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2017/04/15

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検証!アメリカ人に邦楽ロックをカバーさせたらどうなってしまうのか

邦楽バンドが洋楽をカバーするのは日本では定番であり、プロアマ問わず数々のバンドが数々の曲をカバーしてきた。例を挙げると

こういうのとか

こういうの。

完全に偏見ですけど洋楽のカバーってこんな風になりがちですよね。黒人に寿司握らせるようなもんで、日本人にも外人にも食えたもんじゃない仕上がりになりがちじゃないかと。

じゃあ逆に洋楽の邦楽カバーならどうか。

日本人には何かにつけて外国人様の言う事成す事をありがたがる習性がある。厚切りジェイソンなんかが良い例だ。彼の日本の社会構造批判が一部でウケてるけど、よくよく訊くとあんなもの1+1=2!ぐらいのことしか言ってない。彼の妙な説得力の所在は「外国人で声がデカい」というだけである。もしかしたら音楽にもそういう作用があるんじゃないか。

検証したい。

日本人の洋楽カバーは敗戦国の負い目からチープに聴こえてしまうが、アメリカ人様の邦楽カバーなら逆に「さすがアメリケン、でっけえや…!」みたいになるんじゃないかと。

そんなわけで今回はUSA在住、BASEMENT-TIMESの大使館こと上田さやか氏の協力の元、海外のみなさんに邦楽ロックをカバーしてみてもらった。

協力してくれたバンド、ニューヨークはブルックリンで活動中の “SAVVAS”

さやPのヨガ仲間であるアンジェラ(Vo.)がたまたまバンドをやっていたので、協力を打診したところ快諾。SAVVASのみなさんにお願いする運びとなった。

SAVVASとは
ニューヨーク・ブルックリンを本拠地に活動中のバンド。

ボーカルのアンジェラ、バンドリーダーでベースとドラムを務めるデイビッドの二人を中心に構成されており、メンバーは8名いるそうだ。

各メンバーがバンドを掛け持ちしていて、スケジュールが合えば次のライブで一緒に演奏しよう!という、セッション・バンド形態がニューヨークにはとても多い。

一つのバンドに固執する事なく、気軽にかつ真剣に音楽を楽しむスタイルが一般的のようだ。

アンジェラとデイビッドは夫婦で、私が彼女と出会った2年前はまだ結婚前だった。

日本で恋人同士がバンドとなると地雷感が半端ないが、この二人はとても仲良くやっている模様。まあ、夫婦ですし。

今回の取材に協力してくれたメンバーは総勢5名。

全員がフルタイム勤務で出版社やベンチャーなど、普通に九時五時勤務の会社員が多くて驚いた。

バンド仲間との関係も大変良好で、バンドミーティングと称してホームパーティで美味しい物を食べる際は「何を作るか」が最重要となるらしい。

良いタイプのアメリカ人のみなさんです。

 

チャットモンチーをカバーして貰う事に

邦楽の有名曲を数曲アンジェラとデイビッドに提案し、その中から選んでもらったところ、チャットモンチーの「とび魚のバタフライ」がawesomeとのことで今回の課題曲に決定した。

邦楽カバーのルール
1.日本語でも英語で適当な歌詞をつけてもOK

2.アレンジは原曲と分かれば好きなようにぶっ壊して貰って構わない

以上のルールをアンジェラに送ってみた所、本人より「日本語で歌いたい!」との要望を頂いた。

一抹の不安が脳裏をよぎる。


*よぎった不安

数日後「日本語の発音レッスンをお願いしてもいい?」とアンジェラより連絡をもらったので、カフェで「とび魚のバタフライ・日本語発音講座」を実施。

私が歌詞の発音を日本語で読み上げるのをアンジェラが復唱し、発音の矯正を行うという至ってシンプルなもの。

アンジェラのヤル気、半端ない。

それにしても、今回の企画に対する、とても真摯でプロフェッショナルな対応は大変ありがたい。

 

チャットモンチーをカバーしたNY代表SAVVAS、成果はいかに?

前置きが長くなったが、実際に映像を観てみないと分からない。

って事で、約3ヶ月に及ぶ制作期間を経た、気合の入ったカバーは以下の通り。

イマトビウオニナッテーソラトウミーButterly

バラフラァィ。

想像したのとだいぶ違う。滝沢カレンより日本語上手いし。

当然のようにトランペットを導入する辺りがUSA。GUみたいな服着てるのにスタイリストのついてるKANA-BOONよりオシャレだ。

ニューヨーク!ブルックリン!とだけ訊いてたもんだから、バキバキのUSオルタナサウンドでテラスハウスみたいな感じにされるんかなと思ったんだけど、原曲のレゲエ要素を前に押し出したアレンジでカバーしてくれた。そういえばこれってそういう曲だったのね。この曲が選ばれたのもそういう部分からなのかも。

音源に関しても「音が分かる程度の動画で良いよ」との打診にも『ちゃんとした音源を出したい』との本人たちの強い意志により長い時間をかけて、わざわざレコーディングしてくれた。アンジェラ夫妻並びにSAVVASのみなさん本当にありがとうございます。

 

SAVVASメンバーの感想

毎週木曜日の夜がスタジオ練習らしく、貴重な練習時間を使って動画撮影に協力してくれた。

お邪魔した際に、せっかくなので今回の企画についての各メンバーの感想を聞いてみた。

アンジェラ・サバス(ボーカル)

とても楽しい企画だった。

今回のアレンジは、私たちが丁度録音し終わったアルバム曲のアレンジを取り入れてみたの。

チャットモンチーはとてもクールでカッコイイバンド、練習で彼女らのライブ映像を見て「カッコイイ上に超上手い!」って思ったし、他の曲も聴いてて楽しいのばかりだった。

この企画を引き受けたついでに、少し日本語の勉強もできて良かったと思う(笑)
デイビッド・シュナイダー(ドラム)

このクールなプロジェクトを機に、今まで知らなくて、これからも知り得る事がなかったであろう「チャットモンチー」というカッコイイバンドを知れた。

彼女らの曲はとても好きだよ、レコーディングでかなり練習して弾いたけど、課題曲意外の曲も良いものばかりだね。

Youtubeでライブ画像を見たんだけど、物凄く才能があるプレーヤーだと思った。

日本にはたくさん(チャットモンチーの)ファンがいると分かっていたので、僕らが出来る限りのリスペクトを込めてアレンジして、チャットモンチー本人が聴いても気に入って貰えるように十分気をつけて仕上げたんだ。

僕らのバンドに取っても素晴らしい教養となる機会だったよ。
ジョン・ウォルシュ(ベース)

すごくクールな企画。

音楽というのは「誰もが話す共通の言葉」の一つと言えるけど、それを肌で実感したのはこれが初めて。

(チャットモンチーが)何を言ってるのか全くわからないけど、とにかく好きだ!と思ったし、新しいバージョンを作れて良かったと思っている。

※完全なる好意で動画編集を仕上げてくれたのが彼である。拍手。
マリッサ・ファレビーナ(トランペット)

興味深くてクールな企画だったわ。

今まで聴いた事のない、異文化のポップソングに触れ、新しいものに「訳する」機会に出会えた。

私は出版社で働いているので翻訳に携わる事が多く、「翻訳の芸術」に触れる事が多いし、その難しさも知っている。

音楽を通して新しい方法で「訳する」という、この企画に携われて良かったと思っているわ!
アレックス・レスバーグ(コーラス)

今まで経験したことない新しい良い企画だった。

今までと違う事に挑戦するのは大変だったけど、いつもの音楽ルーティーンから外れて異質な事をする機会に恵まれて、本当に楽しかった!

 

別の日にレコーディングにお邪魔した時にアンジェラが「チャットモンチーに気に入って貰えるかな?」と訊いてきたのを思い出した。かわいい。

SAVVASのみなさん本当にありがとうございました!チャットモンチーまで届けー

 

おわりに

あまり見る事がない外国人バンドによる邦楽カバー、皆さんの目にはどう映ったでしょうか。

最後に、SAVVASが普段どんな音楽をやっているのか気になる諸君は、以下のウェブサイトまで是非。

R&Bや50年代を思わせるカッコイイ曲が多いです。

SAVVAS ウェブサイト

それでは、また次回の記事で!

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