"ハルカトミユキ"にインタビューしてきたけど根の底から人間が暗すぎてインタビューが成り立ちませんでした。後編
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「"ハルカトミユキ"にインタビューしてきたけど根の底から人間が暗すぎてインタビューが成り立ちませんでした。前編」
前編もひたすらに暗かったですが後編も暗い。最初のお題は「メンヘラ嫌い」です。危険な話題を振ったのは俺ですが「こい、かかってこい」と振ってほしそうな顔をしていたのはハルカトミユキお二人です。どうぞ。
―メンヘラ嫌いですよね?
ハルカ:"メンヘラ"の定義に寄りますけど、嫌いですね!笑
自称する人は特に。ホントに死にたい人って黙って死ぬからってホントは思う!笑
生きてメンヘラって言ってるなら元気じゃんって。まあ、外からはわかり得ないことが色々あると思うけど、生きてるなら大丈夫じゃんって。
―絶望ごっこってそういううたですよね。
ハルカ:そうですねー。アレ、元々は東北の地震の時に書いたんですけど、そん時もすごくムカついてて、東京にいる奴らが安全圏からなんか「大丈夫、大丈夫!団結!」みたいな。
岩手にいるならわかるよ。ミュージシャンとかなんか急にチャリティソング歌い始めるし。そっから突然チャリティおじさんみたいになる人とかいっぱいいたし。いや、人の勝手だし偽善も善に違いないので良いんですけど。
―いますね。チャリティジジイ。
俺もあの時はなんだかムードが居心地悪くて、大学でペットボトルのキャップを集める学生団体が来てて
「それ何個で1円になるんですか?」って訊いたら
『40個です』なんていうもんだから
腹立って100円玉ねじ込みました。
ハルカ:いやなんか、チャリティも復興支援もそれを今後継続的にやるならわかりますよ。
でもあのときだけの人もいたから。
しかも、それがうれしそうだったんですよそれが。「今、音楽で、俺らの出番だ」みたいな
喜んでんじゃんって。地震起きて。なにそれって思って。それが凄い腹立ったし。そんなにそういことがあるんだったら、前からそういうことやってるならわかるし。突然なんか
―今までも困っている人いましたしね。紛争地の少年兵とか、隣人とか、繁殖用犬とか、線引がよくわかんないですよね。なんかソシャゲのイベントみたいな盛り上がりでしたよね。
ハルカ:黙って東北行くわけでもなく、ホントにうれしそうになんか歌を歌い始めるみたいなのが気持ち悪いと思って。
なんで喜んでのかなみたいな。これじゃまたどっかで地震起きたらまた嬉しそうに歌うんかなって。
―江頭はなんにも言わず勝手にやってたとかありましたもんね。
ハルカ:うん、そうすごい。それが周りにあって、もちろん小さい力にはなってみたいなのはもちろんあると思うけど。
そうじゃないところで気持ち悪いってのが凄いあって。そっからいろいろ。
逆に自分が被災したりとか、ホントに命が掛かってるような状況ではホントにいえないようなことを軽々しく言えてたから。東京の人って。
―だってもう収まった空気ありますけど、まだ仮説住宅の人もいますからね。忘れてんなよと。
にしても「絶望ごっこ」絶望ごっこってひでータイトルだな。嫌な奴~。
ハルカ:笑
―パンチラインですよ。
ハルカ:そうですかね。ありがとうございます。
音楽で変えたいこと?無い。
―僕が聴いてて思ったんですけど、ハルカトミユキの音楽ってすごい主張強いじゃないですか。ヘイトがあるじゃないですか。
今回これを本題にしようと思ってるんですけど、バンド稼業の方々って世の中に影響を及ぼしたかったり、なにかを変えたいとか、自分の中にある不満をぶつけたいとか、そういう主張を持ってやっている人が多い中で、ハルカトミユキのお二人はどういうスタンスで音楽をやっているんですか?
ハルカ:私は何かを変えたいって思ったことは一回も思ったことないし、何かを伝えたいってので音楽を始めた人じゃなかったので。
いまも割とエゴだし、当時から興味なかったんですよ社会にも人にも。私の音楽はただ「自分が言いたいことを言う」だったから。
あ、でも、デビュー当初よりは手紙もらったりとか、なんか言われたりとか「救われました」とか、そういうの貰って初めて「あー別に私がただ自分が言っただけで、そういう人がいるんだ」って実感しました。それは、嬉しかったです。
でも、だからといって最初から、今までも、何かを変えようなんて大それたことは一つも思ったことはありません。
―そうなるとやっぱり雑誌とかって表面上言わされたりするんですか?
ハルカ:笑
ミユキ:まあ表面上ですね。
ハルカ:勝手に主張がある風に書かれちゃうんですけど、そうなってくると私たちも「そうやって言った方が良いのかな…」なんて思っちゃいますよね。言いませんけど。
―誤解してました。僕はどっちかっていうと"人や社会に影響を及ぼしたくてやってる人"なのかなって勝手に思ってまして。
ハルカ:あー「もっと暗く、もっと激しく、もっと社会派に」みたいなの言われますねー。
「ちょっとそういうのをエッセンスとして入れるともっとわかりやすいプロテストソングになるよ!」とか言われますけどね。でも「だったら歌うたってねえよ」って思うんで。本当に社会変えたいならデモやるし、国会前いくし、だったら政治家にでもなってやるわって思うんですよ。
でも、それでも歌うたってる、その理由をわかれよって。
―それも僕も超思います。音楽で世界変えるよりも、政治家になったほうがまー早いぜっていう。
今回「社会変えたいッス」って言われたら嫌がらせに『政治家になった方が早くないですか?』って投げようってタマ用意してたんですよね。
ハルカ:笑
だし、自分もお金入るし楽じゃないすか。
なにを好き好んでバンドなんてこんな回りくどいことを…
―そうですよね。人救いたいなら医者にでもなれよって笑
いやあ!医師のみなさん!いつもありがとうございます!!
ハルカ:笑
そういうこと笑
―勝手に何か主張がある人だと思って、対立意見振った方が本音訊けて面白いかと思ってきたんですけど、意見が一致しちゃいましたね。一緒じゃんって。
「生きづらいって人達にあなたは何か与えられてますか」で言い合おうと思ったのに「いやそんな気ないっす」って一致しちゃったよ。
ハルカ:一致しちゃった笑
変えます?笑 今から?笑
―いや全然!演技ナシの方が面白いです。
そうっすねー。じゃあ特に何かに不満があるとかそういうワケではないんですね。
ハルカ:いやないわけじゃないですよ。なんか私が常にムカつくのは言葉に関することなのかな。
それがたまたま政治家の言葉が酷いみたいなのが、最近凄い話題じゃないですか。
確かに「気持ち悪い」「なんでこんな軽率なんだろう」ってムカついてきちゃうんですよ。
こうやって喋ってるときとか飲んでる時とかはイチイチツッコんだりは絶対しないですけど、その人の言った言葉とかでなんか気に障る言葉があると後々ひっかかってムカつくんですよね。
―地雷多そうだなー笑
ハルカ:でもありません?言葉書いてると、それこそ凄いチープな言葉とか。
―あー、僕はさっき言った「闇が深い」とか、超嫌いです。定型文で喋んじゃねえ!ってなる。
ハルカ:あれ地雷だったかー。迷ったんだよなー。
でも、そういうことです。言葉ってやっぱり大事ですよ。人間なので。
今作のキラーフレーズ
―怒ってるフリってバレるじゃないですか、でもハルカトミユキの今作は怒ってるフリじゃなくてキレてますよね。
そんなわけで今回のアルバムの一番押しフレーズありますか?特にカチキレてる歌詞!
ハルカ:「近眼のゾンビ」の「ぞっとしちゃうほど正論で親切ヅラしたジェラシー」ってのがあって、私そこは大好きですね。
―でたらめに性格悪いな… 嫌なこと言うな…
ハルカ:超スッキリしますね。
―言われた人間に解釈は委ねられるけど、マジで嫌なこと言ってんなあ。耳障りが悪い。いや良い意味で。
「相手のためのことを思ってる!」って顔でなんか言ってくるやつね、いますよね。
「ベッキーがかわいそう!」って言いながらミュージシャン殴る人ね。あれ殴れれば誰でもいいんだもんなベッキーの為なんか微塵も思ってないもんな。
ハルカ:いまみんな結構そうだなーって思って。
自分ができないからうらやましくて言ってるワケじゃないですか。できないことやってる奴ほどうらやましいというか。
―自分を正当化するためだけの言葉ってありますよね。自分は間違ってない正しい正しいって僕は人間のそいうとこめっちゃ嫌いです。
ハルカ:ああ、私そういう本読むの大好きで…
―うわあ。やな人だあー。
ハルカ:たとえば、人間って一部は正論で論理的なんですけど、全体でみると崩壊してるみたいなそういう事例とか見るの好きなんですよね。
でも、そういう人って一部だけみるとホントに正しいこといってるんですよ。
―あー僕もそう思います。
人間って間違ってるから基本的には。人間って間違ってるくせに自分のことを正しいと思ってるからどんどん矛盾が生まれてきて。「俺は間違ってます」って一度認めた方が良いと思う。
ハルカ:絶対それのが楽。そういうのが集まると、ここだけ正しいってのが集まると戦争になるんだと思います。
SNOW
ハルカ:私カラコンいれてるミュージシャン嫌いなんですよ。
いや、目って語るじゃないですか?一般的には全然いいんだけど、ミュージシャンは外せよっていつも思ってます。
―SNOWやった日にはもうハルカさんどうなることやらだな。目どころじゃないすからね。骨格捻じ曲げますからねあいつら。
ハルカ:あーーー自撮りいちいち上げるミュージシャン無理。無理無理無理。
―笑
じゃあ撮らせてくださいよ。(カメラを向ける)
ハルカ:無理無理無理。無理!!怒りますよ!!
ミユキ:なんでそんなに嫌なのー!笑
―いいんすか?こんな小さなプライドも捨てられないのに?音楽やってていいんですか?え?
〇〇とか××(自撮り女バンドマン)に負けてていいんすか!?ええ!?
―めちゃくちゃ可愛いポールマッカートニーみたいになっとる。
マジで暗い
―ハルカさんマジで暗いですよね。笑わなさすぎる。
ハルカ:私この前ライブで、凄いにこやかにやったつもりだったんですけど、友達見に聞きてて「絶望的に暗かった」って言われて。
マネージャー:三日間の内のどれ?
ハルカ:一日目。
マネージャー:あれ明るかったつもりなの…?
ハルカ:結構明るくやってたつもりだったんですけど。「絶望的に暗かった」って
基本的には明るくやるかー!ってやってんすけどねー。
―今までインタビューしたなかで圧倒的に一番暗いっす。笑ってくれ。
ハルカ:うそ?どこが?なにが?トーンが?
―感情がねえ。人間に興味がないのも。笑顔がないのも。
ミユキ:ウケる笑
―稀に見るんですけど、ハルカさんみたいな感情の起伏がない人って、死んでんすよ。感情が。
ハルカ:これでも治った方ですよ。
―治ってないですよ。死んでますもん。死体に医者つけたって仕方ないですよ。死んでますよ。ハルカさんは死んでる。
あんまりにもつらいことあった人とかって感情が死ぬんですよ。
いや、爆笑とかはするんですけど、そのタイプの人って、ムカついたときに無になるというか…
ハルカ:そうかもしれない…
一時期その、めんどくさくなって、制作とかで。その時は真に受けてるとあまりにもツラいから、ちょっとおかしくなっちゃって。誰の言葉も右から左に受け流しすようにしてたら、無になって。泣いたりとか怒ったりとかできなくなって。
そういう時って言葉がでてくなくなるんですよ。失語症ってこうなのか?ってぐらい。喋ろうとしても「アッ エッ」しか出てこなくて、その時は「さすがにヤバい」って思いました。
―暗い人には2種類いるけど、ハルカさんのはマジで暗い人なんすよ。手ごわいやつ。
ハルカ:へーどういう基準?
―自分で自分のこと暗いっていうのアレですけど、僕は根が暗いから起伏激しくしてるみたいな。
そもそも不安が常に滝なので、自分がずっとすごい喋ってないとダメで。喋って喋って喋って、相手が表情に変化があったりリアクションがないと「あー、俺と一緒にいて楽しくないんだって」傷つくんですよね。だから余計喋るし笑うし怒る。
ハルカ:絶対私と喋ってたらダメだ。笑
―だから俺苦手ですよハルカさん。笑
部屋入って目にした瞬間から「今日は、厳しい戦いになるな…」って
ハルカ:でも、私も出発点は"怖い"ってとこから来てるかもしれないです。
昔っから5人以上とで喋れなくて。よっぽど仲良かったりで黙っててもいいならいいんですけど。初対面とかただの知り合いとかといると、ここら辺(斜め裏)からみてるんですよ。自分が。
―それは離人症ってやつっすよ。じゃなきゃ幽波紋。
ハルカ:自分がずっとみてて、それは小学生の時からずっとそうで。
そうなると言葉発したくないし、発してもなんか誰も聴いてないみたいになっちゃって。「もう早く帰りたい」ってなるんですよね。
―何があったかしらんけど、暗い…
対してミユキ先生はすごい朗らかな人だなーって印象です。
ミユキ:私はどっちかっていうと石左さん側ですかねー!わからないですけど!
ハルカ:今思ったんですけど私、人に興味ないんですけど根本に人が自分に興味がないって思ってるんですよ。凄い根底に。
だから「みーんな私の話なんか聞きたくないし、どうでもいいけど社交辞令で聴いてくれてる」ってのがずーっとあって。
相手が話がうまくてよくしゃべる人でも、凄い気を遣ってくれてるなって思うし。逆に静かな人でもあーやっぱ興味ないんだなってなるから…
逆にインタビューとかだと「あなたに質問します」っていう建前があるからからラクなんですよ。一応興味があろうとなかろうが、私の話を聞きに来てる~って。
でも、ただの友達とか知り合いとか「あーそんなに気を遣わないで、どうせ興味ないんでしょ」って思っちゃったり。笑
石左:何このタイミングで笑ってんすか。笑えないですよ俺。
インタビュー破綻して良かった
面白かったですか?俺は面白かったです。見返したら、音楽の話マジでしてない。
音楽は曲を聴けばわかるとして、曲が明確には見えてこない人間像や思想がちょっとだけ見えたと思います。
これを踏まえて今作"溜息の断面図"を聴けば、内容の根深さ根暗さがなお一層見えるはず。
というか、ここまで読んだ人は上の薄暗くて長い話にどうしても同意する節がある人なんじゃないでしょうか。じゃあもう、ハルカトミユキ好きになってるんじゃん。
ぜひともアルバムを聴いて残りは確かめてください。
それでは。
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