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2016/03/02

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人々に語られ歌い継がれる名曲「雨を見たかい」

Creedence Clearwater Revival(クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル)、通称CCRと言うバンドをご存知だろうか?

1968年から1972年までの短い期間を活動したアメリカのサザンロックバンドである。日本では、映画『ダイ・ハード4.0』、ゲーム『コール オブ デューティ ブラックオプス』等に使用されたFortunate Son(フォーチュネイト・サン)が知られている。

そして、もう一つ有名な曲が存在する。それが今回紹介するHave You Ever Seen the Rain?(邦題、雨を見たかい)だ。日本の有名バンド2組の対談をメインに据え、この曲について見ていきたい。

青春の一曲

これはラジオ番組『MOTHER MUSIC RECORDS』2005年6月22日水曜日「Over Drive」の放送中に行われたASIAN KUNG-FU GENERATION後藤正文とBUMP OF CHICKEN藤原基央の対談だ。当時若手バンドで人気が台頭していた2組の対談は、多くのリスナーの関心を抱かせたに違いない。(本当に二人だと話が脱線し止まらなくなるため、ナビゲーターとして番組プロデューサーの森田氏も話に加わっている)

動画はお互いの中学高校時代の思い出の一曲を語る内容だ。そこで、藤原基央の掛けた曲がCCRのHave You Ever Seen the Rain?である。彼曰く、「中学の頃に良く聞いていて、明るいのにどこか悲しい感じがした。歌詞の内容は分からないけど」とのこと。金が無かったストリートミュージシャン時代にも良く弾いていたらしい。

話は多くのミュージシャンがHave You Ever Seen the Rain?をカバーしていることに繋がり、藤原基央は「The Jeevas(ジーヴァズ、元クーラ・シェイカーのボーカルが在籍するバンド。動画では、CCRの原曲がフェードアウトした直後の3分02秒から流れている)がFUJI ROCKのライブでこの曲のカバーをしていて、好きなバンドが自分の青春の曲を演奏してくれることにとても感動した」と述べている。また、学生時代はメタルが流行っていて誰もCCRを一緒にやってくれなかった出来事も語っている。

 

日本のカバー

一旦、ここで話の途中にあったHave You Ever Seen the Rain?のカバーを注目してみよう。藤原基央がFUJI ROCKで見たイギリスのバンドThe Jeevasによるカバーを始め、日本でも様々なバンドやシンガーがこの曲のカバーをしている。まずは、日本のパンクレジェンドの物からご覧になっていただこう。

ハイスタことHi-STANDARDによるカバー。原曲のHave You Ever Seen the Rain?は2分40秒の短い曲だが、もっとコンパクトかつパワフルな1分45秒のメロコアナンバーへと変貌させた。1997年5月に発売された3rdアルバム『ANGRY FIST』の7曲目に収録。アルバムは週刊オリコンチャート4位に入り、8月末には後々伝説となるバンド主催フェスAIR JAMを初めて開催したことを考えれば、まさにここからハイスタが絶頂期に登る勢いを余すことなく閉じ込めた良カバーだと言ってもよいだろう。

国民的バンド・サザンオールスターズのフロントマン桑田佳祐によるカバーも存在する。残念ながら、CMソングに使われた30秒動画しかないが。1986年(サザンは原由子の産休で活動休止中)に1年限り活動していたKUWATA BANDのラストシングル『ONE DAY』カップリングに収録。原曲にある程度忠実ながらも、やはり桑田独特のアグレッシブなボーカルに耳を奪われずにいられない。ちなみに、このカバーが唯一収録されている『ONE DAY』のシングルは2001年にも再発されたが今では販売されていないので、中古CDショップで見かけたら迷わず手に入れよう。

次の項目では、対談の話に戻りHave You Ever Seen the Rain?がどのような意味を持っているかについてである。

 

歌の意味

最初の動画の話に戻る。藤原基央が「いつかこの曲を自分もカバーしたいなあ」と締めくくった後、3分37秒から番組プロデューサー森田氏が藤原基央の知らなかった歌詞の意味を述べている。

Have You Ever Seen the Rain?はベトナム戦争の時の歌であり、遠くの飛行機から爆弾が雨のように降ってくる光景を示しているとのことだ。

Someone told me long ago ずいぶん前に、誰かが俺に話したよ
There’s a calm before the storm 嵐の前には静けさがあるって
I know, and it’s been coming for sometime 知ってるさ 時々やって来るから
When it’s over so they say その後で 彼らはこう話すんだ
It’ll bring a sunny day 晴れた日にやってくるんだぜ
I know, shining down like water 知ってるさ 水のようにキラキラ降り注ぐんだ
I wanna know, have you ever seen the rain 知りたいよ 君は「雨」を見た事あるのか
I wanna know, have you ever seen the rain 知りたいよ 君は「雨」を見た事あるのか
Coming down on a sunny day 晴れた日に降ってくる

クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル「雨を見たかい?」:Creedence Clearwater Revival – "Have You Ever Seen the Rain?" | マジックトレイン ブログ より一部引用

これを聞き、藤原基央は「だから悲しく聞こえたんだな」と納得。そして、曲中で歌っているのは物事の善悪や悲哀ではなく見たかい?の一言だけということに感慨を覚え、最終的にHave You Ever Seen the Rain?が青春の曲で良かったなと思いを綴る。

一連の話に、後藤正文も「言葉も分からない国が違う青年が何年後かに聞いて、曲に宿る悲しみが伝わるのはすごいな」と心を大きく動かされたようだ。

 

メッセージ

今回のコラムは2組のミュージシャンの対談の一部分(とは言っても、前半の4分だけだが)をピックアップしてみた。読者に出来る限り分かりやすく説明するため言葉を若干変えているので、是非本人たちの声を聞いてほしい(あまり大っぴらに言えないが、ニコ動の方にはFULLが上がっているので是非ご一聴を)例えば、後藤正文がギターコードについて語り実演するところは楽器に興味が無くとも楽しめるはずだ。

最後に、ある事実も書かねばならない。Have You Ever Seen the Rain?の作曲者ジョン・フォガティ自身は、曲がベトナム戦争及び反戦についての歌であることを否定している。彼によれば、CCRが解散する危機を地元の気象現象の様子に準えて歌っているんだと述べている。

名曲は得てして様々な解釈を生み出す物だ。そして、その解釈の一つが時として真実よりも多くの人々に価値を与え、感動をもたらすこともある。だから、この曲は45年も色褪せることなく存在し続けた。

曲の歌詞ではなく、曲の存在自体が遠い未来と過去を繋げるメッセージだ。

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