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2017/04/15

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人工知能の発展で音楽はどうなるのか:前編 作曲の仕事が人工知能に奪われる未来

 僕の予想だと10年後には有名ミュージシャンの曲が実は人工知能のゴーストライターによって書かれていたのが週刊誌にスッパ抜かれて、2014年の佐村河内事件をSFの世界観で再現すると思う。「曲の雰囲気の指定や、展開などは自分が考え出したものだ」とか言い訳がでて「どこまで人工知能が関わっても人間が書いたといえるのか」みたいな議論がワイドショーやらブログやらでされて……。

 多分これを読んでいるみなさんは「またアホなこと言いはじめたな」と感じていると思うけど、僕としては大マジ。事件みたいになるかどうかは置いといて、とりあえずAIがゴーストライティングする時代は間違いなくやってくるはず。

 最近だと「人工知能の発達によってなくなる職業」なんてトピックが頻繁にでたり、囲碁でAIが人間に勝ったりと、若干現実味を帯びてきているような気もするけど、人工知能がバリバリ活躍する未来について、実際みなさんどう思っていますか?

 普通に生活していると人工知能に触れることってあんまりないし、イマイチ実感が湧かない人も少なくないように思う。

 

 大丈夫です。みなさん安心してください。人工知能の時代はやってきます。

 現在インテルとかアップルとか名だたる大企業がAI関連企業を買収合戦したり、少し前になるけどグーグルがカーツワイルという「最終的には人間の意識をコンピューターにアップロードするのが夢」といっているマッドサイエンティストガチ勢みたいな人を招き入れたり。企業も国も「人工知能の主導権を握ることが来たる次の時代の覇者になることだ」と開発競争しております。

 まあつまり人工知能の時代が来るのは時間の問題ということ。グーグル様が「やる」と言ったら現実になるんです。

 というワケで今回の記事は、じきにやってくるだろう人工知能が音楽をアレソレする時代は一体どんなものなのか、考えていきたいと思います。

現状の人工知能の作曲


Daddy's Car

 この曲誰が作曲したと思いますか?

 話の流れ的にわかると思うけど、そう人工知能が作った曲。ソニーコンピュータサイエンス研究所が作った作曲する人工知能の作品。

 このマシン、○○風と指定するとソレっぽい曲を作ってくれるらしく、この曲はビートルズ風とのこと。確かにビートルズっぽい。サビのメロディとかハモリとかすごく特徴をとらえていると思う。

 曲のクオリティも何も知らされずに聞いたら人工知能が作ったとは思わないはず。かなりよくできてる。今度AIが作った曲だけのアルバムを発売する予定もあるらしい。

 と、音楽だけ聞く分にはもうSFの世界は間近か?と思ってしまったのだが、よくよくニュースをみてみたところ、どうやら人工知能が作ったのはメロディとコードの部分だけらしい。

 わかりやすくいえば簡単な伴奏と鼻歌だけの状態といった感じ。楽曲のアレンジや作詞等は人間が作ったとのこと。料理で言えばザックリしたレシピだけ人工知能が生成して、あとの調理やら盛り付けやらは人間がやったような感じ。上の曲で聴いたものの実質8~9割くらいが人間の仕事の部分。人工知能が人間の仕事をアシストしたというよりかは、機械が作った曲の原型みたいなものを人間が全力で形にしてできた音楽だ。

 この人工知能、原理的には絵を書く人工知能に似てるけど、見た感じ絵画の方が進んでる感じだな。

 


Google Magenta Music

 ”作曲”という分野だけに限定すれば現状は大体こんな感じ。

 先ほどのビートルズ風のもの以外にも、グーグルが作ったマジェンタという人工知能が作った音楽やジャズを作るのに特化したディープジャズという人工知能などもあるが正直五十歩百歩といったところ。実用段階というにはまだちょっと早い感じだ。

 

人工知能が人間と同じレベルの音楽を作るようになるのはそう遠くない

ただ僕の専門の音楽のジャンルで言わせてもらいますと、例えば今だと、チェスとか将棋とか囲碁とか人工知能が勝っていくじゃないですか。基本的に音楽というのは計算なんですね。五線譜に音符がありまして、その組み合わせで音楽ができているわけですよ。じゃあ過去の素晴らしいヒット曲をすべて入れました、データとして。そうしたら必ずヒットする曲というのは出てくると思います。

たぶん人工知能の作曲家と僕ら作曲家が競い合う日というのは、もう目の前に来ていると思いますよ。必ずその時代は来ると思うんですよ。

THE HUFFINGTION POST - 「人工知能と僕ら作曲家は競うことになる」X JAPANのYOSHIKIが語る音楽の未来 より引用

 

 ホラ!YOSHIKIも言ってんだからくるんだよ!とまでは言わないが、一時代を築き上げた大物が言っているとやはり説得力があるな。

 作曲AIは現状では若干頼りなさそうだけど、各分野の人工知能の発達やらを考えれば遅かれ早かれ人工知能の作曲が一般の音楽に影響を及ぼすようになる時代は間違いなくやってくるだろう。

 作曲の領域ではさきほどご覧いただいたとおり、まだ実用レベルとは言い難いレベルではあるが、作曲以外の音楽制作の場面では”人工知能”というほどハイテクではないが、テクノロジーによって人間の仕事が機械に置き替えられつつある。例を紹介しよう。

 

 

 コチラはIzotope社のNeutronというプラグイン。去年発表されたばかりの新製品なのだが、画期的過ぎて宅録・DTM業界に衝撃が走った。

 これはなにをするかというと、このソフトが音源を聴いて、それに合わせて適切な処理をしてくれるという代物。

 自撮りで例えると「あなたの顔はちょっと鼻が高すぎるから、低く見えるようにしておきましたねー」とか「あんたの目が小さいのでデカくしときました!」みたいな感じ。機械がかあなたの顔を判断して、理想的な顔面になるよう編集してくれる。機械に任せとくだけで大体どんな顔面でも100人中80人がカワイイと感じる顔にしてくれる、そんな感じのプラグインだ。

 Neutronの他にも、音源をアップロードすると自動でマスタリング済みの音源にして返してくれる”eMastered”とか”LANDR”といったサービスもある。こちらも専門の機材やらノウハウなしで、アップロードするだけでそこそこ良い感じの音になる。

 これらは音源制作において編集の部分にあたるミックス・マスタリングの作業のマシンであるが、ひと昔前は一部の専門の技術と機材をそろえた業者の人しかできなかったことが、今では一般の人でも少しお金を出して機械に任せるだけで、素人の人が聴いたら違いがわからないほどにプロの音に肉薄したサウンドを作れるようになったのだ。

 今のところいわゆる”プロのミックス・マスタリングエンジニア”の人が担当するトップレベルの技術とノウハウを必要とする領域と、これら自動化プラグインのターゲットとする領域が絶妙にバッティングしていない上に、プロの人にとっては作業の自動化よりも音楽業界全体の規模縮小のほうが深刻であるといった理由からなのか、表立って「マシンによって仕事が奪われる」と叫ばれているのはなかなか見かけないが、着々と人間の仕事が機械に置き換えられているのである。

 

人工知能の発展で音楽はどうなるのか:後編

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