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2016/01/22

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ついにバック・トゥ・ザ・フューチャーの未来の日が訪れてしまったけど、”未来の音”って生まれただろうか

2015年10月21日午後4時29分。
ご存知バック・トゥ・ザ・フューチャー2の舞台であり、主人公らが辿りつく未来だ。
そう、我々は当時の未来の象徴だった2015年にたどり着いてしまったのである。

さあ映画の2015年に比べて実際の2015年はどうだろうか?
空を飛ぶボードは未だに生まれていないし、スニーカーは自分で紐を結ぶ必要がある。映画の中にあって実現できてない部分だけみれば思ったより発展してないように感じるけど、逆に映画では最新のものとしてFAXを使っているが、現実ではもう時代遅れの代物だ。
まとめてみると、例えば宙に浮くボードや紐が勝手に締まるスニーカーといった物理的なものは映画の当時からあまり進化をしていないものの、Eメールだったり音声認識だったりといったコンピュータの中のものに関しては当時の予想を超えて発展しているように思える。

では音楽はどうだろうか。
もちろん映画が生まれた当時から現在で格段にその技術は向上している。
音楽を聴く方法、レコードからCDへ、CDからMP3へ、そして今の時代はMP3から聴き放題サービスへ。技術の進歩にあわせてどんどんと所有という概念からアクセス権という形に変化していった。

だがここまでは聴く方法の話、ではその聴いている音楽の中身に技術の発展を感じるかといえば、かなり微妙なところ。
特にバンド物の音楽なんて下手したらビートルズが結成された1960年から基本的なところは全然変わっていないように感じる。エレキギターにせよベースにせよ未だにその時代のスタイルのもののまんまだ。
他のジャンルだってそう、未来っぽさを感じるEDMですら曲の根幹はシンセサイザー。
シンセサイザーは未来っぽいけど、その歴史は意外と長くて80年代には完全に普及していた。マジで頑張れば80年代の機材だけで今のEDMにかなり近いところまで作れるはずだ。

要はそういうことだ。確かに技術は進歩しているが、大多数のものが既存のものの改良だったり、便利に扱えるようにしたものであったりするばかりだ。
日夜発表される新製品も「ビンテージの音を完全再現しました!」といったものが非常に多い。というか殆どそのパターン。
確かに個人レベルで今まででは絶対に扱うことの出来なかったビンテージだったり高級機材だったりが、技術革新によって扱えるようになるってのは素晴らしいこと、
だが、そうじゃないよな!?みんな!
結局のところそれらは今まであった音を便利に使えるようになっただけで、新しい音というわけではないのだ。
確かにそういうのも大事だが、私が言いたいのはアレだ。未来のことを想像したときのあのワクワク、子供の頃に夢見た「未来では想像もしないような音が生まれてるんじゃないのか」っていうアレだ。

というわけでだ、今回は映画バックトゥザフューチャーの舞台1985年から今に至るまでに新しく生まれた音。要は1985年からみたときの”未来の音”だ。技術が発展しても便利になるだけだったが、少なからず新しい音というものは生まれている。今回はそれらを紹介していきたいと思う。

オートチューン(ケロケロボイス)


Daft Punk - One More Time

これぞ21世紀の音。テクノロジーの賜物。
上に貼ったダフトパンクの名曲"One more time"やラッパーのTペイン、そして日本だと我らが中田ヤスタカ軍団、特にPerfumeの使用などで有名になったこのサウンド加工。
一般的にケロケロボイスとかケロールボイスと呼ばれており、声をケロケロに加工するソフトはオートチューンと呼ばれている。(因みにオートチューンは商品名。ピッチ補正ソフトと呼ぶのが一応正しい。宅急便と宅配便の関係みたいなもんだ)
原理的に言うと、人間の歌は自然なままだと絶対に”ピッチの揺れ(意図的にやるとビブラートと呼ばれる)”を持っている。
それをソフトで一切”ピッチの揺れ”がない状態にするとケロケロボイスになる。
さらにツッこんで話なすと、歌の音程が変わるとき自然なままの声だとなだらかにピッチが変わるのだが、そこの部分を直角にしてやるとそこの部分がケロケロ言う。要はアタックの部分が変化するわけだね。ピッチ揺れを消すとケロケロというかツルツルした音になる。一般的なケロケロボイスはケロケロだしツルツルだが、たまに注意して聞いているとどちらかだけのものがあったりしてちょっと面白い。

 

ボーカロイド

TUPKOb9i

1985年のドクとマーティが現実の2015年日本に来たらビックリするんじゃないだろうか。
今や当たり前になってしまっているが、バーチャルのアイドルにみんなが夢中になっているって冷静に考えるとかなりヤバイ事態だと思う。

そう、ボーカロイドは言うまでもなく技術革新によって生まれたテクノロジー音声である。
確かに1985年には機械から人間の声が合成されて出てくるなんて絶対に無理だった、だが正直なところ技術さえ進歩すれば実現可能なものでもある。
技術的には”未来の音”というのにはちょっと足りない気もするが、その文化的な面を掘り下げてみると印象がガラリと変わる。

初音ミクを筆頭にしたボーカロイドムーブメントはかなり特殊である。
普通そういった類のムーブメントが発展するときは大元の作品からトップダウン方式でファン達に提供される。要は原作があってアニメがあって2次創作があってという具合だ。
だがボカロの場合、肝心の大元の作品というステップを省略してしまっている。
簡単なキャラクター性だけ与えただけのボーカル音源を世に放りなげたのだ。それが2次創作に2次創作を重ねて今の巨大なムーブメントになるとは誰も想像しなかっただろう。妄想に妄想が重なった結果、当初放り投げられた貧弱なキャラクター性が、今では非常に奥深いものとなっている。
初音ミクの代表的なセリフとして「みくみくにしてやんよ」ってのがあるが、あれも2次創作の曲から生まれたセリフだ。

要は何が言いたかったかというと、1985年にボーカロイドが生まれたとしても、今日のようなムーブメントにはなりえなかったのではないだろうかということである。
今日のようなムーブメントになるためには、ボーカロイドの技術だけでなく、インターネットの発達とそれに伴ったコミュニケーションの変化が不可欠であるということである。
ボーカロイドが文化的な側面を含めて”未来の音”であることは間違いないだろう。

 

ハングドラム


Hang Massive - Once Again

見た目から既にローテク感マックス。コンピュータ的な要素ゼロ。
だが私はこの楽器こそ”未来の音”ではないのかと思う。

ハングドラムは2001年にスイスで生まれたUFO見たいな形をした新しい楽器だ。
動画を見てもらうのが一番わかりやすいと思うが、くぼみの部分を叩くと音程のある音がでる。それ以外の部分では音階のない音が出せる。
技術的な面で言うと見たまんまだが、ローテクだ。だがこの楽器の音階を鳴らすことができつつも音階の無い音もだせるという特性を考えると、生まれるべくして21世紀に生まれた楽器であることがわかる。

まずこの楽器の原型になったのがスティールパンという楽器。
スティールパンは楽器としてはかなり歴史が浅く、1939年に生まれたという。「20世紀最後にして最大のアコースティック楽器発明」とも呼ばれているぞ。
20090828144337
↑このふざけた見た目の楽器がスティールパン。

このスティールパンの原理を元に胴をつけて共鳴させ、音階の無いリズム用の音も出せるようにしたのがハングドラム。
原理はアナログマックスだが、音楽の歴史で考えると結構最先端。リズム楽器とメロディ楽器と、ハッキリと二つの要素を持った楽器はかなり特殊だ。結果的には和音も出すしな。
要は新しいプレイスタイルの発明ということだ。これはもう21世紀的だろう。

余談だが、現在テクノロジーの進歩の度合いに対して新しい音色の発明の度合いが追いついてない理由の一つに、「シンセサイザーが進化しすぎて、その気になれば思いつく音を割と再現できてしまう」ことがある。デジカメが登場したらフィルムカメラの進化が止まってしまったのと同じ具合だ。
実際ハングドラムの音色もシンセでかなり近い音が出せる。
だがハングドラムの音を生で聴くとシンセでは絶対再現できない、空間に向けて鳴って混ざりあう感覚がある。ハングドラムでしか成し得ない音楽があるということだ。

まだまだ歴史の浅い楽器であるものの、楽器としての完成度の高さと面白さから、これからもっと普及していくんじゃないだろうか。

 

タッチパッド楽器

KP3_BIG
みたまんまわかりやすくテクノロジーの結晶。
各社から似たり寄ったりの商品がでているが、基本的には大体どれもシンセサイザーかエフェクターをタッチパッドで制御するものだ。
と言ってしまうと”未来”な感じがしなくなってくるが、タッチパッド操作によってランダム性をもった音使いが可能になっている。
その音使いまで含めるとこれはもう”未来の音”といって過言ではないだろう。

こちらはアイバニーズとコルグの新製品。ギターにカオスパッドを搭載するというギタリストの妄想を現実のものとしてしまった。
ギターやベースを録音した後の編集段階、いわゆるポストプロダクションの段階でしか掛けられない特殊効果のエフェクターを演奏中に自分の手で掛けることができるという画期的な製品だ。
エレクトロ系をとりいれたバンドなど、割と使い道も浮かぶし面白いものだと思うが、個人的には演奏がクッソ難しそうで買っても結局使わない気がしてアレ。

 

オタマトーン


【オタマトーン】Let It Go

これが出てきたってことはいよいよネタ切れが迫ってきているというアレだ。察してくれ。

シンプルなシンセサイザーに”口”がついた楽器、それがオタマトーン。楽器界屈指の可愛さを誇る。
遊び心溢れるというか、遊び心そのものを具現化したような楽器、というかオモチャだ。
オタマトーンを見ていると、もう後一工夫で想像もしなかった革新的な楽器が生まれてくるような気がする。
なんかすげぇ惜しい気がするんだよなコレ・・・・。

わかってくれるよな、この可能性の無駄遣い感を・・・
 

マキシマイザー

ダウンロード (5)

これに関しては実態はないし、音の説明も非常に難しい。
だが取り分け2000年代以降のCD化された音楽でコレの影響がない音楽は一切無いといっても過言ではないだろう。

特に重要なのが上に画像を引用したWavesという会社のL1という製品。
デジタルオーディオの革命とも呼ばれており、ザックリ言えば今まででは絶対に不可能だった領域まで音圧を稼ぐことが出来るというヤバイプラグインである。
その後何が起こったかというと、知っている人は知っている音圧戦争が起きたのだ。(昔書いた音圧についての記事
そして音圧を稼げるようになったことでサウンドへのアプローチの仕方がガラリと変わった。さらにそれにつられて音楽性も変化している。

マジレスすると、これが一番未来の音だと思う。地味といえば地味だが。
みなさんの気づかないところでコッソリ物凄く発展していたんだぞ、音楽は。

 

いかがだっただろうか。

こうやって並べてみるとなんだかんだで新しい音は生まれているみたいだ。
あの時代に想像した未来とは恐らく異なっているが、なかなか面白い時代になってるんじゃないだろうか。

さてさて、今から30年後にはどんな音が生まれているか楽しみである。
ただ、どれだけ技術が発展してもロックバンドは今までどおりローテクを使い続けると思う。

ということで今回はこのあたりで!

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