BASEMENT-TIMES

読める音楽ウェブマガジン

ホーム
アバウト
人気記事
月別索引
オススメ記事

2016/07/16

コラム 記事

2016年が産んだ悪夢 ティンカーベル初野

 2016年、前半戦が終了致しました。ハーフタイムにございます。みなさんいかがお過ごしでしょうか。

 岡崎体育、ぼくのりりっくのぼうよみ、Mrs.Green Apple、メジャーどころを挙げたらばそんな感じで、今年の音楽業界は例年にもまして様々なアーティストが頭角を現した動乱の年だが、もうそんなことはどうでもいい。ティンカーベル初野を知ったその日から僕の地獄に音楽は絶えないみたいな感じよ。

 存在そのものが悪いジョークであり、オチなので今回の記事は俺から説明することはよもや一切ない。へたに解説とか入れるのは野暮。芸人のコントの笑いどころを逐一解説するようなものよ。

 2016年が産んだ悪夢、ゆとり世代の落とし穴、川谷とベッキーの落とし子、どんな言葉を並べても筆舌に尽くせぬこの味わい。今年の前半戦は彼でシメだ。ティンカーベル初野をとくと味わえ。

システムがわからないジジィとババァ

 これが友人から送られてきた夜、俺は財布を落とした。家の鍵、保険証、キャッシュカード、一切を失って得た1曲がこれ。完全に等価交換である。なんらかしらのバタフライエフェクトが働いたのだ。

「銀行めちゃ遅い 席取るのめちゃ早い」

 この一文が脳のデットスポットにこびりついて離れない。音楽の本質に今年もっとも肉薄した一節。The1975を小指で殺す文学性よ。

 以来、街を歩いていると「あれ、初野じゃね?」と類似人物を多数見かけるのもポイント。平均的な日本人の30人に1人はこの顔してる。マジで。本物のティンカーベル初野に遭遇しても一切うろたえることなく挨拶できる自信がある。

 サウンドはオールドスクールのジャップヒップホップよ。初期のEminem、2pacリスペクト。シリアスなピアノで始まりハイハットでぶち壊す、この高度なアプローチ。今年の岡崎体育を殺して盆地に埋められるのはよもや彼しかいない。

 

表現を選ばない創造性

 フィンセントは自画像の構図美のために己が耳を切り落とし、ダリは悪夢を表現するためにスプーンを口に咥え、フェルメールは青を彩る為に借金をこさえ宝石を砕いた。

 ティンカーベル初野は

 反町である。ソラマチ、風街、Naimachi、町シリーズの中でも最強の火力を誇るキラーターム、反町。

 サビでコーラスが入ってくるところがミソ。天才の考えることは俺たち凡夫の思考回路では理解ができない。

 

 9曲中7曲が老人関係のシビアなリリック。超高齢化社会である我が国も驚きのシニアっぷり、音楽界の後期高齢者、それがティンカーベル初野。ちなみに残り2曲は反町のポイズンと初音ミク。センスが刃物。

 

 もう特に言うことがないので最後にプロフィールを見ておしまいにしたいとおもう。10000字のコラム書くのよりもずっと疲れた。ティンカーベル氏に言及すると1文字を書くのに必要なカロリーが他の18倍くらいかかる。

ジジィとババァ達に対する日々の怒りを歌にする親切な青年。これまでラップやダンスミュージック、アイドル風ソングなど様々なジャンルの楽曲で高齢者と戦ってきた。
最終目標は、自らの楽曲でシステムがわからないジジィとババァ達を更生させ、高齢者と若者が手を取り合いながら暮らせる平和な社会を作ること。disとリスペクトを込めた歌詞は、介護業界からの評価も高い。

 こいつには一刻も早くジジィになって欲しい。通して「ジジィ」の"イ"が小さい"ィ"表記である点、何らかしらの執念を感じる。理由、訊きたくない。

 他につけくわえる説明があるとすらば、ぱいぱいでか美氏のバンド、ぱいぱいぱいチームのベースであり、アイドル界きっての身も蓋もないネーミング"ぱいぱいでか美"の名付け親。ツイッターIDはjosinohimitsuである。

 ティンカーベル初野でした。岡崎体育を忘れたスペースにスッと忍び込ませて2016年後半戦、健やかにお過ごし下さい。

 それでは、また。

オススメ記事

記事検索

オススメ記事