Under Graphから一発屋を考える
Under Graph はいはい。
『ツバサ』の一発屋ね。知ってる知ってる。
一発屋のなにが悪いんだ。一発も当てられないやつが何を言うんだ。
今回は、世間的に一発屋、Under Graphについて考えたい。
2014年9月、渋谷公会堂にてメジャーデビュー10周年記念ライブを開催予定だ。
彼等はひっそりと輝き続けている。
『ツバサ』以外にもいい曲たくさんあるんだよ。
ツバサ
アンダーグラフと言ったらこれだろう、これと次のシングルぐらいまでしか追っていない人間も多いだろう。
『ツバサ』、最低初動で最高売上を収めた曲だ。
有線放送やラジオのリスナーから火がつき、発売後20週目でオリコンのTOP10にランクイン。
『ツバサ』と、セカンドシングル『君の声』を含むファーストアルバム『ゼロへの調和』
『ツバサ』だけじゃない。『アンブレラ』、『パーソナルワールド』も素晴らしい。
でも私は一番『白い雨』が好きだ。
何がいいかって、統一感があることだ。どの曲も『調和』というテーマから外れない。
曲ごとに物語が組まれていながらも、『調和』という根幹がぶれない。
基本的にメロディがいい。『ツバサ』のメロディが拾える人間が作っているんだ、納得だろう。
唯一いちゃもんをつけるなら、ギターがつまらない、カッティングを多用し、引き出しが少ない。ぐらいだろう。ベースはいい味を出している。
そう考えると、『ツバサ』はギターのつまらなさが薄い。コードリフになっているからだろう。
売れた理由、一発屋と揶揄される理由はそこにあるかもしれない。
一発屋
ある曲だけが飛ぶように売れ、他の曲がさっぱり売れなかった人を一発屋と呼び、バカにするやつがいる。
いやいや、一発屋ってすごいよ。
『曲の魅力だけで売った。』という証拠だと思うからだ。
と言うと、なにやら特典をつけて売っているアーティストのファンが顔を真っ赤にして怒ってきそうだが、それに腹を立てるやつはもう論点がズレていることに気がついてほしい。
今売れているアーティストは本当に良い曲を書いているのか?
名前を出さないと説得力がないと思うので一例を出す。
EXILEだ。
批判するからには、ある程度音源をききこんだが、あれはひどい。
比較的最近の曲のメロディラインを落ち着いて聴いてみろ。全然起伏がない。曲が死んでる。
あれで売れるのは納得いかない。
イケメンだから評価されてるならまだ落ち着くこともできるが、「曲が良い」と評されているのはおかしい。絶対おかしい。
歌はうまいと思うが、EXILEなんかよりボーカルのソロプロジェクトのが一億倍かっこいい。
でも売れている。
圧倒的にクオリティの高いソロプロジェクトの楽曲より死んだ魚みたいなEXILEの曲のが売れている。
十中八九『EXILEだから』という理由で買っているだろう。そのまま惰性に任せて手抜き曲を買い続ける。
音楽をあまり聴かないもんだから、いいか悪いかもわからない。
『あまり音楽聴かないけど、EXILEの中ではこの曲がいい。』がいつの間にか『EXILEの曲はいい。』にすり替わっている。
もちろん本当に良い曲だと思って買っている人もいるだろうが、そういった残念な盲信が彼等のポケットマネーになっている。
長くなった。一発屋の話に戻ろう。
私が言いたいのは、『他の曲が売れなかった』=『○○だから、という理由では買っていない』ということである。
一発屋は、○○だから買う『固定ファン』なしで売り上げた、曲の力だけで人の心を動かしたと言えるのではないだろうか。
売れるというのは、売れるチャンスを掴める圏内に実力があるということだ。
一度でも成功したというのは単純にすごいことだと思う。
だが、100%アーティストの実力だとは思っていない。
運やその他もろもろの要因は絡んでいることを考慮して、だ。
一発屋の宿命だが、売れた曲がアーティストの評価基準になってしまうことを忘れてはならない。
「ハードルが上がる」と言い換えてもいいだろう。
Under Graphは色んな意味でハードルが上がりすぎたんだと思う。
アンダーグラフ - 風を呼べ 【弱虫ペダル ed】
事前期待
リスナーが満足するパターンについて考えたい。
①目的が基本的に実現できたとき
EXILEの曲が聴けた。がいい例だろう。
②いつも通り、好みの目的が実現できたとき
「あ~、こういう曲!このバンドはやっぱりこういう曲が合うよね!」
①の強化版である。
③今の自分の好みどおりの目的が実現できたとき
『今の』がポイントだ。
失恋した人間が失恋ソングを聴いた状態だ。
西野カナはここを狙っていると私は思う。
『会いたいな。』と思った人間をゴルゴ30ばりに狙ってきている。
④期待していた以上のものが実現したとき
「え?こんな曲調もできるの?しかもかっこいい!」
これだ。最強だ。
リスナーはなんだかんだ常に期待を持っているものだ。
Under Graphは『ツバサ』が良すぎて、期待が大きすぎた。
一般的なリスナーはUnder Graph=『ツバサ』なのである。
①目的が基本的に実現できたとき を考える。
Under Graphの曲が聴けた=『ツバサ』が聴けた
リスナーは『ツバサ』が聴きたいのである。彼らのバラエティに富んだ楽曲を聴きたいわけではない。
②いつも通り、好みの目的が実現できたとき
いつも通りが『ツバサ』になる。厳しい。
③今の自分の好み=『ツバサ』
『ツバサ』を聴いて寄ってきた、興味を持ったのだから当然だろう。
④期待以上のものが実現したとき
これも苦しいだろう。
次に発表される楽曲への期待は相当だったはずだ。
どれもこれも『ツバサ』なのである。
『ツバサ』以外にもいい曲がたくさんあるんだ。
リスナーが『ツバサ』を求めたため、彼等もそれに答えようとしていたと思う。
ツバサの次に出たシングル『君の声』は期待から外れないように作った感を感じる。
今の彼等は違う。そういうものから抜け出している。
『ツバサ』フィルターを外して彼等の音楽を聴いてほしい。
Under Graph
アンダーグラフ - 明日は続くよどこまでも
温かみのある音楽になった。
京阪電車「おけいはん」CMイメージソング。前向きな曲だ。「ツバサ」の印象から、哀愁や切なさを押し出した曲が彼らの持ち味だと思いがちだが、それだけじゃないぞという気持ちが伝わってくる。
メジャーからインディーズに移り、再度メジャーで、明るさや楽しさを前面に出してきた。
奇をてらったものではない。
アンダーグラフは変わった。変化の10年を少しだけ哀愁をこめた音楽に乗せ放ってきた。
これからどんな一面を見せてくれるのか非常に楽しみだ。
アンダーグラフ -2011
上記、2111~過去と未来で笑う子供達へ~という楽曲のアレンジバージョンだ。
原曲はエレクトロの要素を盛り込み、ラップまで入っているという彼らの変化を感じる曲だったが、一転バンドアレンジに戻してきた。
震災の影響だろう。100年後ではなく、数年後も考えようという姿勢がかっこいい。
Under Graph - 白い雨
一番好きな楽曲でお別れしよう。
アンダーグラフは常に自然体だ。
『ツバサ』はなくとも十二分にかっこいい。先入観を捨て、聴いてほしい。
頑張れアンダーグラフ。