加藤ミリヤ?青山テルマ?つべこべ言わず今年の学祭はリバーシブル吉岡を呼べ
いきなりだが1曲紹介したい。
「君と僕はカスタネット」
彼、リバーシブル吉岡が作詞作曲を手掛けた1曲。不思議なタイトリングだ。
「君」
このワードを曲のタイトルに用いるアーティストは非常に多い。
「君は僕の宝物」 槇原敬之
「君という花」 ASIAN KUNG-FU GENERATION
「君って」 西野カナ
「君死にたまふ事なかれ」与謝野晶子
「君」は元来伝わる「僕の宝物」であり、「花」などといった比喩で綺麗なものとして表現される事が多い。「君」に対しては非常にセンチな思いを馳せるし、また大人になると自分の人生とは切っても切り離せない程大切が故に「君、どうか死なないでください」と失う事を恐れ、人は唄う。
僕も何年か生きてきたので、もちろん大好きな「君」を思って「ああ、メール、返ってこないなぁ」と枕をしゅんとさせた夜もあるが、そんな「君」に対して
「なんかお前、カスタネットみたいだなぁ」
と思った事は一度も無い。カスタネットと付き合った覚えは皆無だ。
更には「お前と俺、カスタネットみたいだ」なんて自分をも巻き込んで思った経験も無い。
カスタネットは決して綺麗なものでもなければ、思いを馳せるものでも、ましてや失う事の恐怖が付きまとうものでも無い。
「お前の彼女、花柄が似合うな」これは嬉しいが
「お前の彼女、カスタネットみたいだな」
これは怒りをスルーして「どゆこと?」と逆に興味深くなってしまう。
褒める系でなければディスとしても弱いと。
『「君」と「僕」と「カスタネット」で作詞してください。』
非常に難しい大喜利ではないか。
カスタネットって学芸会で一番端っこの他に何もできないやつが持たされる赤と青のカチカチやるアレ。
「君、何もできないの?端っこで小難しそうにカスタネット叩いて。かわいいね。僕もさ」
まあ、ありそうな線だ。もしくは少しひねって
「君、顔真っ赤にして怒ったり、顔真っ青になるまで落ち込んだり、かわいいな。僕もさ」
こんな感じだろう。
「君が赤いほう、僕が青いほう。そうさ二人は色が違えど2人で1つ、、カスタネットみたいだね」
僕の貧困な感性思考ではここまでが関の山。「君と僕」と「カスタネット」に直接関係を作ることは難しい。
このリバーシブル吉岡氏は何を思って「君と僕」を「カスタネット」と比喩しているのだろうか。
曲を見ていきたい。
君と僕はカスタネット パンパンパン 小気味よく鳴らすのさ
君と僕はカスタネット パンパンパン ビートを刻むのさ
僕の恥骨と君の恥骨が 行ったり来たり ヘイ
擬音
IQが高い。
ごめん「しょうもな」と立ち去らないで、お願い。
このショボい音、変なマスク、子供が喜びそうな下ネタ。
6年くらい前のカミング神戸、一通りライブを見た後に休憩で腰を下ろした所にあった原っぱの小さいステージで「ここ、俺のステージやで〜」と全速力の笑顔で歌っていた彼を、僕は未だに忘れられない。
今日はこの「ピンク歌謡シンガーソングライター」リバーシブル吉岡が、何故僕の中で「学園祭に呼びたいアーティスト5年連続NO1」なのかを説明させて頂く。要チェックしていこうぜチェケラ。
絶対に初見でウケる
よく考えて欲しい。
どんなすごいバンドを呼んだとしても、曲を知らなきゃ盛り上がれないなんてそれはおかしい。
学祭の運営費用は皆の学費から等しく出てるんだから、皆が楽しむ事ができるものを用意しよう。
・・・さて問題は「果たして、このマスクのおっさんのライブで皆が楽しめるのか」だ。
「ライブで表現されるもの」という要素を分解すると大きく、「歌詞」・「楽曲」・「パフォーマンス」の3つに分かれるが、結論から言うと、彼の場合この3点の中に「皆の楽しさ成分」が非常に多く含まれている。
説明していこう。
歌詞
「君と僕はカスタネット」に戻るが、一般的に歌詞の進め方として
「君は、とっても大切で綺麗なものなんだ。例えば・・・花。お花みたいに。ほら、君が来ただけで僕の部屋が華やいだよ、この空間を大切にしよう。ふたりで」
こういった感じが王道。
まぁこんな歌詞を初見で聞かされても何というか、情報量が多い。想像しなくちゃいけないでしょう。いろいろ。どんな部屋?どんな彼女?大切?何が?綺麗。何が?・・・って。
「綺麗な事言ってんじゃねぇ!何が花だ!違う!カスタネットだ!パン!パン!パン!だ!」
僕の脳内CPUはこっちの方が明らかに処理しやすい。
背景が瞬時に想像できる。パン!パン!パン!だ。
これは即時性を求められる「ライブ」という空間において非常に重要なファクター。
人は笑う。しかしこれは至って正しい。
なぜなら世の中には「お互いのパートナーを花みたいに綺麗だと感じた事がある」こんなポエトリーなカップルの数よりも「互いの恥骨を行ったり来たり、カスタネットした」カップルの方が絶対的に多いに決まってるからだ。
共感が得られるんです。よって皆、楽しいと。
楽曲
他の曲を見てみたい。
お土産の歌
一旦歌詞は無視だ。触れ出すとキリがない。
注目すべきは音質。僕は音源を聴くだけでどこのレコスタで撮ったとか、誰がミックスを担当したか一発で当てる事ができる名人なのだが、この音源は拾ってきたインターフェイスをwin98にぶっ刺してフリーの素材で作った打ち込みを犬小屋で犬がミックスしたと推測する。最近の小、中学生でももう少しマシな音質で作れるのではなかろうか。
しかしそんな所に文句をつけるやつは早起きして「題名のない音楽会」でも見てるがいい。
これは「歌詞」という素材を活かす為の「音」だという事を重々理解しているからこそなのだろう。
僕のiTunesには1枚目と2枚目のアルバムが入っているが、全部こんな調子だ。
どこかで聞いたことのあるおっさんの鼻歌レベルの歌謡曲メロディも、音階があっち行ったりこっち行ったりする事なく忙しくも何ともないので、非常に歌いやすい。
これは俗に言う「キャッチー」というやつではないだろうか。
日本人の8割は音楽に何の心得もない連中だ。
学祭という不特定多数がひしめくその場で、人を捕まえて盛り上げるにはこの「キャッチー」要素は欠かせない。
皆が共通して歌える。即ち、楽しい。
パフォーマンス
驚くべきことに彼の曲中には「速攻で覚えられるシンガロング」や「ヘイ!ウェイ!」などの合いの手ポイントが多く設けられている。
あたしが貴女の貝を舐めるから・・・
なんで盛り上がってるのこれ。
シンガロングに注目しよう。マジで見る気なくなるくらい画質が悪いが、耐えて1:05秒まで動画を進めた貴方は向けられたマイクに向かって「あなたが私の貝舐めて!」と歌える程に教育されているはずだ。
歌詞に関しては一旦無視しよう。
親心
サビの部分、「こ ど も が 好 き っ (テーン)」
この(テーン)部分の分かりやすい音。
その場にいる一般の有象無象が「ウェーイ!」と拳を上げる以外なかろう。
歌詞は一旦無視だ。
実際に、彼が毎年出ているカミング神戸において年々と動員数を増やしているそうだ。
ほら、皆で盛り上がれる。皆楽しい。
以上、【歌詞】【楽曲】【パフォーマンス】ライブを構成するこの3点全てから「皆楽しい要素」が検出された。
よって彼を呼んだ学祭は、皆楽しい。
これを以て証明終了としたいが、なんと他にもメリットがある。すごいぜ。
多分安い
多分安い。普通バンドで呼んだりすると50万以上はかかる。
そりゃそうだ。重い機材運んでスタッフも連れて来てる。
知名度のある人達を呼びつけて、5万10万じゃ失礼な話だろう。
しかしだ、リバーシブル吉岡。1人の上に一般的にはそんなに知名度は無い。
勝手な事言うと怒られるのでわからんが、50万以上取られる事は無いだろう。
そうだったら、ごめん。
搬入搬出はマイクとシーケンサーのみ
なんと楽だ。恐ろしく軽い。
バンド演奏をする為の転換、何分かけますか。
そもそもバンから機材を下ろし、ステージまで上げ、電源をつなぎ、サウンドチェックをし、リハして本番。
長い。待てない。
電車で来て、電源ON!マイクON!!たったこれだけ。
ケータリングだって1人分!イエス!!
ほら、だんだん魅力的に見えてきたでしょ。
最後に
以上である。魅力は伝わっただろうか。
ここまで約3500文字。長文失礼しました。
学生の皆さんはそろそろ学祭の時期が近づいてきているのでは。
僕はもう学生では無いので非常に残念なのだが、学生の皆さん、もしくは企業の宴会担当の皆さん。
アーティストのチョイスに悩んだ際には是非彼を思い出して欲しい。
このマスクの変なおっさんが、貴方の学園にやってくる日はそう遠くないんじゃないでしょうか。
それじゃ。
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