼らがどこから生まれたのかを、確信を持って言うことができる。

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ジャパメタだ。

 メタルである。源流は間違いなくメタル。メタルはクサい(褒め言葉)なので隠しても隠してもその異臭がプンプンとするのである。特にバンドの紅一点であるナルミのメイクや出で立ち、パフォーマンス等何をとってもメタル臭がすごい。メタルはクサい。最高だ。元ヤンの女性は何年たってもママになってもどこかヤンキーのスメルを隠し切れないのと同じで、メタルから上がるとどうしてもメタルのスピリットが前面に出てしまうのである。恐るべしメタル。最高だぜメタル。メタルクセえ。再三だが褒め言葉だ。

 V系から音楽に入りギターを始めメタラーとして完成される女性ギタリストは多くいるが、メタラーを経て邦楽ロックにたどり着いた例はかなり稀有だろう。

 ボーカルのシュンタロウも、弾くフレーズからメタルを感じるし、端々からそのギタースキルのヤバみを匂わせるが、彼の真にすごいところは内から湧き出るメタル色をしっかり邦楽ロックに昇華している所である。到達した場所は「攻撃タイプの邦楽ロック」ではあるが、他のバンドが9mmから、時雨から、と真っ直ぐに影響を受けてその延長線上からやってきたのに対して、彼らはメタルから生まれ自身のメタルセンスを邦楽ロックに落とし込んだのだ。そりゃどうやってもありきたりにはならないわけである。

 曲を出すたびに「こういうこともできるのか!」と新境地を開拓して行けるのも、他のバンドが邦楽ロックの切り口で出され尽くしたアイデアを奪い合い焼き増しを繰り返す横で、メタルをポップにするという方向でアプローチをしているからこそできる芸当だ。

 クサいクサい言っててすっかり忘れていたがドラムの演奏力の高さもこのバンドを支えている大きな要因の一つだ。メタルしきらないのは彼の叩くビートのお蔭であるところが大きい。フレーズの引き出しも多く、楽曲ごとにまったく違うビートパターンを見せてくれるので、特徴的な音階のリードフレーズでどの楽曲も同じに聴こえる現象を防止している。

 こういったバンドとしての地の力の強さが「こんな個性の強いバンド大衆ウケしないだろ…」という僕のチンケな予想を跳ね除け、バンドとして成功できた理由だろう。確かにアクは滅茶苦茶強いがそのアクをバンドの旨味として聴かせることができるそのポテンシャルに人気が付随した形だ。

 

 いい意味で邦ロックなどと呼びたくない。ジャパニーズキャッチーメタル、Hello Sleepwalkersは若者のメタル離れを食い止めるメタル界の希望なのかもしれない。

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