こんなバンドが観たかった! LILI LIMITという旋風
本州の端から現れた新星
今、各地のタワーレコードで売り切れが続出しているとあるシングルCDがある。
シングルタイトルは「Girls like Chagall/RIP」。
このCDを生み出したバンドは、本州の端山口県で誕生し、福岡を経て満を持して東京へやってきた。
彼らの音楽は今、各地の音楽ファンたちのもとに届き、そのファンの渦を次第に大きくしている。多くの人が、「凄いバンドが出てきた」予感をざわざわと強めている。
今回の全国リリースが、おそらくその旋風を決定的なものにした。
今日の特集は5人組ポップネスバンド、LILI LIMITだ。
Vo&Gt 牧野純平
Gt&Cho 土器大洋
B&Cho 黒瀬莉世
Key&Cho 志水美日
Dr 丸谷誠治
今後、彼らに夢中になる人が沢山現れるだろう。この記事がそんな人々を少しでも増やせたら、幸いである。
LILI LIMITの音楽について
LILI LIMITの音楽の特徴は、色々な楽器の融合とその上に乗る歌詞だろう。
ドラムが細かくビートを刻んだと思ったら、次の瞬間にはキーボードとギターがそれに重なる。さらに畳みかけるような歌詞が曲をさらに盛り上げていく。
聴いているだけで体を揺らしたくなるようなダンスロックの要素もありながら、時には不穏な転調もあって飽きることがない。それだけでなく、LILI LIMITはメンバーのほぼ全員がコーラスに参加しており、男女の声が入り混じるとそれだけでも音に厚みが出る。
この一曲を聴くだけでもそれは分かってもらえるだろう。
5人くらいが丁度いい
音楽について言及したところで、ライブパフォーマンスの話に移る。
4月29日に彼らのレコ発ライブ"size[S]"を見た。この記事を書くきっかけともなったそのライブでLILI LIMITは、イベントのトリにふさわしい素晴らしいパフォーマンスをしてくれた。
暗いライブハウスという空間を逆手に取ったのか、ボーカル牧野が白地に銀の反射板がプリントされたトレーナー姿で現れる。背が高くすらっとした彼は、ふつうなら「パジャマ?」としか思われないような衣装もうまく着こなしていた。
牧野以外のメンバーも白を基調とした衣装で、ステージに明るいイメージを与えている。
一曲目は女性メンバーのコーラスとポップなメロディが鮮やかな「h.e.w」で始まり、観客たちも前のめりにステージを見つめ始める。
その後牧野は「Girls like Chagall」でマイクを握り、彼らの音楽の強みである、機智に富んだ畳みかけるような歌詞をステージ中を往来しながら唄い始めた。会場からは手拍子が起こり、その日一番の盛り上がりを見せる。
5人もメンバーがいると、詰め込んでも250人ほどしか入らない渋谷O-NESTのステージは少し狭いのでは? とも思ったが、牧野を中心にそれぞれの立ち位置で役割を果たす5人のメンバーを見ていると、5人でも全然多くないし、きっともっと大きいステージならもっと映えるだろうとも思った。今から楽しみである。
あざといくらい洗練されたバンドイメージ
世界観、という言葉を使いたくなくて「バンドイメージ」としたが、LILI LIMITの凄い所は、彼らの世界観が、雰囲気が、まったくブレない所だ。ライブパフォーマンスでも音源でも、彼らは自分たちの強みをしっかり把握していて、それをはっきり示している。
昨今の日本のインディーズには、透明感あるギターロックに鬱屈とした若者の悩みをぶちまけたような歌詞を歌うバンドが大勢いる。
LILI LIMITがそんなインディーズ沼に沈まない理由は、ギターとキーボードで構成されたサウンドを牧野の書く歌詞が見事に現実へと引き戻しているからだろう。雰囲気モノで終わらない、爛々とした野心や音楽への真摯な意気込みを随所から垣間見ることが出来る。
そうやっていつも笑顔作っては悩みの種が増え
基本的に無表情 レジに向かって1.2.3でシェイク
現実が足音立てながら鬼ごっこしてくる
求めていないのに
RIP/LILI LIMIT
そう嫉妬心で成り立っている
この世の中で僕は黙ってる
曖昧な愛情表現で甘い香りを漂わせながら
パフュームを身に纏い 仮面はいつしか分厚くなり
日々のプランナーブラインダー越しにこっち見ながら笑った
Girls like Chagall/LILI LIMIT
at good mountain
これから彼らはきっとどんどんと高みへ登っていくだろう。
先日のライブでも、牧野の口からその頂を見据える決意の言葉を聞くことができた。彼らにはもっと広い、大きいステージが似合うし、多くの人がそこに立つLILI LIMITを見たいと思っているはずだ。
しかし今ならまだ、彼らのパフォーマンスを目の前で、間近で見ることも可能だ。
LILI LIMITの旋風に巻き込まれてみないか?