変な人がいます。グッドモーニングアメリカ
明らかに浮いている人物がいる。
長身、短パン、サングラス
他のメンバーはカッコいいポーズを取っているのに一人だけ拳を突き上げている。
アー写だけみると、とてもシュールだ。
ただ、彼(ベーシストたなしん)の存在がライブでの盛り上がりに一役買っているのは言うまでもない。
空気を作る、強引な手口
会場後方から出て来て、甲高い声で客を煽る。
初めて見る人は驚いた顔をしていて常連は笑顔で迎える。
その時点で会場は彼らの空気だ。
例えばワンマンライブなら
そのバンドを観に来た客しかいないが
対バンとなるとアウェイの日もザラにある。
その中でどうやって振り向かせるか、
いかに自分達の空気にするかはバンドにとって重要な課題だ。
そのためにMCのネタまでしっかり台本を作るバンドもいれば、
生の空気を大事にするためにそのままステージに立つ人もいる。
他にも、楽曲の世界観を全面に出すためにMCをしないバンドもいたりする。
良い楽曲を作るのは勿論だが、
カッコいいバンドに共通しているのはライブ運びの上手さだ。
良いバンドほど曲間も飽きさせないし、最初から最後まで一連の流れを感じる。
その日その場でしか感じられないものや、
そのバンドじゃないと駄目というもの(楽曲も含めて)がないと誰も足を運ばない。
さらに音楽業界全体でCDの売り上げも落ちていて
ライブで稼ぐ方向にシフトしている現状では
一層、ライブ力が問われるだろう。
毒入りポップス
楽曲に関しては清々しいほどにポップである。
空の向こうまで突き抜けていくようなイメージがあって
個人的にはライブハウスというよりは
野外で聴きたいなと思うバンドだ。
ただ、底抜けにポップなサウンドとは裏腹に
歌詞は少し毒のある楽曲が多い。
今日も駅のホームで人溢れてる
中高生携帯片手に大声で騒いでる
「最近の若いもんは」と初老のスーツ
唾吐きながらよく言えたもんです「アブラカタブラ」
その他には弱い自分を変えたいといった様な
メッセージを感じる歌が多いが
それがポップな楽曲と独特な歌詞の乗せ方によってすんなりと入ってくる。
楽しい口調で悲しいことを言う様な
相反するもののアンバランスさが心地よい。
私はこれを毒入りポップスと名付けたい。
変わっていくものと変わらないもの
彼らのライブは数回観たことがあるが
彼らはとてもストイックなバンドだと思う。
ライブの切れ味、テクニック、その他諸々。
いつ観ても前回のライブより良いと思える、貴重なバンドである。
そして、いつも変わらぬベースたなしん。
歳をとっておじいちゃんになってもファイヤー!と言っててほしい。