フロントマンYONCEと歌詞から、Suchmosについて考える
最近このサイト内でSuchmosの名前を挙げる機会は多い。それは個人的好き嫌いを越えて、今のシーンを語るのに最も除外できないバンドだからだろう。
セールスや動員だけを見れば、Suchmosが他のバンド音楽の中で突出しているなんてことはない。メジャーに行けば同クラスのバンドはごろごろいる。
しかし彼らが今こんなにもフリークたちの衆目を集めるのは「シティポップ」というオシャレであること以外に特に音楽的共通項のない不思議なジャンルのアイコンとして勢力を伸ばしているからだろう。要するに、一時代を築き上げ日本の音楽史に名前を残す可能性がある、ということだ。
いくらSuchmos同じかそれ以上の人気を誇るバンドでも既存のブームに乗った二匹目以降のドジョウには、金字塔足り得るには難しい。今の20代にわかりやすい例で言えば、9mmや時雨が台頭した時代、2番煎じが掃いて捨てるほど横行したが、それらの名前をみなさん今思い出せるだろうか。文字通り歴史から掃き捨てられてしまっている。
そう、以上までの説明でわかってほしいのは「オシャレっぽい奴らはみんな聴いてるマストアイテム、それがSuchmos」これさえ理解していただければ大丈夫、もう難しい話はございません。
シティポップというオシャレさんたちのコモンアイテムとなった新ジャンル、その現時点での顔がSuchmos。そんな彼らがオシャレじゃないワケがない。
な?
オシャレの暴力よ。こんなもん。いきすぎたオシャレは人を傷つけるぞ。
冗談抜きに、このオシャレすぎる感じに拒絶反応を起こす人間、いると思う。人間がどの程度オシャレでいるか、それは個人の自由だ。本人がそれでいいなら最低限公然猥褻に該当しない程度の衣服で良い。
ともすれば、服やオシャレに興味がない人だっているわけだ。また、オシャレになれるならなりたいがなりかたがわからない人もままいる。
そういう人たちの眼を通してみたSuchmosはそりゃもうオシャレ過ぎて、劣等感や卑人として見下されている感覚に陥ることも、あるだろう。オシャレさんたちが非オシャレたちのグロいファッションセンスをバカにしているとは限らないし、受け取り手の勝手な被害妄想とも言えるが、そう感じる人間も実在するとして、その実在を否定することはできない。だれも悪くない。事故みたいなものだ。
どうだろう「あ、このなんか気に入らない感じ、それか!」と思ったアナタ。今回はアナタに向けての記事だ。
やっと本題に入る。Suchmos、特にフロントマンのYONCEさんね、すげえ誤解されてるよ。全然愛せる。絶対良い奴。今回はそれを伝えたいのだ。
トレードマークはアディダスのジャージ。たぶんここも音楽性と同じくJamiroquaiの影響なんだろうな。赤カッコイイな、欲しい。
見ての通りのオシャレさん、なんか話しかけたら嫌に物腰落ち着いてて優しくて気遣いができて頭良くて隙が無くてクソムカつく感じするよね。オシャレなやつってなんでか人間できてたりしてな、それが逆に鼻もちならんよ。最低なクソ野郎だったらなんかこう自分の中で納得が行くのに、オシャレで且つ優しくて頭良いとかなってくるとな、もう刺すか撃つ以外に対処が思いつかんよ。
YONCE、本名河西洋介氏なんか見るからにそういう完璧な印象のある男なんだけど
めっちゃきれい“@suchmoz: Yonce「めっちゃきれいな石見つけた!」 pic.twitter.com/zFKjPSCg0f”
— 河西洋介 YONCE (@solitaire_man) 2014年7月1日
おじゃる丸のヤツかよ。
なーにがYONCEだよ洋介、笑顔素敵すぎるだろ。好きになりそう。こんど一緒に川いこうな。
箱ティッシュ買うっていう目的を忘れて一平ちゃん塩だれ味を六つ買ってきちゃう自分が好き!ちょっとティッシュ買ってきます! pic.twitter.com/BkW0b4IBhU
— 河西洋介 YONCE (@solitaire_man) 2014年4月12日
なんというか、本当に根がこういう感じの人らしい。無邪気。たぶんアルファベットも8割しか読めないし数字も100までしか数えられない。そんな感じ。たぶんすげえ良い人。
ほら、だんだんイメージかわってきたでしょ?
マジでジャミロクワイだな、動きとか。かっこいい。
ほら上のを踏まえてみるとなんかこう、もっと好きになれるよね。
I'm so cool He's so cool She's so cool We cool And you?
-YMM
「オレ、カッコイイ。オレタチ、カッコイイ。オマエ、ドウ?」
原人かよ。
冷静になって歌詞見ると、言ってることヤバい。Dragon Nightとトントンだろ。
Stay tune in 東京 Friday Night
-STAY TUNE
どうよこれ、90年代のセンスよ。この人ツイッター見てると執拗にマンモスの墓場の画像上げてくるしな。たぶんそういうことだよ。
この人を誤解してたな、と何よりも思ったのがこれ。彼が過去に連載していたコラム。
こんにちは河西です!無敵です!
マジかよ。
一瞬別人かと思ったもん、探せば探すほどヤバい画像出てくるしな。
なんというか、個人的にはメキメキ好感度が上がっていく。このコラム漁れば漁るほどオチャメが湧き出てくる。すごい。
あのクセの強そうなメンバーの中心に立ってアイコンとしての役割を全うできているのは、この人の良さだと思うのだ。
いちいち引用しないがMCも歌詞もこれを踏まえてみれば「アレ、意外とそういうことか…?」となるようなものばかり、逆にそれがこのバンドのスパイスになっているというか、端々に感じる90年代の匂いとダサカッコイイの絶妙なバランスを保っている。これらが一切の計算ではなく、YONCEの本来の持ち味で生まれ来てるとしたらば一種の奇跡としか言いようがない。
ガリアーノやジャミロクワイの焼き増しだ!なにがシティポップだ!とこの流れに逆らいたくなる気持ちもあるけれども、こういう一面を見ちゃうともう憎めない。そういうものとして聴けるようになってしまう。先入観とは、げに不思議なものである。
みなさんどうでしょうか。Suchmos、オシャレでカッコイイだけでなく、かわいいです。先入観でも聴ける音楽が増えるのは良いことでしょう。何となく鼻もちならないな、と避けていた人はこれを機にSuchmos、どうでしょうか?