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2016/01/22

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『◯◯のJamiroquai』って紹介は雑ではないか? Tuomo

Jamiroquaiはとても便利だ。
アシッドジャズという説明のしづらいジャンルを「Jamiroquaiみたいな」の一言で済ませてしまえるし、その独特なサウンドと熱狂的なファンの多さから『◯◯のJamiroquai』とポップを貼り付けておけば音楽好きは手に取ってしまう、まさしく魔法の言葉だ。口にしても短い。
ただ、その使い勝手の良さに甘んじてよく聴きもせずペンを走らせるコピーライターも多い。『◯◯のJamiroquai』ではそのアーティストを偏った層にしか届けられないのではないか?

北欧の◯◯ その1


Tuomo - Don't take it too hard

なぜかMVの舞台は日本だ。

Tuomoも『北欧のJamiroquai』として日本に連れてこられた一人である。
この曲は1st Albumのリードトラックなのだが、これを聴いて『北欧のJamiroquai』と名付けるのは失礼すぎやしないか?確かにJamiroquaiのサウンドも含まれるが、それだけではない。
『北欧のCurtis Mayfield』も付け加えて欲しい。

Tuomoはフィンランドのソウル・シンガー。イギリスやアメリカから少し離れた位置にあるだけに、両国とは違った発展をしたソウルミュージックが彼の1st Album「My Thing」にはあり私は大好きだ。
伸びやかで安定感のある歌声はどこか切なく、そして時折見せる切なさの奥に秘めた色気も魅力である。1st Album収録の「Since Or Before」では冒頭1分間をシェイカーとボンゴのみで歌い上げている、とってもエロいぞ。YouTubeにはない。

エロ切ない歌声と共に評価すべきは彼の技巧を凝らしたピアノ演奏だ。アコースティックピアノ、ローズやクラビネットなどのエレピを巧みに弾きこなしサウンドをより上質し仕上げている。
彼の音楽の根元にはジャズがある。ジャズピアノで鍛えられた演奏力があるからこそ、ピアノ弾き語りでも伸びやかで安定感のある歌声を存分に発揮することができるのだ。


Tuomo - 26

ちなみにだが、フィンランドにはTuomo以外にTuomo Lassilaというメタル系ドラマーもいるので間違えないよう注意していただきたい。

 

北欧の◯◯ その2


Tuomo - Sweet With Me

上記のことを踏まえ、さらにこのSweet With Meを聴いてもらいたい。分かるはずだ、『北欧のJamiroquai』では手に余る。失礼だ。
『北欧のStevie Wonder』も付け加えるべきだろう。いったい何をやってるんだコピーライターは。

Jamiroquai,Curtis Mayfield,Stevie Wonderと名を連ねてきたわけだが、つまりTuomoの音楽には多くの顔を持つ「ソウル」を吸収し彼なりに昇華させたものがあるのだ。
ルーツにあるジャズと咀嚼し続けてきたソウルを組み合わせ、彼なりのオリジナルをポップスの土台に乗せるためJamiroquaiやCurtis Mayfieldのようなサウンドで包み、世に送り出しているのだ。
二重三重にも工夫が凝らしてあるからこそフィンランドから日本にまでTuomoの音楽が届けられている、上辺だけStevie Wonderではモンゴルあたりで止まっていただろう。
日本に届いても『北欧のJamiroquai』で片付けられてしまうからうまく広まらない。もっと多くの人に聴いてもらいたい、だからこそこうやって記事を書いているんだ。

 

北欧の◯◯から「北欧の」が取れた

だが正直なことを言うと、今のTuomoは聴いて欲しくない。散々1st Albumと口にしてきたのには訳があるんだ。
「My Thing」が予想以上の成果を収め、それに伴いTuomo本人も、その取り巻きも変わっていった。
2nd Albumからより大衆的な音楽になるようロック要素が徐々に含まれるようになり、3rd Albumには当初のTuomoらしさは消えてしまった。現在はこうだ。


Tuomo - Tokophobia

富と名声を得たからなのか、前作を越えなくてはいけないプレッシャーからなのか、大人の事情ってやつなのか。
ファルセットを使い上下に動き回る表情豊かな歌声や、美しいエレピの音色、生演奏1発撮りのような人間味を感じる暖かいアレンジが”Tuomoらしさ”だったのだが、現在の楽曲には感じられない。
1st AlbumのTuomoが好きだった人は離れていっただろう。

時代が進むにつれて初期の良さを失っていく様を見れば『北欧のJamiroquai』で片付けてしまうのもあながち間違ってはいないかもしれない。

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