オリラジのPERFECT HUMANを音楽的に解説するだけの記事。
今回はMステにもでてた今話題のアレ。オリエンタルラジオの新ネタ「PERFECT HUMAN」についての記事である。ユニット名はRADIO FISHって言うらしいね。
先日、当サイトのライター石左君から「オリエンタルラジオの新ネタの曲を音楽的に解説してみせよ」という連絡があった。彼曰くそういった斜め上の方向からでも音楽オタクの君ならどうにかなるとか、アレがなんたらかんたらのことだが、ボソっと自分が読みたいとも取れる発言もしていたので多分そういうことだろう。それか俺に対する新手の嫌がらせなのか。無茶振りにもほどがあるだろう。
ともかくだ、わたくしとしてはこの挑戦を受けないわけにはいかないだろう。
楽曲としてはかなり低レベルじゃないのかコレ・・・?
PERFECT HUMAN
サウンドのクオリティがひどい
この曲で真っ先に気になるのが音のクオリティの低さ。
芸人の曲に対して音のクオリティが低いとかなんたらって言うのもなんともお門違いな気もしなくもないが、楽曲としてみたときには真っ先に気になるのがココ。
最近の技術の発展というのは凄いもので、こういったエレクトロ系のサウンドのクオリティも最近は想像を超えて凄いことになっている。大体10万円くらい出してソフトを導入するだけで時代の先端をいくクオリティの音が使い放題という時代である。わけんわからん地下アイドルでも割と良い音してる時代なんだぜ・・・。
そんな時代だと言うのに予算をケチったのかなんかのミスなのか、PERFECT HUMANのサウンドのクオリティは異常に低い。
例えば上の動画でいうと47秒辺りからのクラップ(手拍子の音)あたりが一番わかりやすいんじゃないだろうか、素人目にも安っぽい音してるよねコレ。
あとはハイハット(チッチッチってなってる音)とかも目に見えてしょぼい。
敢えてチープな音を使う音楽ジャンルも少なくはないが、コレに関してはそういうジャンルじゃないだろう。
コールアンドレスポンスが雑
コールアンドレスポンスっていうのは「吠えろ(hey) 声あげろ(ho)」の部分ね。
特にこういったEDMとかもそうだしアイドル系とかでもそうだし、盛り上がる系の曲なら積極的に採用していきたい技法がコレ、コールアンドレスポンス。会場の一体感とかもでるし常套句の中の常套句。
で、オリラジの場合はココが非常に残念。
コールアンドレスポンスを知らない人が3秒で作ったコールアンドレスポンスみたいな感じ。なんかソレっぽい感じにテキトーにつくりました!って感じ。
敢えてベタ過ぎる感じにすると芸人的には良いのかもしれないけど、作曲者の投げやりな感じがよく出ててベリーバッド。
ドロップ
EDMで一番盛り上がる部分、サビ前のアレ。
「デーーデーーデーーデーーデーデーデーデーデデデデデデデデデデデデデデデデデデデ」のアノ部分、ドロップという名前なのだがココが非常に残念。
もはやEDMの命ともいえる部分なのだが、この曲、圧倒的やる気のなさが感じられる。
この部分EDMなら絶対入ってくる上、似たような曲が多い同ジャンルにて曲のオリジナリティを示す部分であるのだが、そんな大事な部分をただのスネアロールで済ましてしまった。酷い。ラーメン二郎に喩えると「スープなんてお湯にニンニク溶かしておけばソレっぽくなるだろ」みたいな雑さ。
察するにこの曲作った人、普段エレクトロを全く聞かない人なんだろう・・・。
上に書いた事柄に以外の他の部分もクオリティの低さが目立つし、非常に稚拙な出来栄えで楽曲に関してはマジでどうしようもない状況。
ディスったあとで作曲した人の名前を出すのはちょっと怖いので自重するが、その人のほかの曲は普通にクオリティ高いので多分マジでヤル気なかったんじゃないかな・・・。
曲はクソだが歌詞はスゲエ
上記のとおり曲に関してはマジでやる気が感じられなかったが、何故か歌詞は技法の側面から見ると非常に高度。パーフェクトヒューマン。
ということで流れにそって技法を解説していこう。
彼は言った世界は必ずしもみんな平等とは限らない
彼は言った世の中には絶対勝者と敗者が存在する
彼は言ったその勝者の頂点が自分自身そう
Top of the world
冒頭のこの部分。いわゆるツカミってやつだね。リスナーが最初に触れる部分でもあるし、曲の方向を決定づける大事な部分。彼らこの時点から高度。
まずね、最初の部分で「彼」が誰なのかを明かさずに話を進めるのがポイント。
リスナーに対してある種の疑問を提示するわけだね。ここでリスナーの興味を引くわけですよ。
ついでに繰り返し「彼」という形を使ってこの曲は「彼」について歌っているというところまで示している複合技。
さらに「平等とは限らない」や「絶対勝者と敗者」、「Top of the world」といったワード。サラっと入ってきたけどコレで冒頭の内から曲の世界観を提示してるわけだね。
さすが芸人というか、最初が肝心と言うか、とにかく入りに関してはパーフェクトヒューマン。
彼が法であり秩序保たれるすぐさまなくなる世界のWar
時は来た彼こそ真の支配者
彼の前にひざまずくのは敗者
感謝の言葉 彼に乱射
賢者 識者 かけろ拍車
民共崇める準備はいいか?
自分を高める運気欲しいか?
さあみんな手を天にかかげそして今こそ祈れ
続いてねこちらラップパート。
特にここで重要なのが「自分を高める運気欲しいか?」の一行。ここが重要。
「彼を崇めると運気が高まる」という内容だが、我々とは別次元の存在であるとこを暗に示しているのだ。もはやただの神。
彼と我々との絶対的な距離感をより強く示す大事なパートである。
恐れるな おののくな
吠えろ(hey) 声あげろ(ho)
その血と魂を今ささげろ
ドロップパートではそれまでの「彼」の凄さを語るという”説明”から、場面が変わり我々への問いかけとなる。
曲の節目でガラッとシーンを変えてしまうそのテクニックにも脱帽だが、さらにいうとココの言葉のチョイスが素晴らしい。
「恐れるな おののくな」というなかなか使わない勇ましく奮い立たせるような強い言葉によってこの先に待っている「彼」の登場をより強く演出しているのだ。
「I'm a perfect human」
na ka ta nakata
na ka ta nakata
na ka ta nakata
「大事なことなので6回言いました」
大事なこと、伝えたいこと、メインになる事柄、そういったものを確実に伝える究極の技法「何回か言う」
これをね、曲の一番重要なところにもってきました。流石ですよコレは。
大事なことも通常なら2回くらい言えば良いけど、今回の場合はさらに念を押してNa Ka Ta6回言っちゃうからね。最強。
「I'm a perfect human」
We live in Tokyo.
We believe in new God.
さて「彼」の名前が明かされ、曲としてひと段落ついたのがこのパート。
そして「東京に住んでいる」という予想外の方向。圧倒的ボキャブラリー。
普通の人間ならばここでは当たり障りのない言葉を選び、曲が終わってしまうものである。しかし彼らの場合はここのある意味ナンセンスとも取れる部分が部分が挿入されることによりある種の「異物感」が生まれるのだ。この「異物感」によって曲の中毒性というかその辺が生まれている。
「異物感」というテクニック、ただテキトーにやっているわけでもなく古今東西、名曲といえるものには割りと頻繁に「異物」的なワードが挿入されることがある。例えばニルバーナの”Smells like teen sprit"のサビ終わりの「アルビノ」とかもそれの一種ともいえるんじゃないだろうか。(ニルバーナのそれは言葉遊びの側面が強いが)
いかがだっただろうか
さて、いかがだっただろうか。
上記のとおりパーフェクトヒューマンは楽曲はクソだが歌詞はスゲエといった具合である。ただそれだけのことである。
しばらく考えたが、この記事、当サイトきっての役にたたん記事な気がする。
とうことで私からは以上だ。また次回の記事で!ステイメタル!