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検索汚染!データを見るとシンガーソングユーチューバーの大量発生の理由がわかる

 今回はシンガーソングユーチューバーの記事だけど、それよりも僕がYoutube上で一番嫌いなのはのはコレ。だまし討ちタイトル詐欺動画。インターネットの仕組みを悪用した、あたかもPVとか音楽が流れるかのように見せかけて全く関係ないフリーのBGMと申し訳程度のニュース的なのが流れるクソ動画。

 お目当ての動画かと思い間違えてクリックしてしまった時には不快感とか癪に障るとかいう生ぬるい感情ではなく、シンプルな殺意。「あ、殺そ」ぐらいの。目の前で俺の血を吸ってる蚊を潰すときと同じ気持ちになる。

 このタイプの動画があるせいで生じる社会的損失を計算してみたんだけど、上の動画で現在50万再生ちょっと。間違えて再生してから消すまで10秒だとすると、この動画だけで60日近い時間が浪費されていることになる。日給1万で計算しても社会全体で600万円分くらいの損失。この動画が存在するがために我が国はレクサス一台分くらいの損失を出しているワケです。

 

 先ほどのタイトル詐欺動画には弁明の余地はないけど、最近目につくのが、歌ってみた・弾いてみた、グースハウスに次ぐ第三の検索汚染、シンガーソングユーチューバー。

 彼らの場合は堂々と別モンですよと主張しているので間違えてクリックしてしまうこともなく、特にコレといった実害があるわけでもないのだが、なんか鼻につく。人が耕した畑で堂々と農作をする厚かましさといいましょうか、観光地に置いてある似ても似つかない妖怪ウォッチのパチモンキャラお土産を見た時と同じ気持ち。


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シンガーソングユーチューバー

zenzenzen

 先ほどタイトル詐欺動画に比べりゃまだ良心的といったが、前言撤回だ。んだコレ…。

 いくらなんでも節操なさすぎんだろ…。みんなしてラッドウィンプスしゃぶりこき過ぎ。野田洋二郎のスネがチリヂリになっちゃうよ。

 

 さて、先ほどはなんの説明もなしにシンガーソングユーチューバーと書いたけど、今ご覧いただいたコレです。多くはシンガーソングライターを名乗っているのにも関わらず、ソングライティングよりカバーばっかりやってるので、親しみを込めて僕はシンガーソングユーチューバーと呼んでいます。

 ニコニコ動画では元々のボカロコンテンツからの派生の「歌ってみた」がボカロ以上のコンテンツに成り代わったし、Youtubeでのモデルケースとしてグースハウスが、それがオイシイってことを証明してくれたけれど…なんか気づいたら大変なことになってるなコレ。増えすぎ。

 パッと見た感じでも日々何十万人もの人が訪れる動画の隣にカバーとはいえ、そこに自分の動画を置けるというのはかなりオイシイ話ではあるが、具体的にはどんな旨味があるのか。これだけの過競争の状態になっているのには理由があるに違いない。というわけで少し調べてみた。

 

驚異のメカニズム

 シンガーソングユーチューバーの需要がどこにあるのか、コメント欄やらツイッターなどで調べてみたところ中高生辺りのユーザーが結構多かった。

nihonrechodinyou

一般社団法人日本レコード協会 - 音楽メディアユーザー実態調査 - 2015年度 PDF3ページ目より引用

 そこでこちらのデータを参照してみることにした。

 注目してほしいのが中学生と高校生の「無料聴取層(既知曲のみ)」の動向の部分。中学生のころは14%もいた無料聴取層(既知楽曲のみ)が高校生になると9%にまで減っている部分。

 14%ほどの中学生が今まで知っていた曲、恐らくテレビや前前前世のように映画等でヒットした曲等を、お金が発生しない視聴方法、Youtubeなどで聴いている。それが高校生になると9%まで減る。つまりこのタイミングで今までテレビ等で知っていた曲しか聴かなかった層が、能動的に曲を探し始めるている、とも読み取れる。

 同データによると音楽聴取手段として一番多いのがYoutubeの51%、年代別のデータは出ていなかったが恐らく中高生となるとYouTube率はさらに多くなるだろう。

  

 これをシンガーソングユーチューバーのところに当てはめて流れを考えてみると、つまり今まで自分の知っていた曲以外のものを知りたいという需要がある層が沢山集まる場所に看板がおける状態というワケである。

 コレはつまり、我々が夢見てきた他人の金で無限パチンコする状態じゃないだろうか。

 RADWIMPSから供給され続ける球が、釘にはじかれながらカバー曲までたどり着き、最終的にオリジナル曲というチャッカーに入る。この時点でも収益がでるが、さらにオリジナル曲がヒットすれば確変突入、完全勝利だ。

  

 パッと見た感じは単純に人が沢山来るところに看板を立てておけば自分のところも来てくれるという理屈かと思っていたが、こうやってデータを照らし合わせてみるとかなり理にかなった手法と言えるだろう。

 さらに中高生辺りの若いユーザーを囲えるというのもかなり旨味がある部分だ。企業が求人するとき、中途採用よりも新卒を重視するのと同じような理由で、リスナーもある程度年を取ってしまうと趣味嗜好が固まってきて、徐々に若いころにハマってた曲か、そのアーティストの新譜ぐらいしか追わなくなる人がかなり多い。

 多くのアーティストがあの手この手で若いリスナーにアプローチするもののなかなか上手くいかない中、シンガーソングユーチューバーは収益と知名度を上げながら若いリスナーを抱えることのできる激アツ手法だといえる。

  

賢いんだけど音楽が面白くないんだよな

 シンガーソングユーチューバー、音楽ビジネスとしては完璧だ。デカいタイアップをとれたりするカバーされてる側のミュージシャンからは程遠い、有象無象の売れないミュージシャンが一つ上のステップにのし上がるには相当冴えた手法だと思う。

 僕もライトをギャンギャンに炊いた白い部屋に似合うような薄味の顔面とプライドを捨てる覚悟がさえあったら、是非シンガーソングユーチューバーになりたい。

 とは、書いたものの、なんかやっぱり気に食わない。オイシイ思いをしているヤツが気に食わない妬み的なのももちろんあるが、それ以上に彼らの音楽が面白くないのが気に食わない。

 


コバソロ - あなたのことが好きだなんて言えないんです。feat 杏沙子

 こちらは多分一番成功しているシンガーソングユーチューバー、コバソロのオリジナル曲だ。

 どうですか?みなさん。僕は好きか嫌いか以前に何も感じない。全編通してあまりに教科書どおり過ぎる。指示書どおりに組み立てられた工業製品みたいな音楽。およそ個性と呼べるものが全くない。

 工業デザインなどでは優れているほど人に意識されない、なんて話はよくされるが、音楽ではそれは逆。キレイにまとまってはいるものの悪い意味で引っかかる部分がないので、なにも印象に残らない曲だ。

 


椎名林檎 - Letters

 こちらは椎名林檎が宇多田ヒカルの"Letter"をカバーした音源。

 ここで椎名林檎を引っ張り出してくるのはちょっとアンフェアだとは思うが、こうやって並べてみるとやっぱり格が違うな。

 曲自体は宇多田ヒカルのものだが、そこで鳴ってるのは紛れもなく椎名林檎。イントロのアダルティなピアノとウッドベースから最後まで完全に椎名林檎ワールドに染まっている。なんなら歌詞も同じのを歌っているのに全然印象が違う。椎名林檎が歌うと当てつけと皮肉を言ってるように感じる。

 

 ”カバーはこうあるべき”なんていうつもりはないが、やっぱりカバーという行為の醍醐味はこういったアーティストごとの解釈の違いだったりの部分にあるように思う。というか、そのまま弾いたり歌ったりしてるだけなら質のいいカラオケやん。

 そもそも自分たちのサウンドも持たずに”カバー”をしているシンガーソングユーチューバー達は結局その行為自体は手段であって目的にはなっていない。彼らもなにかしらの大義名分を掲げているとは思うが、結局のところ有名どころからその養分をかすめ取りたいだけと言われても仕方がないと思う。

 先日のWELQの問題もそうだったが検索で表示されることの旨味を吸い上げるために中身のないものを量産していくのは面白くない。

 短い期間でどんどん動画作ってかなきゃいけないし、こうなるのも理由はわかるけど、こんなことばっか繰り返してるとどんどん音楽全体が面白くない方向に向かっていくような気がするんだよな。

 せっかく演奏も上手いし知名度もついてきたのだから何か面白くてクリエイティブなことをやればいいのに。カバーでもただ譜面どおりに弾く以外にもいろいろ面白いやり方があるだろう。

 では今回はこのあたりで!

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