BASEMENT-TIMES

読める音楽ウェブマガジン

ホーム
アバウト
人気記事
月別索引
オススメ記事

ONE OK ROCKが気が付いたらEXILEになっていた。

 EXILEなんですよ。

 いや意味わからないですよね。「アフリカ人はもう、目薬だ」みたいな文面ですもんね。何言ってるんでしょうね僕は。

 順を追って説明したい。まずみなさんONE OK ROCKに対してどんなイメージを持っているだろうか。

 

 初期から追いかけていた今の20代前半の人たちにはきっとこのイメージ。歌詞も音もみずみずしい。音楽性は今と比べるともっともっと日本のバンドらしい音をしている。

 悪く言うなら、とっても普通。リードのオクターブギターなんかもう本当に一切なんのひねりもない。ほとんどコードに合わせて動いてるだけ。

 しかしそれでもこの曲がいまだに新旧のファンの間で愛されているのはTakaの歌うメロディラインの美しさと、若者らしい実直な反骨精神のせいだ。カラオケで歌いたくなる曲だよね。でもワンオクなんか絶対カラオケで歌っても普通の人の歌唱力じゃ思った風には行かないから、おとなしくスマップでも歌っといた方が良い。

 で、今のワンオクはと言うと。

 

 河村隆一のライブでしか見たことない構図。どした。

 歌唱力を生かし過ぎる。ONE OK ROCKに関してはイジワルな洋楽信奉者のオッサンたちも「歌上手い」と言わざるを得ないほどの歌唱力。

 その他のバンド楽曲もどんどん音が重く、ハイファイになっている。もっと簡潔に言うのであれば、音がカッチリした。進化している。

 もっと言い換えるのであれば、JPOPになった。もちろんこれは悪く言ってるワケじゃない。

 元来、バンドというやつはズブの素人たちが集まって作る音楽で、楽器を弾ける若者が数人あつまって見よう見まねで曲を作って小さいライブハウスで演奏するもの。と、比べるとJPOPやポップミュージックはプロの作曲家や演出がバックについて、しっかり製品や商品として作り上げた音楽だ。よく言う「インディーズ」っていうのは日本語に直すのであれば「勝手にやってる人たち」ぐらいの意味であって、メジャーで鳴ってるようなポップミュージックなんかはそれと比べるとずっとモノとしてはしっかりしていると言える。

 例えるなら僕が家でジャガイモを皮も剥かずにスライスして素揚げしただけのポテトチップスがバンドで、カルビーが開発部で試作品作って工場押さえて国に届け出を出して販売しているポテチがJPOPだ。

 

 Toruのラップがウケる。好き。

 このままポテチの例えで突き通すなら、これは完全に家ポテチ。こんな風に家ポテチしてたら「カルビーより美味くね!?」と言いだしたポテチフリークたちが結構いて、アマチュアポテチストのワンオクのみなさんは押し上げられるように法人化(メジャーデビューの言い換え)したのだ。

 で、ポテチ作りにも磨きがかかる。給料もでて今までバイトしてた時間も全てポテチに注ぎ込むようになるんだよTakaは。Takaはホントポテチに関してはマジメだから。世界で闘えるポテチ作ろうとしてるからなアイツ。ちょっと頭ヘンだろあいつ。

 そして出来上がったポテチがこれ。

 

 は?コイケヤか?本当に海外で勝負しようとしている。すげえよ。画が外人。FFみてえだもん。

 クオリティがポップミュージックのそれになった。たぶん、一部のファンが「昔の方が良かった」とか言ってるのは以前のバンド特有のガチャガチャ感が削げ落ちたせいだろう。わかる。僕もそういうの好き。でもいるよね居酒屋とかでも「大将またあれやってよ~、クジラの刺し身。え、もう出さないの?変わっちゃったな~この店も~」みたいなオッサンな。うるせえよ。アマゾンでクジラ頼んで家で飲んでろ。店には店の事情があんだよ、慮れ。

 こうやって音楽性がメジャーに寄り、メディア露出も増え、ワンオクロックは公然公共のものとなった。そうなるともちろんファン層も変わってくる。

 具体的に言うと、CDショップに入り浸る帰宅部や軽音学部のものだったワンオクは、今や野球部やサッカー部のものになりつつある。JPOPになるということは、そういうことだ。大衆に向けたコンテンツになればなるほど、そのジャンルの入門者が消費者層の中心となってくる。「ロックを聴いてみよう!」つって音楽を漁り始めた野球部が、まず最初に手に取る音楽が灰野敬二なんてことはありえないのだ。それがポップかどうかの一つの指針だ。音楽の良し悪しの話ではない。

 遠回りしてきたけれども、要するにONE OK ROCKはEXILEと肩を並べる「公然の音楽」になった。B'zしか聴かないうちの母ですら知ってたもん、ビックリしたよ。

 あとONE OK ROCKが他の有名ロックバンドよりもEXILEな点を挙げると、そのファッション性と客層。マインド。UVER WORLDとワンオクに関してはタンクトップが似合う。これだよ。川谷絵音もFukaseもタンクトップ着せたらヒョロッヒョロだし田舎のジジイみたくなるでな。金髪や短髪、ピアスが似合う。そういった所で考えれば「陰」のコンテンツではなく「陽」のコンテンツ。今のワンオクは帰宅部ではなく野球部。バンド業界において一番EXILEのそばにいるのは間違いなくONE OK ROCKだよ。

 

 いやごめん。そうでもないかもしれない。このオッサンたち手からビームでとるで。

 しかし、旧来のファンが嘆くのは上記の話で説明がつくと思う。規模は大きくなったし、変化もした。これは別に仕方のないことだけれど、昔のワンオクロックのガチャついた感じや日本人らしいバンドサウンドに惹かれて応援していた人たちからすれば、今のワンオクは願った形のものではないとは思う。でもまあいいでしょうよ。彼らはもう十分すぎるぐらいその土俵では取り組みをし尽くしたわけだし。

 ONE OK ROCKが頑張ってくれるお蔭で、もしかしたらバンド文化は野球部たちの背にも降りてくるかもしれない。彼らを皮切りにバンドを聴いてくれたらば、それはそれで音楽業界全体の活性に繋がるのではないでしょうか。どうでしょうか。

 

 僕はワンオクが野球部の物になっても、昔の曲ずっと好き。それでは

オススメ記事

記事検索

オススメ記事