愛はズボーンとフエラムネ
面白い、とされている音楽とかバンドとかってあるけれど、よくよく考えると「それ音楽である必要あるのか…?」と疑問になる。
フエラムネを思い出してほしい。
ピッ!ピッ!と音が鳴る程度のフエ要素が為に、同価格帯のお菓子に比べてボリュームや味を犠牲にしてしまった悲しき戦士の姿がこれ。
僕は意外とこのフエラムネが好き。ついてくるオモチャ(上図みどり色のヤツ)も人類がギリギリ遊べるか遊べないかぐらいの、アフリカの黒人の子供とかに渡してもゴミとして認識されかねないぐらいの性能。元気がでないときはフエラムネを買ってピッピッと吹きながら「ハハ、このオモチャよりは俺の方がまだ使えるな」と自分を慰めるのだ。
でもフエラムネ、客観的に見ればラムネとしてもフエとしても低性能すぎる。しかもただでさえどっちつかずなのにオモチャまでつけてな。ラムネとしてのプライドを一切感じない。小売店のお菓子コーナーに置いてもらうためだけにぎりぎりラムネとして体裁を保っているようにすらも見える。
「お前ラムネとしてどうなんだよ!」
とアツく胸倉につかみかかっても
「いや自分、そういうところで勝負していないっていうか…(笑)」
みたいなグニャっとしたリアクション取られそう。腹立つ。
面白ミュージックもそんなもんなんじゃないかと。
こういう。
音楽と言うジャンルにいながら面白さで勝負!っていうまさにフエラムネ状態。音もフエラムネの音色と大して変わらないクオリティだし。フエラムネのオマケのオモチャみたいな見た目しとるしな。
*参考
音楽と言う土俵で戦っているから成り立つ面白さであって、仮に面白さの土俵に立ってしまえばサンシャイン池崎にデカい剣で真っ二つにされて死んでしまうでしょう。フエラムネが楽器屋のトランペットやサックスのコーナーに置いてあっても戦いにはならないのだ。
こういう面白いバンド枠(?)で今回オススメしたいバンドがいる。愛はズボーンだ。
どうでしょう。あんまりおもしろくないよね。
そう、別にめっちゃ面白いわけじゃないのだ。
時代性のせいか、パッと見てすぐ「面白い!」となるものが、わかりやすくて刺激の強いものがもてはやされる昨今。バンドの重大告知より前前前世を弾き語った方が拡散される昨今。愛はズの面白さなんていうのは非常にいぶし銀。わかりづらい。
MVごと本気で笑わせにくる音楽に慣れて感覚麻痺した現代に
「愛はズボーンってバンドが面白いよ!」
なんて勧めてもちょっと伝わってこないのだ。
でも歌詞の面白さなんていうのは本来その程度で良いんじゃないかと僕は思う。
こういう。「なんかちょっとフザけてんな!」ぐらいの話で良いはず、音楽は。それ以上は音楽自体の良さを犠牲にしないと実現しなくなってくる。
腹抱えて笑ってしまうような歌詞なんかついてたら曲には集中できない。岡崎体育の"ミュージックビデオ"を音声だけで聴くってどういう気持ちなんだと。岡崎体育他にいっぱい良い曲あるから飛ばせ。家で見ろ。
僕はだけど、おふざけは魅力の一部程度で良い。笑いたいならバナナマンのDVD見るし。
フザてけるし関西のバンドだしってことで「面白いバンド」っていう風に語られがちだけれど「楽しいバンド」っていう言い方の方が個人的にはしっくりくる。
全く今風でない、ゴリゴリのロックサウンドとガバガバなMCで対バンの客も味方につけてしまうような、魅力のあるバンドです。
フエラムネはちょっと飽きてきたという方、ライブハウスで風船片手にボンボンズボボボンとしてきたらいかがでしょうか。
愛はズ、オススメです。
それでは。